概要

廃石綿・石綿含有廃棄物の中間処理における溶融処理について

施設管理者は、石綿含有製品の使用状況を把握し、使用されている場合には、その劣化・破損状況に応じた適切な石綿粉塵暴露防止対策を講じなければいけません。

石綿粉じんばく露防止対策の基本的な手順は、

  1. 石綿含有製品の使用状況の把握
  2. 石綿含有製品の劣化、破損状況の把握
  3. 石綿粉塵暴露防止対策の選定
  4. 石綿含有製品の除去、解体等の対策工事
  5. 廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理

となります。

産廃処理は、「分別→保管→収集→運搬→処分」の流れで実施されます。

処分には、廃棄物を物理的・化学的・生物学的な方法により無害化・安定化・減量化させる「中間処理」と、最終的に自然界に還元する「最終処分」とがあります。

廃石綿等・石綿含有産業廃棄物の中間処理は、「溶融施設を用いて溶融する方法」「無害化処理認定された方法」があります。

今回、これらの廃石綿等・石綿含有廃棄物の溶融処理についてまとめます。

廃石綿・石綿含有廃棄物の中間処理における溶融処理について

出典:JX金属HP

石綿の無害化処理として、現在認められているのは溶融処理方法です。

スラグに1500℃以上の高温で融解させ、均一化することで無害化処理しています。

クリソタイル(白石綿)の溶解点が1521℃ですので、それ以上の高温で溶融され、廃棄物処理施設としての溶融炉は1500℃程度の超高温によるものが使用されます。

溶融中に投入する際には、外気を遮断し、袋に密閉した状態のまま、炉の天井部から直接炉内のスラグに投入します。

溶融炉内投入された廃棄物の温度を速やかに1500℃以上とし、数量・性状に応じて溶融処理に必要な滞留時間を調節します。

無害化された石綿から生じたスラグは、冷却・破砕処理後にケーソンの充填材・セメント材料・再生砕石など土木・建築資材にリサイクルされます。

廃石綿等・石綿含有廃棄物の破砕・切断は原則禁止されているが、溶融施設に投入するために行う前処理としての破砕・切断処理は認められています。

溶融施設の性能

溶融施設の性能は、以下の基準に適合する必要があります。

  • 外気遮断状態で廃棄物を投入できる供給設備が設けられていること。(バッチ式溶融炉等外気に触れないものは対象外)
  • 1500℃以上の状態で溶融でき、滞留時間を保つことができること。
  • 空気量を調節することができること。
  • 溶融炉内の温度を直接・間接的に把握できる位置に、温度を連続測定・記録するための装置が設けられていること。
  • 排出されるガスにより生活環境保全上の支障が生じないように排ガス処理施設(バグフィルター等を有する)が設けられていること
  • 排出されるガス中の石綿濃度が大気汚染防止法に規定する特定粉じん発生施設に係る隣地との敷地境界における規制基準を参考に判断すること。
  • 溶融処理生成物が適正に溶融されていることを確認するために、溶融処理生成物が炉外に出る際の流動状態を確認できるモニター等が設けられていること。

また、溶融処理の前処理として必要な破砕を行う場合は、以下の基準に適合した破砕設備が必要です

  • 溶融施設の付属処理設備として扱い、溶融施設に係る許可時に併せて審査を行うこと。
  • 破砕に適さないものが含まれていないことを連続監視するモニター等、必要な措置が講じられていること。
  • 破砕設備は、石綿含有廃棄物等が飛散しないよう建物の中に設けられていること。
  • 生じる粉塵飛散防止のため、バグフィルタ・集塵器等・散水装置・その他必要な装置を備えていること。

溶融施設の構造

溶融施設の構造は、以下の基準に適合する必要があります。

  • 構造耐力上安全であること。
  • 生ずる排ガス・排水・施設において生ずる薬剤等による腐食を防止措置が講じられていること。
  • 飛散・流出・悪臭・騒音・振動の発散を防止する構造・必要な設備が設けられていること。
  • 蚊、はえ等の発生防止に努め、構内の清潔を保持すること。

溶融施設の維持管理

溶融施設の維持管理は、以下の基準に適合する必要があります。

  • 排出ガス中の石綿濃度を半年に1回以上測定し、記録すること。
  • 溶融処理生成物で石綿が検出されないことを確認する試験を半年に1回以上行い、記録すること。
  • 溶融炉が適切に稼動していることを確認するため、溶融処理生成物の流動状態が適正であることを定期的に確認すること。
  • 排出ガスによる生活環境の保全上の支障が生じないようにすること。
  • 排出ガス処理設備に堆積した煤塵を除去すること。
  • 火災防止のための必要な措置を講ずるとともに、消火設備を備えること。
  • 施設の正常な機能を維持するため、定期的に施設の点検、機能検査を行うこと。
  • 異常事態が生じたときは、直ちに運転を停止し、保全上必要な措置を講じること。
  • 施設の維持管理に関する点検、検査その他の措置の記録を作成し、3年間保存すること。

また、溶融処理の前処理として必要な破砕を行う場合は、以下の基準に適合する必要があります。

  • 破砕に適さないものが含まれていないことを連続的に監視すること
  • 飛散防止のために必要な措置を講じること。
  • 集塵器の出口の排出ガス中の石綿濃度を半年に1回以上定し、記録すること。
  • 集塵器に堆積した粉塵を除去すること。

まとめ

廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理について「分別→保管→収集→運搬→処分」の流れで実施されます。

今回、中間処理における溶融処理ついてまとめさせていただきました。

廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理について、他の流れについて知りたい方は、こちらを参照ください。

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また、石綿撤去作業は、通常の土木作業よりも安全性が重視されるため、専門知識が必要になります。

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個人的な意見ではありますが、おすすめの理由も添えて紹介します。勉強の一助になればと思います。

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