単位体積質量試験は、「土の単位体積重量・湿潤密度・乾燥密度」を求める試験で、地山・盛土などの現場において行われるので、現場密度試験とも呼ばれます。
単位体積質量試験には、以下の種類があります。
今回は単位体積質量試験(砂置換法)の試験方法と結果についてまとめます。
目次
単位体積質量試験(砂置換法)とは?
砂置換法(JIS A 1214 「砂置換法による密度試験方法」)は、掘り取った土の質量と、掘った試験孔に充填した砂の質量から、原位置の土・砕石の密度を求める試験です。
土木工事で多く用いられ、築堤の場合1,000m3に1回の割合で実施するなど設計図書に基づいた回数実施されます。
この規格で規定する装置及び方法を用いて試験を行うことができる範囲は、最大粒径が53mm以下の地盤に限ります。
また、試験器具の設置で孔壁が崩れるような場所では、試験を行えません。
細粒土を対象にする場合は、コアカッター法を選定してください。
コアカッター法の詳細については、下記の記事をご参照ください。
単位体積質量試験(砂置換法)の手順について
出典:キンキ地質センター
単位体積質量試験(砂置換法)の手順については以下の通りです。
【単位体積質量試験(砂置換法)の手順】
- ジャーとピクノメータトップの体積の校正
- 試験用砂の密度の校正
- 漏斗を満たすのに必要な試験用砂の質量の校正
- 現場における土の密度測定
①ジャーとピクノメータトップの体積の校正
ジャーとピクノメータトップの体積の校正は以下の手順で行われます。
【ジャーとピクノメータトップの体積の校正手順】
- 測定器を組み立て、測定器の質量m1(g)をはかる。
- 測定器を逆さに立て漏斗を上向きにし、ジャーを下にし、バルブを開く。
- 漏斗の上側から測定器に水を入れ、気泡が残らないようにジャーとピクノメータトップを水で満たす。
- バルブを閉じ、漏斗に残った水を捨ててから、乾いた布で測定器の外及び漏斗の内側をよく拭いて乾かす。
- 水で満たした測定器の質量m2(g)をはかってから、直ちに測定器中の水の温度 t(℃)をはかる。
- 測定水温に対するジャーとピクノメータトップの体積を計算する。
- この操作を 3回繰り返して行う。
- 3回の測定の最大値と最小値の差が5cm3以下のとき、その平均値をジャーとピクノメータトップの体積V1(cm3)とする。最大値と最小値との差が5cm3を超えるときは、差が5cm3以下となるまで操作を繰り返す。
ジャーとピクノメータトップの体積の校正を行うことで、ジャーとピクノメータトップの体積V1を以下の式で求めることができます。
V1=(m2ーm1)/ρw
※ρw:測定水温 t(℃)における水の密度(g/cm3)
体積V1(cm3)は、測定器温度が一定でジャーとアタッチメントの組立て位置が変わらない限り不変であるため、試験時の接続位置を常に一定にするためにジャーに目印をつけておきましょう。
また測定器温度が広範囲に変化すると、V1(cm3)値もそれに応じて異なるので、あらかじめその範囲で4〜5点の測定器温度に対して操作を行い、温度変化に伴うV1(cm3)値変化の校正曲線を求めます。
②試験用砂の密度の校正
試験用砂の密度の校正は以下の手順で行われます。
【試験用砂の密度の校正手順】
- 内部をよく乾かした測定器を水平な面の上に逆さに立て、バルブを閉じる。
- 試験用砂を漏斗の上端まで入れ、バルブを開いて砂をジャーとピクノメータが満たされるまで入れる。
- 漏斗中の砂は下部に移動するので、砂面が次第に下がる。その面が常に漏斗の高さの半分以上となるように砂を補う。
- 砂の移動が止まり、ジャーとピクノメータトップが砂で満たされたら、バルブを閉じて漏斗中に残った砂を捨て、砂で満たされた測定器の質量m3(g)をはかる。
- 砂で満たされた測定器の質量m3(g)から、測定器だけの質量m1(g)を減じて、測定器中の砂の質量m4(g)を求める。
- 試験用砂の密度は、上記で得た測定器の体積 V1(cm3)と測定器中の砂の質量 m4(g)から計算によって求める。
- 操作を3回以上行う。
- 3回の測定の最大値と最小値の差が、平均値の 0.85 %以内のとき、その平均値を試験用砂の密度ρdsとする。最大値と最小値の差が 0.85 %を超えるときは,規定を満足する校正結果が得られるまで操作を繰り返す。
試験用砂の密度の校正によって、砂の密度ρdsは以下の以下の式で求めることができます。
ρds=(m3-m1)/V1=m4/V1
ρds:試験用砂の密度(g/cm3)
校正を行った試験用砂の運搬・保管・現地試験のときには、校正時の含水比・粒度が変化しないように管理しなければなりません。
③漏斗を満たすのに必要な試験用砂の質量の校正
漏斗を満たすのに必要な試験用砂の質量の校正は以下の手順で行います。
【漏斗を満たすのに必要な試験用砂の質量の校正手順】
- 漏斗を満たすために十分な量の試験用砂をジャーにあらかじめ入れておき、バルブを閉じ、測定器と入れた砂の質量m3’(g)をはかる。上記で得たジャーとピクノメータトップに満たした砂の質量m3(g)をm3’(g)とする。
- 水平においたガラス板の上にベースプレートを置き、その上に漏斗が密接するように測定器を立てる。
- バルブを開き、ジャーの中の砂を漏斗に入れる。砂の移動が止まってからバルブを閉じる。
- 漏斗に移動した砂を除き、測定器と残った砂の質量m5(g)をはかる。
- m3’−m5(g)から漏斗を満たすために必要な砂の質量m6(g)を求める。
- 操作を3回以上行う。
- 3回の測定の最大値と最小値との差が、平均値の0.85%以内のとき、その平均値を漏斗を満たすのに必要な試験用砂の質量m6(g)とする。最大値と最小値との差が0.85 %を超えるときは、規定を満足する校正結果が得られるまで操作を繰り返す。
④現場における土の密度測定
現場における土の密度測定は以下の手順で行います。
【現場における土の密度測定手順】
- 地表面に緩んだ土・石・ごみがあれば取り除き、試験箇所の地表面を直ナイフで水平にならす。
- 水平にならした地表面にベースプレートを密着させて置く。
- ベースプレートの穴の内側の土を、試験孔掘削器具を用いて孔をできるだけ鉛直に、乱さないように掘る。
- 掘り出した土の全量をビニール袋・容器に入れ、含水比が変化しないように、ビニール袋の口元をしばる・容器に蓋をして保存する。
- 試験孔の深さは、10〜15 cm程度とする。
- 試験孔から掘り出した土の全質量m7(g)をはかる。
- 質量をはかり終わった土をよく混合し、その中か、JIS A 1203 に規定する方法によって含水比 w(%)を求める。
- ベースプレートの穴に漏斗を合わせて測定器を直立させる。
- バルブを開き、ジャーの中の砂の移動が止まってからバルブを閉じる。
- 測定器と残った砂の質量m8(g)をはかる。
- m3−m8(g)から試験孔及び漏斗に入った砂の質量 m9(g)を求める。
- m9(g)から漏斗を満たすために必要な砂の質量 m6(g)を減じて、試験孔を満たすために要する砂の質量 m10(g)を求める。
- 試験孔の体積 V0(cm3)を計算する。
- m7(g)、V0(cm3)及び w(%)の値を用い、土の密度を求める。
密度試験の過程でV0=(m9-m6)/ρds=m10/ρdsを計算します。
密度試験の結果判明したm7・V0・wの値を用いて、以下の式で湿潤密度ρt(g/cm3)・乾燥密度ρd(g/cm3)を求めます。
ρt=m7/V0
ρd=ρt/(1+w/100)
試験器具
試験器具の詳細は以下のとおりです。
【試験器具一覧】
- ジャー :容量約4000cm3、高さ約200mmの透明な容器
- ピクノメータトップ :小さい漏斗状のもので、その上端部はジャーを接続できるようにめねじとなっており、下端部はバルブガイドに固定されているもの
- 漏斗:下端の内径が162±1mm、下端からバルブガイドまでの高さが134±1mmの寸法をもつもので、上端はバルブガイドに固定されているもの
- バルブガイド :ピクノメータトップと漏斗とを固定する部品で、直径12.5±0.5mmの孔口とバルブをもつもの
- ベースプレート:直径約300mmの円形状、または一辺約300mmの正方形状の金属製板で、その中央に漏斗の内径に等しい穴をもつもの
- 試験用砂:JIS Z 8801-1に規定する金属製網ふるいの目開き2mmを通過し、75μmに残留する粒径範囲のもので、水洗いして十分に乾燥した砂
密度測定器は、ジャーとアタッチメントを組み立て一体の容器で、アタッチメントは一体となった金属性のものに限るので注意です。
砂置換法の試験器具は、セットで市販されているものがあり、簡単に用意できます。
まとめ
単位体積質量試験(砂置換法)の試験方法と結果についてまとめました。
他の単位体積質量試験についてもまとめてますので、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。
勉強に使用した書籍をまとめていますので、ご参照ください。
参考文献
地盤工学会「地盤調査法」
地盤調査の方法と解説. 地盤工学会
地質調査要領―効率的な地質調査を実施するために.全国地質調査業協会連合会