施設管理者は、石綿含有製品の使用状況を把握し、使用
石綿粉じんばく露防止対策の基本的な手順は、
- 石綿含有製品の使用状況の把握
- 石綿含有製品の劣化、破損状況の把握
- 石綿粉塵暴露防止対策の選定
- 石綿含有製品の除去、解体等の対策工事
- 廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理
となります。
産廃処理は、「分別→保管→収集→運搬→処分」の流れで実施されます。
処分には、廃棄物を物理的・化学的・生物学的な方
廃石綿等・石綿含有産業廃棄物の中間処理は、「溶融施設を用いて溶融する方法」「無害
今回、これらの廃石綿等・石綿含有廃棄物の溶融処理についてまとめます。
廃石綿・石綿含有廃棄物の中間処理における溶融処理について
出典:JX金属HP
石綿の無害化処理として、現在認められているのは溶融処理方法です。
スラグに1500℃以上の高温で融解させ、均一化することで無害化処理しています。
クリソタイル(白石綿)の溶解点が1521℃ですので、それ以上の高温で溶融され、廃棄物処理施設としての溶融炉は1500℃程度の超高温によるものが使用されます。
溶融中に投入する際には、外気を遮断し、袋に密閉した状態のまま、炉の天井部から直接炉内のスラグに投入します。
溶融炉内投入された廃棄物の温度を速やかに1500℃以上と
無害化された石綿から生じたスラグは、冷却・破砕処理後にケーソンの充填材・セメント材料・再生砕石など土木・建築資材にリサイクルされます。
廃石綿等・石綿含有廃棄物の破砕・切断は原則禁止されているが、溶融施設に投入するために行う前
溶融施設の性能

溶融施設の性能は、以下の基準に適合する必要があります。
- 外気遮断状態で廃棄物を投入できる
供給設備が設けられていること。(バッチ式溶融炉等外気に触れないものは対象外) - 1500℃以上の状態で溶融でき、滞留時間を保つこ
とができること。 - 空気量を調節することができること。
- 溶融炉内の温度を直接・間接的に把握できる位置に、温度を連続測定・記
録するための装置が設けられていること。 - 排出されるガスにより生活環境保全上の支障が生じ
ないように排ガス処理施設(バグフィルター等を有する)が設けられていること 。 - 排出されるガス中の石綿濃度が大気汚染防止法に規定す
る特定粉じん発生施設に係る隣地との敷地境界における規制基準を 参考に判断すること。 - 溶融処理生成物が適正に溶融されていること
を確認するために、溶融処理生成物が炉外に出る際の流動状態を確 認できるモニター等が設けられていること。
また、溶融処理の前処理として必要な破砕を行う場合は、以下の基準に適合した破砕設備が必要です
- 溶融施設の付属処理設備として扱い、溶融施設
に係る許可時に併せて審査を行うこと。 - 破砕に適さないものが含まれていないことを連
続監視するモニター等、必要な措置が講じられていること。 - 破砕設備は、石綿含有廃棄物等が飛散しないよう建物の中に設けら
れていること。 - 生じる粉塵飛散防止のため、バグフ
ィルタ・集塵器等・散水装置・その他必要な装 置を備えていること。
溶融施設の構造

溶融施設の構造は、以下の基準に適合する必要があります。
- 構造耐
力上安全であること。 - 生ずる排ガス・排水・施設におい
て生ずる薬剤等による腐食を防止措置が講じられ ていること。 - 飛散・流出・悪臭・騒音・振動の発散を防止する構造・必要な設備が設けられていること。
- 蚊、はえ等の発生防止に努め、構内の清潔を保持すること。
溶融施設の維持管理

溶融施設の維持管理は、以下の基準に適合する必要があります。
- 排出ガス中の石綿濃度を半年に1回以上測定し、記録するこ
と。 - 溶融処理生成物で石綿が検出されないことを確認する試験を半年に1回以上行い、記録すること。
- 溶融炉が適切に稼動していることを確認するため、溶融処理生成物
の流動状態が適正であることを定期的に確認すること。 - 排出ガスによる生活環境の保全上の支障が生じないようにすること。
- 排出ガス処理設備に堆積した煤塵を除去すること。
- 火災防止のための必要な措置を講ずるとともに、消火設備を備える
こと。 - 施設の正常な機能を維持するため、定期的に施設の点検、機能検査
を行うこと。 - 異常事態が生じたと
きは、直ちに運転を停止し、保全上必要な措置を講じること。 - 施設の維持管理に関する点検、検査その他の措置の記録を作成し、
3年間保存すること。
また、溶融処理の前処理として必要な破砕を行う場合は、以下の基準に適合する必要があります。
- 破砕に適さないものが含まれていないことを連続的に監視すること
。 - 飛散防止のために必要な措置を講じること。
- 集塵器の出口の排出ガス中の石綿濃度を半年に1回以上測
定し、記録すること。 - 集塵器に堆積した粉塵を除去すること。
まとめ

廃石綿・石綿含有廃棄物の中間処理における「溶融処理」についてまとめました。
廃石綿等・石綿含有廃棄物の産廃処理の全容については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:廃石綿等・石綿含有廃棄物の「産廃処理」について
石綿撤去作業のは、通常の土木作業よりも安全性が重視されるため、専門知識が必要になります。
その専門知識を習得するための参考書・専門書をまとめましたので、参考にしてみてください。