軟弱地盤対策工法として、
- 表層処理工法
- 緩速載荷工法
- 抑え盛土工法
- 置換工法
- 軽量盛土工法
- 載荷重工法
- 振動締固め工法
- サンドコンパクションパイル工法
- バーチカルドレーン工法
- 固結工法
- 排水工法
が挙げられます。
軟弱地盤対策工法において、「表層処理工法」の方法・特徴についてまとめます。
目次
表層処理工法の方法・特徴について
表層処理工法は、地盤の局部的なせん断変形を抑えてトラフィカビリティを確保するために、上部荷重を均一に地盤に伝播させる目的で施工されます。
高含水の粘性土の対策として、基礎地盤の表層に簡易な工法を適用して地盤改良を図り、軟弱層の圧密のための「上部排水層」、盛土中への地下水の上昇を遮断する「地下排水層」、施工機械のトラフィカビリティを確保する「支持層」の3つの役割を果たします。
表層処理工法の細かな手法は以下の4つになります。
【表層処理工法の手法】
- 表層排水処理工法
- サンドマット工法(敷砂工法)
- 敷設材工法(表面被覆工法)
- 表層混合処理工法(添加材工法)
表層排水処理工法
表層排水処理工法は、地表面にトレンチ(溝)を掘削して、地盤表層部の地表水をトレンチに導いて、表層地盤の含水比を低下させる工法です。
基礎地盤の表面付近が軟弱層で地下水位が高い場合に用いられ、施工機械のトラフィカビリティを確保します。
トレンチを地下排水溝として利用するため、透水性の高い砂礫・良質の砂で埋め戻します。
トレンチ
トレンチの寸法は、一般に幅0.5m、深さ0.5~1.0m程度です。
場合によっては、有孔管(Φ300程度)を用いて、排水を促します。
【トレンチの配置条件】
- 地形勾配を利用して、自然排水ができるようにする。
- 盛土の沈下に伴う勾配の変化を考慮する。
- 周辺の切土部などから盛土に水が侵入に注意する。
- トレンチ間隔をできるだけ密にして排水性能が影響されないようにする。
サンドマット工法(敷砂工法)
サンドマット工法は、透水性の高い砂・砂礫を層状に敷均することで排水槽を形成し、地表水の排除・地盤の強度を高める工法です。
軟弱な地盤を改良するために、以下の2つの機能が求められる際にサンドマット工法が用いられます。
- 軟弱地盤の改良工事を行う重機の支持層としての機能
- 改良時に下からの湧水を排出する上部排水層としての機能
軟弱地盤が表層部の浅い部分だけにある場合は、サンドマットだけで軟弱地盤処理の目的を果たすことがありますが、基本的には他の軟弱地盤処理と併用します。
例えば盛土敷内に湧水箇所がある場合や雨水等が集水しやすい地形においては、地下排水工が併用されます。
施工方法
地層のコーン支持力(kN/m2) | サンドマット工法の施工厚(cm) |
200以上 | 50 |
200〜100 | 50〜80 |
100〜75 | 80〜100 |
75〜50 | 100〜120 |
50以下 | 120 |
サンドマット工法は、改良したい軟弱地盤より1m上に透水性の高い砂・砂礫を50~120cmの厚さでブルドーザで敷均します。
サンドマットの厚さは、用いる施工機械のトラフィカビリティから、上記の表にように決定されます。
サンドマットの材質
サンドマットに用いる砂は、透水性の高いものを用いる必要があります。
排水層としての機能を求める場合は、最低50cmは75μmフルイ通過分が3%以下(細粒分含有率Fc≦3%)を有する砂の敷設が必要です。
現場発生土が有効利用条件を満たせば良いのですが、サンドマット用の砂を別途運搬等必要な場合は経済性が悪くなります。
敷設材工法(表面被覆工法)
敷設材工法(表面被覆工法)は、基礎地盤上にそだ・竹枠・鉄鋼・ジオテキスタイルなどの敷設材を敷き広げる工法です。
施工機械のトラフィカビリティを確保したり、盛土荷重を均等に支持して地盤の局部的な沈下や側方変位を抑制して盛土作業の円滑化を図ります。
盛土のための軟弱地盤補強として用いられ、敷設材の引張強度・剛性・排水機能を利用して、盛土の荷重を均等分布させ地盤支持力を増加できます。
敷設材工法は、敷設材によって以下に大別されます。
【敷設材工法の手法】
- 敷布(シ-ト)工法
- 敷網(プラスチックネット)工法
- ロ-プネット工法
かなり強度の低い軟弱地盤上の場合、ジオテキスタイルを杭や深層混合処理杭と組み合わせるパイルネット工法・ジオグリット・深層混合処理などの併用工法などがあります。
敷設材
敷設材のせん断強さ・引張強さを利用するため、敷設材の選定には注意が必要です。
表層地盤の強度・施工機械の重量・盛土重量の大きさ・載荷幅により適切な敷設材を選定します。
敷設材としてはそだ・竹枠などが用いられていましたが、入手の難易姓・施工の迅速
性から、ジオテキスタイルが用いられるようになりました。
表層混合処理工法(添加材工法)
表層混合処理工法は、生石灰・消石灰・セメントなどの添加剤を軟弱な表土層に混入し、地盤の圧縮性・強度特性を改良し、支持力の増大・トラフィカビリティの確保を図る工法です。
GL-2m程度の深さにだけ対応できるので、浅層混合処理工法(浅層:せんそう)とも呼ばれます。
添加剤の土との反応時間はかなり緩やかなので、必要強度が発現するまでの養生時間が長いことに注意が必要な工法です。
施工方法
【表層混合処理工法施工手順】
- 所定の深さまで掘削
- 軟弱地盤上にあらかじめ添加剤を散布
- 攪拌機械により攪拌・混合
- 一定期間養生後
- ローラ・ブルドーザ等で整正・転圧して、硬化
施工後の改良強度を確認する場合、一軸圧縮試験・CBR試験を実施します。
添加材の添加量
添加材の添加量は、土質条件・要求される改良強度により、事前に配合試験を実施して決定することが原則です。
有機物の混入状況・含水量によっては、目的とする改良効果が期待できない場合があります。
現場で添加剤が吸水することがないよう、サイロ等を設置するなど管理を徹底する必要です。
施工機械(撹拌機械)
表層混合処理工に用いる施工機械は、スタビライザー・バックホウの先端に撹拌装置を取り付けたものが一般に用いられている。
バックホウの先端に取り付ける攪拌装置には、「バケット内に攪拌翼が付いたもの・攪拌翼のみ・フォーク状・杭状」など様々なタイプがあり、施工の目的・条件に適応した適切な機械を選定し、混合剤が改良土層中に均質に混合する必要があります。
バックホウは、軟弱地盤の表層2m程度までを固化できます。
履帯式スタビライザー施工機は、軟弱地盤の表層1.2m程度までしか固化できませんが、施工性が良いため大規模工事に適しています。
まとめ
軟弱地盤対策工法における「表層処理工法」の方法・特徴についてまとめました。
他の軟弱地盤工法については、下記記事でまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:軟弱地盤対策工法の施工方法について
紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。
勉強に使用した書籍をまとめていますので、ご参照ください。