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標準貫入試験の試験方法と結果について

標準貫入試験の試験方法と結果について
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サウンディングとは、ロッドの先端につけた抵抗体を土中に挿入して、貫入・回転・引抜きなどの荷重をかけて、地盤の固さや締まり具合の性状を調査する方法です。

が該当します。

今回は、標準貫入試験の試験方法と結果について解説します。

標準貫入試験とは?

標準貫入試験

標準貫入試験(SPT:standard penetration test)は、掘削した孔を土をサンプリングして、1mごとに地盤の硬さを測定する調査で、ボーリング調査と呼ばれる地盤調査法です。

1920年代のアメリカで用いられた「レイモンドサンプラー打込み試験」を基に、テルツァギー・ペックが1948年に改良したものについて「標準貫入試験」と呼ばれ、標準的な原位置試験法として認められるようになりました。

1961年(昭和34年)にJISA-1219に「原位置における土の硬軟、締まり具合の相対値を知るためのN値を求める貫入試験」として規定されました。

標準貫入試験の目的は、N値(標準的な地盤指標)という地盤の安定性を推定する目安を得ることです。

N値だけでなく、土の試料を試験と同時に採取することもでき、地盤の性状判定や室内土質試験(主に物理的性質)も可能なため適応性・利用範囲がたいへん大きいことも普及発展になっています。

3階建てや鉄骨造などの物件の確認申請に「構造計算書」を添付しなければならないとき、標準貫入試験が必要です。

長所

  • 多くの国で基準化された試験方法で、結果の評価・対比が容易
  • 現状の土を採取でき、土の観察が容易(物理的な土質試験に使える)
  • N値の利用分野が各種の規準で確立している
  • 過去データが多数蓄積されている
  • 支持層確認(N値≧50が5m連続)が可能

短所

  • 広い調査スペース(乗用車2台分以上)を確保する必要がある
  • 試験時間が長い(場合によっては数日)
  • コストが比較的高い(調査費用は10万以上必要になり、スウェ-デン式サウンディング試験などと比べると2~3倍程度のコストがかかります。)
  • 超軟弱な地盤では、データが荒くなりやすい
  • 打撃音やモーターの音がする

標準貫入試験の試験方法・手順について

標準貫入試験  図解

標準貫入試験の方法を簡単に説明すると、63.5(±0.5)kgのハンマーを760(±10)mmの高さから自由落下させて、SPTサンプラーを土中に300mm貫入させるのに要する打撃回数を測定する試験で、この時の打撃回数がN値です。

300mm貫入不可能な場合は、打撃回数に対する貫入量がN値になります(50回打撃で貫入量15cmの場合、N=50/15)。

詳細な手順については下記の通りです。

【標準貫入試験の試験方法・手順】

  1. 落下装置が正常に作動すること、及びハンマーの落下高さを確認
  2. 打撃カウンター・貫入長測定装置を使用する場合には、正常に作動することを確認
  3. 所定の試験深度(1m)まで試験孔を掘削
  4. 孔底以深の地盤を乱さないように、試験孔底のスライムを除去
  5. 掘削時の機器のロッドの先端に専用のSRTサンプラーを取付
  6. サンプラーを試験孔底へ下して打撃装置の取付
  7. この時点の貫入量を記録。2種類にわけて記入。
    ・ロッド自沈量:ロッドの先端に SPT サンプラーを取り付け,試験孔底へ降ろした時点での貫入量
    ・ハンマー自沈量:アンビルを取り付け,ハンマーの底面がアンビルの上面と水平に接するようにハンマーを静かにセットした時点での貫入量
  8. 予備打ちとして63.5(±0.5)kgのハンマー(打撃装置)を760(±10)mmの高さから自由落下させ、サンプラーを試験孔底から150mm貫入
  9. 予備打ち後、再度自由落下させ、サンプラーを貫入させ、50回を限度に300mmの貫入に必要な打撃回数を記録
  10. 予備打ち後に300mm貫入させるのに必要な全打撃回数をその試験区間の N 値とする。
  11. 所定の打撃回数で貫入量が 300mmに達しない場合、50回を限度に打撃回数に対する貫入量を記録する。

試験を結果を用いて、土質判定の仕方(N値)

計算

N値はNumber(回数)の頭文字で、サンプラーが30㎝貫入するのに何回落下したかを表します。

N値の範囲は、0≦N値≦60になります。

N値の目安は以下のようになります。

N値硬軟注 意 事 項


0~4軟らかい注意を要する軟弱地盤であり、精密な土質調査を行う必要がある。
5~14中位~硬い安定については大体問題はないが、沈下の可能性がある。
15以上非常に硬い安定および沈下の対象としなくて良いが、中小構造物の基礎地盤としては20以上が望ましい。


0~10ゆるい沈下は短期間に終わるが考慮する必要があり、地震時に液状化の恐れがある。
10~30中位~硬い中小構造物の基礎地盤となりうる場合もあるが、一般に不十分である。
30以上大型構造物の基礎としては50以上(非常に密)が望ましい。

N値を用いた土質の判定

計算

N値を用いて、以下の土質判定ができます。

  • せん断抵抗角(内部摩擦角)φ
  • 一軸圧縮強さqu
  • 変形係数E

せん断抵抗角(内部摩擦角)φ

N値を用いて、大崎式でせん断抵抗角が計算できます。

\(φ=\sqrt{20N}+15\)

一軸圧縮強さqu

N値を用いて、一軸圧縮強さquを簡易計算できます。

\({}q_u=12.5N\)

適切に評価するためには、不撹乱試料の採取を行い圧縮試験の実施が必須です。

変形係数E

N値を用いて、孔内水平載荷試験で求める変形係数Ep、平板載荷試験で求める変形係数Esが簡易計算できます。

\({}E_p=700N\)

\({}E_s=2800N\) 過圧密砂の場合

\({}E_s=1400N\) 正規圧密砂の場合

まとめ

土木

標準貫入試験の試験方法と結果についてまとめました。

他のサウンディング試験についてもまとめいますので、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。

参考までに、勉強に使用した書籍をまとめさせていただきます。

参考文献

地質調査要領―効率的な地質調査を実施するために.全国地質調査業協会連合会

ボーリングポケットブック(第5版). 一般社団法人全国地質調査業協会連合会

地盤調査―基本と手引き. 地盤工学会