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生態学の適応進化における繁殖戦略「小卵多産・大卵小産」について

生態学の適応進化における繁殖戦略「小卵多産・大卵小産」について
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生物が誕生して、成長・繁殖を遂げて最後に死亡するまでのサイクルを生活史と呼びます。

自然選択が長く働き続けると、生物の適応度が最大化し、生物の形質は環境に最も適応したものに進化します。

しかし、ある形質を進化させると別の形質を犠牲にしてしまう、形質間おける拮抗関係(トレードオフ)が生じます。

トレードオフになりやすい形質として、「生存戦略・成長速度・繁殖時期・体長・繁殖・寿命」が挙げられます。

今回は、その中で繁殖の「小卵多産・大卵小産」についてまとめます。

「小卵多産・大卵小産」とは?

「小卵多産・大卵小産」

生涯繁殖成功度Wは、ある令までの生残率・産卵数で決定されます。

W=Σιxm
 W:生涯繁殖成功度
ιx:x令までの生残率
mx:X令までの産卵数

卵に対して振り分けられる資源量が限られているため、産卵数を増やすと卵が小さくなり、生残率を高めるためには卵を大きくすると産卵数が減ります。

このことを「小卵多産・大卵小産」戦略と呼び、生態学におけるトレードオフの事例としてよく取り上げられます。

どちらが選択されるかは、「r-K選択説(r/K selection theory)」で説明されることが多いです。

  • r選択:種内競争が激しくないときに、個体の潜在的な増殖能力を高めるように作用し、内的自然増加率を大きくする自然選択
  • K選択:種内競争が激しいときに、種内競争を勝ち抜くように作用し、K環境収容力を大きくする自然選択

r選択の場合は小卵多産、K選択の場合は大卵小産になります。

r-K選択の詳細については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。

大卵少産の利点・欠点

大卵少産

大卵であると、卵1個に多くの栄養を持たせることができるので、ある程度成長した段階の子を産むことができ、生残率が高くなります。

繁殖の回数を減らすことができるので、親の繁殖時のリスクを減らし生存率を高めることができます。

大卵ですので産卵時に分布を広げられない欠点もあります。

小卵多産の利点・欠点

小卵多産

たくさんの子どもを産むことができるので、群の分布を広げることができます。

親の環境が悪くなっても、別の環境で生存しやすいです。

外敵が多い環境にも分布を広げていくので、全体の生存率が高くないです。

まとめ

自然環境

生態学の適応進化における繁殖戦略「小卵多産・大卵小産」についてまとめました。

生態学についてより深く勉強するのに、おすすめの書籍をまとめていますのでご参照ください。