サウンディングとは、ロッドの先端につけた抵抗体を土中に挿入して、貫入・回転・引抜きなどの荷重をかけて、地盤の固さや締まり具合の性状を調査する方法です。
が該当します。
今回は、ベーン試験の試験方法と結果について解説します。
目次
ベーン試験とは?
ベーン試験(ベーンせん断試験)は、土の原位置試験の1つで、軟弱地盤のせん断強さを測る試験です。
正式名称は、地盤工学会基準 JGS 1411 に規定されている「原位置ベーンせん断試験」です。
せん断強さを調べる試験方法として、室内試験では三軸圧縮試験、粘性土地盤の非排水では一軸圧縮試験が用いられているのが一般的です。
軟弱さに応じて、水平載荷試験、ベーンせん断試験等も各種調査指針、技術基準などの調査方法の一つとして位置づけられています。
地盤改良の方法(工法)や杭を含めた基礎の種類の選択指針にもなります。
ベーン試験の試験方法について
ベーン試験は、大きく分けて、「機器設置と摩擦トルクM1の測定」と「測定最大トルクMの測定」に分けられ、それぞれ場合分けしながら正確に測定する必要があります。
試験方法:機器設置と摩擦トルクM1の測定(ボアホール式の場合)
裁荷装置の違い、ボアホール式か押込み式によって操作が異なります。
ボアホール式の場合
- ボーリング孔底を清掃したのち、ベーンシャフトに回転ロッドを接続し、孔底に降下
- ベーンを空転させ、トルク測定装置の読みを取り、試験機の摩擦トルクM1を測定
- 回転ロッドにねじりを与えないようにして、20㎜/secを超えない一定速度で、ベーンを孔底からボーリング孔径の5 倍程度の長さまで押込
- 載荷装置を設置
押込み式の場合
- 回転ロッドと保護管や試験機の摩擦トルクM1は試験前後に地上で測定
- 地表面から500~800mmまで、ベーンを保護管と共に地中に押込
- ベーンのみを押込
- 載荷装置を設置
試験方法:測定最大トルクMの測定
乱さない土か乱した土かの状態により、測定方法が変わります。
乱さない土の測定の場合
- ベーンを固定して、6~12(°/min)ほどでベーンを回転させる。
- 1°ごとにトルク測定装置の指示値を読み取る。
- 最大値が得られるまで試験を続け、測定最大トルクMを求める。
トルクメータを用いた場合:指示値の最大値=測定最大トルクM
荷重計を用いた場合:指示値の最大地×荷重作用半径=測定最大トルクM
ギアドライブ式を用いた場合:荷重計指示値の最大値×0.5×荷重作用半径=測定最大トルク
乱した土の測定
- ベーンを急速に10回以上回転させる。
- トルク測定装置の指示値が一定になったときの値=測定最大トルクMとして求める。
試験用具
この試験には、ボーリング孔を利用して孔底から地中に押し込むボアホール式と、地表から地中に押し込む押込み式があります。
標準的なベーンは直径7.5cm,長さ15cmのものがよく用いられます。
ボアホール式は、ボーリングによって試験孔を掘削した後、ベーンを孔底から地中に押し込み、所定の深さで試験を行う形式のものです。
押込み式は、ベーンを地中に押し込み、所定の深さで試験を行う形式のものです。
押込み時にベーンを保護するためのケースと、回転ロッドと土の摩擦の影響を除くための保護管を有し、二重管構造になっています。
適用範囲
対象とする地盤は、軟弱な粘性土地盤であり、一般にN値2以下の粘土、シルト、分解の進んだ有機質土地盤に有効です。
また、砂やN値4以上の粘性土に対しては試験の実施が困難なことが多く、試験可能な深さは概ね15m程度です。
繊維質を多く含む泥炭などに適用する場合は、十分な検討を必要とする。
試験を結果を用いて、土質判定の仕方(ベーンせん断強さτ)
試験によって、現地の土の強さがわかります。
ベーンせん断強さτ(kN/m2)は、次式で算定されます。
τ=(M-M1)/π(D2H/2+D3/6)
M :測定最大トルク(kN・m)
M1 :試験機の摩擦トルク(kN・m)
D :ベーンブレード幅(m)
H :ベーンブレード高(m)
通常、ベーンブレードはH:D=2:1となるため、以下のように簡便になります。
τ=6(M-M1)/7πD3
試験を結果を用いて、土質判定の仕方(鋭敏比Stv)
乱さない土および乱した土で試験を実施した場合、鋭敏比Stvを次式で算定する。
Stv=τfv/τrv
τfv:乱さない土のベーンせん断強さ(kN/m2)
τrv:乱した土のベーンせん断強さ(kN/m2)
まとめ
ベーン試験の試験方法と結果についてまとめました。
他のサウンディング試験についてもまとめいますので、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
参考ページ:土質調査におけるサウンディング試験について
紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。
参考までに、勉強に使用した書籍をまとめさせていただきます。
参考文献
小規模建築物基礎設計指針.日本建築学会
住宅地盤の調査・施工に関する技術基準書.住宅地盤品質協会
地盤調査の方法と解説.地盤工学会
建築物の構造関係技術基準解説書〈2015年版〉. 建築研究所 (監修), 国土交通省住宅局建築指導課 (編集), 日本建築構造技術者協会 (編集)