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恒温動物における温度戦略の特徴 ~温度調節反応・異温性~

恒温動物における温度戦略の特徴 ~温度調節反応・異温性~
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動物は、体温を一定に保つ「恒温動物」と環境温度によって体温が変動する「変温動物」に分類することができます。

それぞれの生存戦略があり、体温調節の仕組みが決定されています。

今回は、恒温動物の温度戦略について、温度調節反応・異温性をまとめます。

恒温動物とは?

ナマケモノ

恒温動物とは、環境温度・自身の活動に関係なく体温を一定に保つ性質を持つ動物です。

恒温動物であるのは、鳥類・哺乳類だけと考えられていましたが、誤っていることが最近わかっています。

哺乳類のナマケモノ・カッコウは変温動物であり、アキアカネは恒温動物です。

そのため恒温動物という表記がされることは少なくなり、体温が主に代謝熱で維持されている「内温動物」と表記されることが多くなっています。

内温動物の対になるのが「外温動物」で、太陽放射エネルギーなどの外部熱源に依存して熱を得ています。

温度調節反応について

犬 あえぎ

恒温動物の体温調節中枢は視床下部にあり、視床下部の中枢性温度受容器・皮膚等にある末梢性温度受容器からの感覚情報を受け取って、温度調節反応を指示しています。

刺激によって、異なる体温調節の仕組みによって対応しています。

  • 温熱刺激を受けた場合
    副交感神経を介して皮膚の毛細血管を拡張させ、体の表面からの熱喪失を増加
    ・汗腺が使える場合、をかいて体の表面からの熱喪失を増加
    ・汗腺が使えない場合、
    浅くて速い呼吸を繰り返す「あえぎ呼吸」をすることで、気道での水分蒸発を増加させ熱喪失を増加
  • 寒冷刺激を受けた場合
    交感神経を介して皮膚の毛細血管を収縮させ、体の表面からの熱損失を減少
    骨格筋等における熱生産を増加
    ・アドレナリンや甲状腺ホルモン分泌による代謝促進で熱生産の増加

異温性について

ハチドリ

異温性とは、恒温動物において体温が正常体温の範囲内よりも変動する性質のことです。

時間的に変動する場合を時間的異温性、体の一部分を中心部と違う温度に保つことを局所的異温性と呼びます。

時間的異温性

時間的異温性は、エネルギーを節約するために一時的に環境温度に近いところまで体温を下げる能力です。

小さな恒温動物は、熱生産能力よりも多くの熱を奪われやすく、連続的にエネルギーを摂取できない状態になると体温を高く維持することは困難です。

リス・ネズミ・コウモリの仲間は、食物が確保できない冬場は、環境温度とほとんど変わらない体温を維持するように冬眠します。

また非常に小さな恒温動物は、1日の中で冬眠のように体温を管渠温度に近いところまで下げる「デイリートーパー」という状態を作り出す種もいます。

昼行性のハチドリは毎晩のデイリートーパーであり、夜行性のコウモリの仲間は毎昼のデイリートーパーをして活動を抑えています。

局部的異温性

局部的異温性は、動脈と静脈が接している部分で動脈血から静脈血に熱が移動する「対向流熱交換システム」を用いて、体の一部分を中心部と違う温度に保つ能力です。

鯨類などのヒレ・尾などは、静脈血は動脈血によって温めることで、末端部分の温度が低下しても体外への熱損失を抑えることができます。

サバンナに生息する草食動物などは、逃走などの激しい運動をした際に脳の温度が上がらないように、鼻腔周辺に静脈血を溜める洞・動脈を細く枝分かれさせるなどの工夫がされています。

まとめ

ガゼル

恒温動物の温度戦略について、温度調節反応・異温性をまとめました。

生態学を勉強するのにおすすめのテキストをまとめましたので、参考にしてください。