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生態学における「種分化」の種類について

生態学における「種分化」の種類について
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進化とは遺伝子プールの構造が次世代において変化することです。

種分化が起こる前の遺伝子プールの構造変化を小進化、種分化以上が起きた遺伝子プールの構造変化を大進化と区別されることがあります。

種分化は、進化において新たな生物種が誕生する過程です。

今回、この種分化についてまとめます。

種分化とは?

生態系

生物学的には種分化とは「潜在的に交配可能な集団間での生殖隔離の発達」を指します。

遺伝的交流が絶たれて、隔離が行われることです。

生態学的には、種分化とは「分岐自然選択によって生殖隔離が発達する種分化の様式」とも表現されます。

分化自然選択は、「環境の違い・集団間相互作用・環境依存の性選択」によって生じるとされています。

分かれつつある集団が母集団からどれくらい地理的に隔離されているかで分類することができ、以下の4つになります。

【種分化の種類】

  1. 異所的種分化(allopatric speciation)
  2. 周辺種分化(peripatric speciation)
  3. 側所的種分化
  4. 同所的種分化

①異所的種分化(allopatric speciation)

異所的種分化

異所的種分化(allopatric speciation)は、地理的に隔離された二つの集団が別々の種に進化することです。

地理的種分化(geographocal speciation)と呼んだり、異所的種分化を分断種分化と周縁的種分化に分類した場合は分断種分化(vicariant speciation)になります。

異所的種分化のプロセスは以下の通りです。

  1. 地理的隔離氷河・川・渓谷など物理的障壁によって、集団間の遺伝的交流の断絶
  2. 独立した進化:異なる環境条件にさらされ、異なる形質発現
  3. 種の分化母集団と異なる選択圧・遺伝的浮動により、遺伝子型・表現型が母集団と異なり生殖隔離が発達する(別種となる)

ガラパゴスフィンチ(ダーウィンのフィンチ)・タイリクオオカミなどが異所的種分化の題材として使われます。

②周辺種分化(peripatric speciation)

周辺種分化

周辺種分化(peripatric speciation)は、母集団から隔離され遺伝子の交換が制限された小集団が異なる種に進化することです。

異所的種分化を分断種分化と周縁的種分化に分類することができ、異所的種分化に含意されます。

少数個体が新しい生息地へ移住することで強い遺伝的浮動・淘汰圧がかかる「創始者効果(founder effect)」が働く点で、異所的種分化(分断種分化)と大きく異なるのです。

ハワイ諸島のショウジョウバエなどが周辺種分化の題材として使われます。

③側所的種分化

側所的種分化

側所的種分化は、2つの集団の生息地は基本的には離れているが部分的に重複し、地理的障壁を行き来する状態で別々の種に進化することです。

2つの集団をつなげる交雑帯・接触帯があるのが特徴です。

交雑個体の適応度の低下が2種の融合を妨げる選択圧をもたらします。

事例としてはほとんどなく、側所的種分化ではなく異所的種分化である場合が多いです。

④同所的種分化

同所的種分化

同所的種分化は、全く地理的に隔離されていない集団から異なる種が進化することです。

同所的種分化は非常に限られた条件でのみで可能なため、非常に稀な事例になります。

植物では、2倍体が倍数化した異質倍数体(allopolyploid)が生まれる跳躍的種分化(quantum speciation)・飛び越え種分化(transilience)などが例に挙げられます。

動物では、アフリカ湖のカワスズメ科魚類において、オスの体色に対するメスの選好性の進化によって同所的種分化が生じたと示されています。

最近では、日本の研究チームがインドネシアのスラウェシ島の古代湖に生息する3種のメダカで同所的種分化を証明され、集団の外からの個体の移入による種間交雑とそれに伴う遺伝的変異の供給が同所的種分化の引き金となった可能性が示唆されました。(琉球大学HP)。

まとめ

自然環境

生態学における「種分化」についてまとめました。

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