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廃石綿等・石綿含有廃棄物の「最終処分」について

廃石綿等・石綿含有廃棄物の最終処分について
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施設管理者は、石綿含有製品の使用状況を把握し、使用されている場合には、その劣化・破損状況に応じた適切な石綿粉塵暴露防止対策を講じなければいけません。

石綿粉じんばく露防止対策の基本的な手順は、

  1. 石綿含有製品の使用状況の把握
  2. 石綿含有製品の劣化、破損状況の把握
  3. 石綿粉塵暴露防止対策の選定
  4. 石綿含有製品の除去、解体等の対策工事
  5. 廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理

となります。

産廃処理は、「分別→保管→収集→運搬→処分」の流れで実施されます。

アスベストの処分には、廃棄物を物理的・化学的・生物学的な方法により無害化・安定化・減量化させる「中間処理」と、最終的に自然界に還元する「最終処分」とがあります。

今回、これらの廃石綿等・石綿含有廃棄物の最終処分についてまとめます。

廃石綿等・石綿含有廃棄物の最終処分について

廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理 手順

廃石綿等の最終処分は、海洋投入処分を行わず埋立処分を実施します。

埋立処分地は、都道府県知事・廃棄物処理法の政令市の市長に許可を受けた最終処分場でなくてはいけません。

埋立処分の手順は以下のとおりです。

【埋立処分の手順】

  • 受入前の下処理
  • 廃石綿等・石綿含有廃棄物の受入れ
  • 埋立場所の設定
  • 廃石綿等・石綿含有廃棄物の埋立

受入前の下処理

コンクリート

受入前の下処理として、

  • コンクリート固化(廃石綿の場合)
  • 薬剤による安定化

の方法があります。

コンクリート固形化(廃石綿の場合)

廃石綿等の固型化は、大気汚染防止法に基づく特定粉じん排出等作業場内おいて、作業に伴う大気への石綿粉塵飛散防止のために実施する必要があります。

コンクリート固型化物は容易に破砕されないよう、十分な強度を有していることが望ましい。

【固形化の手順】

  1. 事前計画
  2. 廃石綿・水硬性セメント・水を均質に混練
  3. 養生
  4. 固型化物をプラスチック袋等で二重梱包

コンクリート固型化作業に際し、事前計画を立てます。

  • 配合比(廃石綿:水硬性セメント:水)
  • 使用するミキサーの種類
  • 配置
  • 作業手順
  • 養生方法

混練に際しては、表面に塊状の廃石綿が露出しないように、破砕・粉砕能力のある混練機(ローラーミキサー等)を使用します。

養生中の混合物・コンクリート固型化物の保管は、特別管理産業廃棄物保管基準に従う必要があります。

薬剤による安定化

薬剤による安定化は、必要かつ十分な量の薬剤と均質に練り混ぜ、石綿が飛散しないよう安定した状態にする方法です。

大気汚染防止法第18条の14に規定する特定粉じん排出等作業に係る規制基準に定められている「薬液等により湿潤化する」措置にも該当します。

薬剤は、さまざまなタイプのものが市販されており、目的に応じて使い分けることが必要である。

薬剤のタイプ

  • 表面に皮膜を形成するもの
  • 吹き付け石綿内部に浸透し湿潤化を図るもの
  • 内部に浸透し固化するもの

大気質・水質・土壌・生活環境に影響のない薬剤を選定し、一般的に以下のものが当てはまります。

  • 大気汚染防止法第2条第12項に規定する特定粉じん排出等作業で使用される粉塵飛散抑制剤
  • 建築基準法第37条に基づき認定を受けた石綿飛散防止剤

湿潤等による飛散防止効果が十分得られるよう、当該薬剤ごとに定められた使用方法を遵守し、使用方法が規定されていない薬剤については使用してはいけません。

薬剤が漏出した場合は処理基準違反となるので、薬剤の過剰添加や二重こん包の破袋等が生じないよう措置します。

排出事業者は、飛散防止のために使用した薬剤の「種類・成分・使用量等」の講じた措置の内容について、運搬・処分を委託者に対し、あらかじめ、文書で通知しなければなりません。

廃石綿等。石綿含有廃棄物の梱包・埋立については、別でまとめさせて頂いておりますので、ご参照ください。

廃石綿等・石綿含有廃棄物の受入れ

トラック 積み下ろし

廃石綿等・石綿含有廃棄物を受入れる最終処分業者は、廃棄物の種類に応じて処分場の適正な管理を行うため受入れ時に次のような措置を講ずる。

最終処分業者は、受入れ前に次の事項について受入れ要領を定めておく。

受入れ要領

  • 埋立場所
  • 荷降ろしの方法
  • 人員・機材の位置
  • その他

受入れ契約時には、「受入れ予定日時、廃棄物の形状・量・積載状況」等の事項について関係者間で十分打ち合わせます。

また最終処分業者は、廃石綿等・石綿含有廃棄物を受入れるにあたり、車両ごとにマニフェストの確認・廃棄物データシート(WDS)・契約書・現物目視により検査を行います。

  • 密封されている
  • 破損していない
  • 他の廃棄物と混載していない

混載されている場合は、混載されているすべての廃棄物を廃石綿等として処理し、その旨排出事業者に届出なければならない。

石綿含有廃棄物の受入れ時の状態により、石綿の飛散のおそれがある場合は、受入れ物を湿潤化してから荷降ろし等の作業を実施します。

埋立場所の設定

埋立場所

廃石綿等・石綿含有廃棄物の埋立処分は、最終処分場のうちの一定の場所において、分散しないように行います。

廃石綿等の埋立作業・埋立跡地の再掘削による再飛散を防止・埋立記録の保存等を容易にするため、廃石綿等については管理型最終処分場のみで最終処分できます。

しかし、石綿含有廃棄物については、管理型最終処分場に加えて安定型最終処分場でも最終処分できます。

最終処分場管理者は、埋立量・埋立場所等について記録し、永年保存します。

廃石綿等の埋立場所

廃石綿等の埋立ては、廃棄物処理法第15条第1項に基づく許可を受けた管理型最終処分場のうちの一定の場所において、廃石綿等が分散しないように実施しなくてはなりません。

管理型最終処分場は、「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令(昭和52年3月14日総理府令・厚生省令第1号(基準省令))」で規定されている廃棄物の最終処分場の構造基準・維持管理基準に適合したものでなければなりません。

また、廃石綿等を埋立てる場所の選定にあたっては、搬入路の確保、跡地管理等を考慮します。

最終処分業者は、閉鎖後の跡地管理のため、廃石綿等の埋立記録をとり保存します。

埋立記録

  • 排出事業者
  • 埋立時期
  • 埋立方法
  • 埋立量
  • 埋立場所
  • 埋立量・埋立場所を示す平面設置図・断面図
  • 最終処分場の管理者(技術管理者名)

土地の権利移動の際には、新たな権利者へ廃石綿等の管理記録を引き継がなければならないため、最終処分の記録は永久に保存する必要がある。

廃止後、都道府県知事により、法に基づく指定区域に指定されるため、土地の形質変更を行おうとする者は、事前に都道府県知事に届出を行います。

石綿含有廃棄物の場所

石綿含有廃棄物の埋立ては、安定型最終処分場に埋立処分することができる場合があります。

その際、安定型産業廃棄物以外の廃棄物が混入・付着しないように確認を行った上で埋立処分されなければならない。

安定型産業廃棄物

  • 廃プラスチック
  • ゴムくず
  • ガラスくず
  • コンクリートくず
  • 陶磁器くず
  • 金属くず
  • がれき類

安定型最終処分場は、廃止後に跡地が利用され、廃棄物が掘り出され石綿が飛散するおそれがあるため、跡地の管理・利用がしやすいように一定の場所を定めて埋立てます。

また、廃石綿等と同様に埋立記録をとり保存します。

廃石綿等・石綿含有廃棄物の埋立

廃石綿等・石綿含有廃棄物の埋立方法

廃石綿等・石綿含有廃棄物は、最終処分場内の一定の場所において、石綿が分散しないよう埋立てる必要があります。

閉鎖後に埋立てられている場所を特定しやすいように、分画埋立てを実施し、埋立地の外へ飛散・流出しないように必要な措置を講じます。

埋立て順序

  1. 場内にあらかじめ溝・穴を掘削
  2. その中に袋・容器に入れたまま埋立て
  3. 埋立て完了後は、その上部全面にシートで覆うなどの目印を設置
  4. 石綿を含まない覆土材で、2m以上の厚さで覆土
  5. 重機が直接埋立対象物の上に載ることのないように転圧

埋立ての溝・穴の幅は出来る限り狭くして、深さを深くして、埋立て面積を減らします。

これらが1日で実施できない場合、1日の作業終了後、埋立面の上面に厚さ15cm以上の覆土をして、石綿飛散防止措置を行います。

プラスチック袋を破損させないように、埋立時・転圧時には重機の使用を避け、覆土材の形状に注意をします。

・容器等が破損しているときには十分に水でぬらしてから埋立てます。

まとめ

石綿管

廃石綿等・石綿含有廃棄物の「最終処分」についてまとめました。

廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理の全容については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。

石綿撤去作業のは、通常の土木作業よりも安全性が重視されるため、専門知識が必要になります。

その専門知識を習得するための参考書・専門書をまとめましたので、参考にしてみてください。