農業土木という分野は、土地改良・農村基盤整備・生物環境工学など、求められる知識が多岐にわたっています。
そのため、資格取得を目指すことで、幅広い分野を深掘りすることができます。
RCCM(農業土木)を取得することで、農業土木の知識を取得することができ、キャリアアップに必ずつながりますので、紹介させていただきます。
RCCM(農業土木)とは?
シビルコンサルティングマネージャ(RCCM:Registered Civil Engineering Consulting Manager)は、建設コンサルタント等業務の円滑かつ的確な実施に資するとともに、優秀な技術者が積極的に活用されることによって、建設コンサルタントの技術力の向上が図られることを期すことを目的に創設された資格です。
平成3年度より創設された資格制度で、制度の公正、公平性を保持する観点から、学識経験者、発注機関の代表及び建設コンサルタントの代表により構成される資格制度管理委員会のもとに、(社)建設コンサルタンツ協会が実施しています。
国土交通省が設計業務共通仕様書などで規定する管理技術者・照査技術者・業務担当者になるために必要な資格です。
設計など業務への理解や専門分野の技術力に加えて、円滑・適正に進めるための管理能力なども求められます。
RCCMには、以下の22の部門があり、農業土木は1つの部門です。
- 河川、砂防及び海岸
- 港湾及び空港
- 電力土木
- 道路
- 鉄道
- 上水道及び工業用水道
- 下水道
- 農業土木
- 森林土木
- 造園
- 都市計画及び地方計画
- 地質
- 土質及び基礎
- 鋼構造及びコンクリート
- トンネル
- 施工計画、施工設備及び積算
- 建設環境
- 建設機械
- 水産土木
- 電気・電子
- 廃棄物
- 建設情報
RCCM(農業土木)の仕事先
RCCM試験に合格して5年の実務経験を積むことで、建設コンサルタントの技術管理者として認定されます。
技術管理者は業務の「技術上の管理をつかさどる専任の者」と明記され、営業所に常勤し、業務の技術上の管理を専任で行うとされています。
RCCM(農業土木)の資格を有することで、農業農村整備事業における設計業務において、管理技術者・照査技術者として配置することができます。
ただし技術士にしかできない、「高度な技術を要するもの・特殊橋梁・特に規模が大きいもの」は管理技術者・照査技術者には配置できません。
そのため、技術士ほどではありませんが、農業農村工学に関して高い専門性・信頼性が担保されているため、建設・土木企業、公務員、設計コンサルタントなどにおいて重宝されます。
資格取得について ~難易度・合格率・CPD~
RCCMの受験料は税込17,320円です。
技術士試験よりは簡単な難易度で、令和3年の合格率は47.1%(合格者2,698人/受験者5,723人)で、平均合格率は30〜40%になります。
技術士より容易ですが、資格取得の中では比較的難易度が高めです。
RCCM資格試験に合格した場合、RCCM資格登録が必要で、1部門につき新規登録料税込23100円を払い「RCCM登録更新講習」を受講する必要があります。
さらに登録のためには、会社が建設コンサルタント登録していること、指導技術士がいることが条件になります。
RCCMの登録有効期間は4年間で、更新が必要で、登録の有効期間満了の日までに「RCCM登録更新講習」(税込9900円)を受講し、自主学習システムの修了(税込4950円、所定のCPD単位を取得していなければなりません。
令和3年4月1日以降、RCCM登録に必要なCPD単位は150単位/4年となり、
令和7年4月1日以降より、RCCM登録に必要なCPD単位は、200単位/4年となります。
CPM単位についての詳しい情報はこちらをご覧下さい。
受験資格
RCCMの試験を受験するには、コンサルタント業務等についての実務経験期間(建設事業の計画、調査、立案、助言及び建設工事の設計、管理の業務に従事又はこれを管理した期間)の合計年数が次のいずれかに該当する者である必要があります。
- 大学院修了者(修士課程/博士課程前期):5年以上
※博士課程/博士課程後期の在学期間は実務経験とみなす - 大学卒業者:7年以上
- 短期大学もしくは高等専門学校卒業者:9年以上
- 高等学校卒業者:11年以上
- 中学校卒業者:14年以上
建設会社や製造会社に勤務している方の実務経験の取り扱いについては以下の通りです。
- 建設事業の計画、調査、立案、助言及び建設工事の設計に従事した期間について、建設コンサルタント等業務の実務経験とみなします。
- 建設工事の監督業務に従事した期間については、「施工計画、施工設備及び積算」を専門とする部門として選択した場合のみ、建設コンサルタント等業務の実務経験とみなします。その他の部門を選択した場合は、建設コンサルタント等業務の実務経験とはみなしません。
試験内容
RCCM資格試験はCBT方式(Computer Based Testing)で実施され、解答用紙・マークシートに筆記用具で記述するのではなく、キーボード・マウスを利用して全てコンピュータでの解答です。
試験は「RCCM試験A」と「RCCM試験B」の2つの試験で実施し、両方の試験を受験する必要があります。
「RCCM試験A」は問題Ⅰ・問題Ⅱ、「RCCM試験B」は問題Ⅲ・問題Ⅳを受験します。
それぞれの問題のいずれについても配点の50%以上を得点し、総合点で60%以上で合格となります。
【試験内容】
- 問題Ⅰ 受験する専門技術部門における自己の業務経験【記述式】
・2400字以内記述式/試験時間 午前2時間 - 問題Ⅱ 業務関連法制度、建設一般の知識、技術者倫理等【択一】
・業務関連法制度等の一般知識:4肢択 40問 - 問題Ⅲ 業務遂行のための管理技術力【記述式】
・管理技術力の記述:1600字以内記述式 - 問題Ⅳ 土木関連の基礎的技術知識と受験する部門の専門技術知識【択一】
・土木関連工学等の基礎知識:4肢択 20問
・受験する各専門技術部門の専門技術知識:4肢択 10問/20問
解答時間は、問題Ⅰは2時間、問題Ⅱ、Ⅲ、Ⅳで試験時間4時間です。
農業土木部門については、「かんがい排水、圃場整備、農村整備、農用地開発、干拓、農地保全その他の農業土木に関する事項」の知識が試されます。
試験対策・勉強方法について ~参考書・過去問~
RCCM資格試験受験準備講習会を受講することで、RCCMの資格試験について理解が早く進みます。
そこで独学の勉強の指針ができますので、農業土木の専門分野の勉強・記述式の勉強を行います。
RCCM用の過去問・参考書はありませんので、技術士(農業部門農業農村工学)の勉強分野と被るので、技術士の参考書・過去問や農業土木の専門書を参考にします。
まとめ
RCCM(農業土木)について簡単にまとめてみました。
資格取得のために、受験の縛りが全くない測量士試験・測量士補試験がありますので、他の分野からの転職もできます。
ぜひ資格を取得していただいて、専門知識の習得を図って、土木技術の向上に繋げていただければと思います。
さらに農業土木の知識をより深く学びたい場合は、他の資格を取得することでも身につけることができますので、紹介させていただきます。