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スウェーデン式サウンディング試験の試験方法と結果について

スウェーデン式サウンディング試験 の試験方法と結果について
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サウンディングとは、ロッドの先端につけた抵抗体を土中に挿入して、貫入・回転・引抜きなどの荷重をかけて、地盤の固さや締まり具合の性状を調査する方法です。

サウンディング試験として

が該当します。

今回は、スウェ-デン式サウンディング試験についてまとめます。

スウェーデン式サウンディング試験(スクリューウエイト貫入試験)とは?

スウェーデン式サウンディング試験(スクリューウエイト貫入試験)

スウェ-デン式サウンディング試験(SS試験)は、JIS規格において、深さ10m程度の軟弱地盤層を対象に、原位置における土の硬軟又は締まり具合及び土層の構成を判定するための静的貫入抵抗を求める試験方法です。

北欧のスウェーデン国有鉄道が1917年頃に不良路盤の実態調査として採用され、1954年頃建設省(現、国土交通省)が堤防の地盤調査として導入し、1976年にJIS規格JIS A 1221:2013)として制定されました。

戸建住宅向けの地盤調査のほとんどがスウェ-デン式サウンディング試験を用いています。

規格名称をJIS A 1221:2020「スクリューウエイト貫入試験」に変更され、「SWS試験」とも呼ばれています。

  • 簡易的に地盤支持力(換算N値)を求められる。
  • 費用が安く、小規模建築物(住宅など)の地盤調査方法として広く普及している。
  • 調査期間が短く、5ポイントの場合、半日程度で完了する。

などの特徴があります。

スウェーデン式サウンディング試験方法・手順について

【スウェーデン式サウンディング試験方法・手順】

  1. 長さ0.8mのロッド先端にスクリューポイントを取り付ける。
  2. 受け皿(クランプ、重さ5kg)を固定し、底板を通して調査地点上に鉛直に立てて支える。
  3. このままの状態でロッドが地中に貫入する確認
  4. 貫入する場合は、荷重に対する貫入量を記録
  5. 荷重を載荷用クランプに円筒形のおもりを1枚ずつ順次載荷(5kg⇒15kg⇒25kg⇒50kg⇒75kg⇒100kg)
  6. 荷重に対する貫入量を記録し、その荷重の貫入量とする。
  7. ロッドの長さは最長で1mなので、載荷装置下端が地表面に達したら、ロッドを継ぎ足します。
  8. 載荷荷重100kgで貫入が止まった場合には、ロッドにハンドルを取り付け、ハンドルに鉛直方向の力が加わらないように右回りに回転させ、ロッド目盛線(25cm)まで貫入させるのに要する半回転数を記録
  9. ハンドルの回転数は、180度(半回転)を1回とカウントします。回転貫入の途中で、貫入速さが急速に増大した場合は、回転を停止して、1kN{100kgf} の荷重だけで貫入するかどうかを確かめる。逆に、貫入速さが急激に減少した場合は、それまでの貫入量と半回転数を測定し、貫入を続ける。
  10. スクリューポイントが。硬い層に達した場合・貫入量5cm当たりの半回転数が50回以上となる場合・空転する場合・貫入深度が10mに達した場合、測定を終了

※ロッドを引抜いた後の、測定孔を利用し、地下水位を計測・記録することがあります。

スウェーデン式サウンディング試験の測点数

戸建住宅の場合、5側点(建物の四隅と中央部一カ所)を調査することが一般的です。

ただし、建物規模・建物形状などにより、測点数を調整するケースがあります。

また、「データの差異が著しい箇所がある」「石礫に阻まれて貫入できない」などの場合は適宜測点数を追加します。

スウェーデン式サウンディング試験の記録方法

スウェーデン式サウンディング試験の試験の記録方法です。

荷重によって貫入が進む場合には、荷重の大きさ(Wsw)とスクリューポイント先端の地表面からの貫入 深さ(D)を記録し、そのときの貫入量を求めます。

荷重1kNで、回転によって貫入が進む場合には、半回転数(Na)に対応する貫入後のスクリューポイント 先端の地表面から貫入深さを記録し、そのときの貫入量(L)を記録する。

貫入量に対応する半回転数は、次の式を用いて貫入量1m 当たりの半回転数(Nsw)に換算して記録する。

(L=25cmの場合)Nsw=4Na(半回転数1m)

貫入速度が急激に増大したり減少する場合には、貫入状況を記録する。

調査結果は荷重、半回転数、貫入量1m 当たりの半回転数および試験状況に関する記事を記録する。

スウェーデン式サウンディング試験の費用

測点数によって異なりますが、スウェーデン式サウンディング試験の費用は約5万円程度です。

ボーリング調査や平板載荷試験に比べると、安価に調査することができるので、地盤調査のほとんどがスウェ-デン式サウンディング試験を用いています。

試験を結果を用いて、土質判定方法(N値)

計算

地盤の強さを判定するには、その評価手続きがある程度認知されている「N値」を目安にすることが広く行われています。「N値」は、もともとビルなどの重量構造物向けの地盤調査として普及しているボーリング・標準貫入試験の測定値です。

スウェーデン式サウンディング試験においても、本来のN値に準じる「換算N値」を算出すことのできる換算式が提案されています。「換算N値」を下記の式により算出します。

砂質土・礫質土  N= 2Wsw+0.067Nsw
粘性土 N= 3Wsw+0.050Nsw

Wsw : 載荷荷重(kN)・・・重りの重さ
Nsw : SWS試験における1.00mあたりの半回転数(回)

換算N値の計算例

簡単に計算例を作ってみました。単位の内容をしっかり確認しないとミスが多くなるので、注意しなければなりません。

計算例1:粘性土に50kgのおもりをのせてロッドが貫入し、ハンドルが無回転した場合、

3×(50×9.8×0.001)kN+0.05×0回=1.47≒1.5

計算例2:礫質土に100kgのおもりをのせてもロッドは貫入せず

重りを載せてもロッドが沈まなかったので、ハンドルを回転させ、25cm貫入させるのに7半回転した場合、

2 × (100×9.8×0.001)kN+ 0.067 × 7×4回(1mあたりのNsw)= 3.836≒ 3.8

試験を結果を用いて、土質判定の仕方(長期許容支持力度qa)

計算

通常、地盤の許容支持力度は、ボーリング調査、土質試験などで求められた地盤定数から、支持力式や平板載荷試験などにより算定する。

しかし、スウェーデン式サウンディング試験により算出することもできる。方法については、日本建築学会『小規模建築物基礎設計指針』を参照しました。

qa=30Wsw+0.6Nsw

qa:長期許容支持力度(kN/m2)
Nsw:基礎下2.00mの範囲の平均Nsw ※150を超える場合は150とする。
Wsw:基礎下2.00mの範囲の平均Wsw
※推定土質力が複数になる場合は、各土質の層圧においてNswを算定。算定したNswの内、最小値を採用する。

試験を結果を用いて、土質判定の仕方(一軸圧縮強さquと粘性土の粘着力c)

計算方法

 一軸圧縮強さ(qu)と粘性土の粘着力(C

  • 一軸圧縮強さ  qu=45Wsw+0.075Nsw (kN/m2
  • 粘着力    C=qu/2 (kN/m2)

まとめ

スウェーデン式サウンディング試験について、まとめました。

他のサウンディング試験についてもまとめいますので、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。

勉強に使用した書籍をまとめていますので、ご参照ください。

参考文献

小規模建築物基礎設計指針.日本建築学会

住宅地盤の調査・施工に関する技術基準書.住宅地盤品質協会

地盤調査の方法と解説.地盤工学会

建築物の構造関係技術基準解説書〈2015年版〉. 建築研究所 (監修), 国土交通省住宅局建築指導課 (編集), 日本建築構造技術者協会 (編集)