軟弱地盤対策工法として、
- 表層処理工法
- 緩速載荷工法
- 抑え盛土工法
- 置換工法
- 軽量盛土工法
- 載荷重工法
- バーチカルドレイン工法
- サンドコンパクションパイル工法
- 振動締固め工法
- 固結工法
が挙げられます。
軽量盛土工法では、以下の材料が利用されます。
- EPS(発泡スチロール)
- FCB(気泡混合軽量土)
- 発泡ウレタン
- 発砲ビーズ混合軽量土
- 水砕スラグ
- 焼却灰
- タイヤチップス
- 石炭灰
今回、この中にあるタイヤチップス軽量土工法についてまとめます。
軽量盛土工法におけるタイヤチップス軽量土工法について
タイヤチップ軽量土工法は、軽量化を図ったタイヤチップス混合軽量土を盛土などに用いて荷重低減等を図る工法です。
フランスでは、この廃タイヤ盛土はPneusol(プノソル)と呼ばれており、耐振動性・耐沈下性・防凍性に優れていることが実証されています。
タイヤチップス混合による砂の液状化低減など力学的特性については、下記資料を参照ください・
- 土木学会の講演会資料:タイヤチップス混合による砂の液状化低減
- 御手洗義夫, 安原一哉, & 菊池喜昭. (2007). 古タイヤゴムチップを固化処理土に混合した新しい地盤材料の開発と力学的特性. 土木学会論文集 C, 63(3), 881-900.
タイヤの交換時や廃車時に発生する古タイヤの量は約100万t/年(参照元:一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)で、古タイヤのリサイクル率は約90%ほどですが約半分はサーマル・リサイクルです。
まだ、土木資材としての利用が進んでおらず、欧米諸国での活用事例はあるが、日本でのはほぼありません。
タイヤチップス軽量土工法の材料(タイヤチップス)
タイヤは、天然ゴム・合成ゴム・テキスタイル・ビードワイヤーを主な構成材料としています。
古タイヤゴムチップは、古タイヤを破砕して金属・繊維を除去した後に、篩い機でサイズを分別して作られます。
一般的には平均粒子寸法1〜50mmのものが「ゴムチップ」、それより小さいものを「ゴム粉」、それよりも大きいものを「シュレッド」と呼ばれます。
破砕して作製されるため表面はギザギザや凸凹が多数あり、形状は不定形とされています。
真比重は1.1程度で、通常の土質材料の比重(2.5~2.8 程度)と比べて半分以下の軽量材料です。
弾性係数はETR=1〜5MPa、ポアソン比はν≒0.5 の等方弾性体で、地盤材料の非排水せん断試験における間隙水圧の変化などに基本的な影響を与えません。
タイヤチップスを混合することで、靭性が増します。
タイヤチップ軽量土工法の特徴
タイヤチップ軽量土工法は以下の特徴があります。
【タイヤチップ軽量土工法の特徴】
- 凍上防止効果
- 吸着効果
- 耐久性
凍上防止効果
熱伝導率は砂利や土の1/15〜1/20程度の断熱性を有します。
寒冷地で道路舗装の下層路盤・水路の裏込め材に廃タイヤチップが試験的に利用され、凍上防止効果が確認されています。
吸着効果
ゴム材料である廃タイヤは、有機系の物質を吸収します。
粉砕した廃タイヤを土と混合した鉛直バリア材を構築することによって揮発性有機塩素化合物の漏出が低減されることが示されています。
そのため、廃棄物処理場の排水材・有害物質の吸着材としても用いられます。
耐久性
タイヤゴムは耐油性・耐有機酸性・耐オゾン性・耐紫外線性は低いです。
しかし、耐水性・耐アルカリ性は高いです。
したがって、土木・地盤材料として使用する場合、紫外線や大気に直接暴露されない土中・固化処理土中・水中・海水中などの環境下であれば、耐久性は高いものと考えられています。
注意しなければならないのは、使用されるタイヤは廃タイヤであるため、屋外に長期間放置され紫外線照射や酸化による化学的劣化が生じている場合があります。
タイヤチップはタイヤのゴム部分を数ミリ単位の大きさまで破砕したものであるため、表面の劣化した部分は無視できるほどであるが、注意が必要です。
まとめ
タイヤチップス軽量土工法についてまとめました。
現地条件や設計要件に合わせた適切な検討が重要です。
軽量盛土には他の材料が使われていて、別の材料については下記記事を参照してください。
紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。
勉強に使用した書籍をまとめていますので、ご参照ください。