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廃石綿等・石綿含有廃棄物の「中間処理」について

廃石綿等・石綿含有廃棄物の 中間処理について
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施設管理者は、石綿含有製品の使用状況を把握し、使用されている場合には、その劣化・破損状況に応じた適切な石綿粉塵暴露防止対策を講じなければいけません。

石綿粉じんばく露防止対策の基本的な手順は、

  1. 石綿含有製品の使用状況の把握
  2. 石綿含有製品の劣化、破損状況の把握
  3. 石綿粉塵暴露防止対策の選定
  4. 石綿含有製品の除去、解体等の対策工事
  5. 廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理

となります。

産廃処理は、「分別→保管→収集→運搬→処分」の流れで実施されます。

処分には、廃棄物を物理的・化学的・生物学的な方法により無害化・安定化・減量化させる「中間処理」と、最終的に自然界に還元す「最終処分」とがあります。

今回、これらの廃石綿等・石綿含有廃棄物の「中間処分」についてまとめます。

廃石綿等・石綿含有廃棄物の中間処理について

廃石綿等・石綿含有廃棄物の中間処理

出典:株式会社カエツ工業HP

中間処理を実施することで、廃石綿等・石綿含有廃棄物を無害化し、一般産業廃棄物として収集運搬・再生・処分することができます。

石綿を無害化するとは、石綿の主成分であるケイ酸マグネシウムの結合を切断することで、非繊維化することです。

中間処理を実施しない場合には、廃石綿等・石綿含有廃棄物として最終処分する必要がある。

中間処理の他にも固型化などを行うこともあるが、最終処分を実施しなくてはならないため、処分残渣を残さない処理方法です。

しかし、飛散性アスベストの約8~9割が埋立最終処理をされています。

中間処理が推進されれば、環境負荷の軽減になり、最終処分場の管理などの問題も解決されます。

処分場の許可

処分場の許可

出典:おしえて!アミタさん

廃石綿等・石綿含有産業廃棄物の処分を業として行う者は、業を行う区域を管轄する都道府県知事(廃棄物処理法の政令市にあっては市長)から「特別管理産業廃棄物処分業」・「産業廃棄物処分業」の許可を受ける必要があります。

また、石綿含有一般棄物の処分を業として行う者は、業を行う区域を管轄する市町村長から「一般廃棄物処分業」の許可を受ける必要があります。

廃石綿等・石綿含有産業廃棄物にかかる許可は5年(優良事業者にあっては7年)毎に、石綿含有一般廃棄物にかかる許可は2年毎に更新があります。

受入れ

受入れ

廃石綿等・石綿含有廃棄物の受入れ時は、排出事業者から提供された契約書・マニフェスト・廃棄物データシート等に記載された情報を確認します。

また、梱包等の石綿飛散防止適正に行われ、以下の項目について目視等により受入物の検査を行います。

確認項目

  • 他の廃棄物と分かれていること
  • 密封されていること
  • 破損されていること

保管

廃石綿等・石綿含有廃棄物の保管高さ

受入れ後の保管に関しては、仮置き時と同様に処置します。

保管量は、処理施設の14日当たりの処理能力分の数量を越えてはいけません。

廃石綿等・石綿含有廃棄物の保管の詳細については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。

中間処理方法

石綿管

廃石綿等・石綿含有産業廃棄物の中間処理は、「溶融施設を用いて溶融する方法」「無害化処理認定された方法」があります。

石綿含有一般廃棄物については、上記の方法に加えて「一般廃棄物と混合破砕し、焼却する方法」があります。

従来法で認められた処理法は、1500°C以上の超高温による溶融処理のみです。

この溶融処理は、高い熱量を得る処理コストが高額となり、大量処理には適さず、稼働する処理施設は少ない状態です。

そのため、早急な石綿含有廃棄物処理を推進するため、環境大臣が直接設置認可を行う大臣認定制度ができ、以下のような特長があります。

無害化処理の特徴

  • 1500°C以下の温度による無害化技術
  • 安く大量な処理が可能
  • 計画から許認可までの手続きを速い

無害化しているかは、以下の方法で判断します。

  • 位相差顕微鏡を用いた分散染色法及びエックス線回折装置を用いたエックス線回折分析法による分析方法により、石綿が検出されないこと。
  • 過型電子顕微鏡を用いた分析方法により検定することとする。

溶融施設を用いて溶融する方法

溶融施設を用いて溶融する方法

出典:JX金属HP

石綿の無害化処理として、現在認められているのは溶融処理方法です。

スラグに1500℃以上の高温で融解させ、均一化することで無害化処理しています。

クリソタイル(白石綿)の溶解点が1521℃ですので、それ以上の高温で溶融され、廃棄物処理施設としての溶融炉は1500℃程度の超高温によるものが使用されます。

溶融中に投入する際には、外気を遮断し、袋に密閉した状態のまま、炉の天井部から直接炉内のスラグに投入します。

溶融炉内投入された廃棄物の温度を速やかに1500℃以上とし、数量・性状に応じて溶融処理に必要な滞留時間を調節します。

無害化された石綿から生じたスラグは、冷却・破砕処理後にケーソンの充填材・セメント材料・再生砕石など土木・建築資材にリサイクルされます。

廃石綿・石綿含有廃棄物の中間処理における「溶融処理」の詳細については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。

無害化処理認定された方法

現在(平成31年度)、廃棄物処理法第15条の4の4の第1項に基づき石綿廃棄物の無害化処理認定を受けた者は

  • ツネイシカムテックス株式会社(廃石綿のみ)
  • 株式会社最上クリーンセンター(すべて)

の2社になります。

認定された施設は4件あるが、うち2件は後に認定廃止となっています。

無害化処理認定された方法

出典:ツネイシカムテックス株式会社HP

ツネイシカムテックス株式会社は、従来施設の酸素バーナー式表面溶融炉を廃石綿等の受入ができるように認定を受けたものです。

重油バーナー方式による表面溶融炉

出典:飛島建設株式会社HP

株式会社最上クリーンセンターは、重油バーナー方式による表面溶融炉です。

両社とも従来技術のバーナー表面溶融炉をアスベスト処理専用として改良したものです。

廃石綿・石綿含有廃棄物の中間処理における「無害化処理認定」の詳細については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。

一般廃棄物と混合して破砕し、焼却する方法

石綿含有一般廃棄物の場合、一般廃棄物と混合して破砕し、焼却することができます。

そのためには、破砕・焼却処理施設に、煤塵・粉塵飛散防止の排出ガス処理設備・集じん器・散水装置等が設置されている必要がある。

また、設備に投入する石綿の重量は、投入する一般廃棄物の総量の0.1%以下とする必要があります。

帳簿の備付

廃石綿等・石綿含有廃棄物の「マニフェスト」

廃石綿等・石綿含有廃棄物の処分業者は、マニフェストとは別に帳簿を備え、廃石綿等の処理について、事業場毎に定める事項を記載し、これを1年ごとに閉鎖したうえ、5年間保存する必要があります。

事業場別・廃棄物の種類別に帳簿を記載します。

また、溶融施設の稼働に際して以下の処理実績を記載し、5年間保存します。

記載すべき処理実績

  • 各月ごとの石綿の種類及び数量
  • 炉温連続監視記録
  • 排出ガス中の石綿濃度
  • 生成物の組成に関する分析結果

まとめ

アスベスト・石綿

廃石綿等・石綿含有廃棄物の「中間処理」についてまとめました。

廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理の全容については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。

石綿撤去作業のは、通常の土木作業よりも安全性が重視されるため、専門知識が必要になります。

その専門知識を習得するための参考書・専門書をまとめましたので、参考にしてみてください。