岐阜県の西濃地域を中心にハリヨという魚が生息しており、生息地を公園化することで地域資源として活用されています。
そのため、子どもと一緒に安全に自然観察ができるスポットが多くあります。
多くのスポットの中から、以下の場所を紹介させていただきます。
【岐阜県西濃地域のハリヨ生息地】
- 曽根城公園:岐阜県大垣市曽根町
- 西之川ハリヨの池広場:岐阜県大垣市西之川町
- 矢道ハリヨの池広場:岐阜県大垣市矢道町
- 加賀野八幡神社:岐阜県大垣市加賀野
- みずきの森水・みずきの郷:岐阜県大垣市中野町
- 万石の名水「幸福の泉」:岐阜県大垣市万石
- 池田町八幡のハリヨ繁殖地:岐阜県揖斐郡池田町
- 表佐ハリヨ生息地「湯壺池」:岐阜県垂井町
- 北部浄水公園ハリヨ生息地:岐阜県海津市南濃町
- 津屋川水系清水池ハリヨ生息地:岐阜県海津市南濃町
- 広畑ハリヨ生息池:岐阜県養老郡養老町
- ハリヨとその生息地:岐阜県瑞穂市
※1 環境保護の観点から、市町村にて公表されGoogleマップ上にも掲載されている、広く認知されている生息地に絞らせていただきます。
※2 公表されていない生息地は、公然の秘密として扱い、ネット・SNSなどで流布するのは非常に危険なので控えましょう。
目次
ハリヨとは?
ハリヨはトゲウオ目トゲウオ科の魚で、岐阜県と滋賀県の湧水のある河川に分布しています。
高水温(20〜25°C以上)の水域では生息できないため、年中15°C程度に保たれている豊富な湧水がある環境にだけ生息できる種です。
また、ハリヨは水底に巣を作るため砂泥底・砂地が繁殖地として適しており、巣が流されない緩やかな流れ(15cm /秒以下)・巣材の繊維状植物片が使用できる環境(水性植物に覆われている)が好ましいとされている。
雄がナワバリを持ち、巣に数尾の雌を誘い入れて産卵させ、雄は育児に終始。
繁殖後、多くの個体は死亡し寿命は1〜2年と短命です。
岐阜県内では以下のような希少種・天然記念物に指定されています。
- 岐阜県レッドリスト絶滅危惧I類
- 岐阜市レッドリスト絶滅危惧種I類
- 岐阜県希少野生生物保護条例指定種
- 海津市天然記念物
- 「海津市津屋川水系清水池ハリヨ生息地」として国の天然記念物
- 「池田町八幡のハリヨ生息地」として池田町の天然記念物
これらに該当しているため、生息地での採取は禁止されているところがほとんどです。
湧水に集まる習性がありますので、湧水を見つければ簡単に観察することができますので、捕獲せずに目視のみで観察しましょう。
①曽根城公園:岐阜県大垣市曽根町
「曽根城公園」は、大垣で一番大きな古大垣輪中堤に隣接し、約21,800m2の公園です。
大きなハリヨ池があり、案内看板もしっかり完備されています。
公園に併設されているので、駐車場も広くトイレも併設されているため、観察がしやすいように整備されていておすすめです。
②西之川ハリヨの池広場:岐阜県大垣市西之川町
「西之川ハリヨの池広場」は、ハリヨの鑑賞池がある憩いの場として整備され、地元の西之川ハリヨ保存会の手で大切に保護されています。
防鳥ネットもされており、遠目では観察しずらそうに見えますが、湧水が沸いているポイントがわかりやすく、ハリヨを容易に見つけることができるのが特徴です。
貴重な生息地であるため、岐阜県指定の天然記念物と西之川町ハリヨ指定希少野生動物保護区になっています。(岐阜県HP)
③矢道ハリヨの池広場:岐阜県大垣市矢道町
「矢道ハリヨの池広場」は矢道川の湧水池で、JRの線路近くの田んぼの中にポツンとあります。
大垣市の天然記念物に指定されており、渇水時のための井戸ポンプが整備されるなど、保全地としての機能の方が充実しています。
人が全くいないことから、生き物の観察には非常に良く、住居がないので水も綺麗です。
④加賀野八幡神社:岐阜県大垣市加賀野
「加賀野八幡神社」は、「加賀野城の跡地」の一部に建っており、安産の神が祀られている神社です。
加賀野八幡神社にある井戸「加賀野八幡神社自噴井」は、昭和61年に「岐阜県の名水」・平成20年に環境省「平成の名水百選」に選定されるほど、清水が湧き出ています。
加賀野八幡神社自噴井の流出先に「ハリヨ池」と呼ばれるハリヨの生息地があります。
加賀野のハリヨ池と水路の一部は「加賀野ハリヨ指定希少野生生物保護区」に指定されています。
⑤みずきの森水・みずきの郷:岐阜県大垣市中野町
みずきの森水(しんすい)は、大垣女子短期大学内にある、広く市民に開放されている湧水口です。
大垣女子短期大学の校舎耐震補強工事の際にミネラル分の豊富な水脈を発見できたため、平成16年3月に整備されました。
このみずきの森水を利用した「みずきの郷」に、ハリヨが生息しています。
清水の噴出口にのみ生息できる「ハリヨ」「バイカモ」などが生息しています。
貴重な生息地ですが、大垣女子短期大学内にあるため、男性の方は少し観察しに行きづらいかもしれません。
⑥万石の名水「幸福の泉」:岐阜県大垣市万石
万石の名水「幸福の泉」は、地下147mから湧き上がった毎分2tの水量を誇る、大垣の東玄関を代表する自噴井戸です。
大垣市万石にある大垣フォーラムホテルの敷地内にあり、平成12年7月に設置されました。
「幸福の泉」から安定した湧水が注がれる大垣フォーラムホテル玄関前の小渓流は、年間通じて12℃前後の水温を保たれています。
この環境を活かして、約100匹のハリヨを放流し、ハリヨの保護が実施されています。
⑦池田町八幡のハリヨ繁殖地:岐阜県揖斐郡池田町
「池田町八幡のハリヨ繁殖地」は、地元の保存会によって守られています。
池として規模が大きく、しっかりと防鳥ネットで保護されているので、観察はできるのですが、見にくい点は注意が必要です。
貴重な生息地であるため、岐阜県の天然記念物に指定されています。
⑧表佐ハリヨ生息地「湯壺池」:岐阜県垂井町
表佐(おさ)ハリヨ生息地「湯壺池」は、垂井町指定の天然記念物で、湧水が自噴するスポットです(垂井町HP)。
表佐地域は、伊吹山水系の扇状地末端に位置し、河間(ガマ)と呼ばれる湧水が多く点在しています。
その河間の中でも、特に湧水の量が豊富なところを「湯壺」と呼び、大切に維持されてきました。
湯壺の池の水温は15.5℃前後に保たれており、ハリヨの生息に適した環境です。
魚群も多く見られ、時期と場所によっては梅花藻を見る事ができます。
⑨北部浄水公園ハリヨ生息地:岐阜県海津市南濃町
北部浄水公園ハリヨ生息地は、湧水が豊富な約600m2の池です。
隣接する北部浄水公園の池とは区切られており、大切に保全されています。
2018年03月に湧水池改修工事が行われ、観察しやすいようにウッドデッキが整備されました(日本興業株式会社HP)。
清水が豊富であるため、多くのハリヨが生息・繁殖できているので、簡単にハリヨが見つかります。
他の保全地よりも観察が容易であるため、おすすめの観察地です。
⑩津屋川水系清水池ハリヨ生息地:岐阜県海津市南濃町
「津屋川水系清水池ハリヨ生息地」は、平成24年9月19日に国の天然記念物に指定されました。
また、岐阜県希少野生生物保護条例の「指定希少野生生物」「保護区」にも指定されています。
「津屋川水系清水池ハリヨ生息地」の指定対象区域は、岐阜県海津市南西部で養老山地の東山麓に位置する湧水池とそれを源流とする細流であり、指定面積は1181m2です(参照元:津屋川水系清水池ハリヨ生息地 保存管理計画(案))。
湧水は季節により変化はあるものの約30L/分の湧出水量があり、150mほどの細流によって津屋川に注がれています。
⑪広畑ハリヨ生息池:岐阜県養老郡養老町
「広畑ハリヨ生息池」は、岐阜県養老郡養老町の六社神社境内にある生息地です。
湧水を取り込んでハリヨの保全をしています。
⑫ハリヨとその生息地:岐阜県瑞穂市
市指定天然記念物「ハリヨとその生息地」は、湧水がでるガマの1つ「十八条東沼」とそこに生息するハリヨが保護・保全の対象です。
地域の民話・伝説をまとめた「すなみ百話」では、正月の朝にだけ機(はた)を織っているような音が聞こえるという「はた織りがま」として登場しています。
瑞穂市給食センターの敷地内で公開されているので、比較的訪問しやすい保全地です。
ちょっと木々が生い茂りすぎて観察に向かないかもしれませんが、保全地として一級品です。
まとめ
【岐阜県西濃地域のハリヨ生息地】
- 曽根城公園:岐阜県大垣市曽根町
- 西之川ハリヨの池広場:岐阜県大垣市西之川町
- 矢道ハリヨの池広場:岐阜県大垣市矢道町
- 加賀野八幡神社:岐阜県大垣市加賀野
- みずきの森水・みずきの郷:岐阜県大垣市中野町
- 万石の名水「幸福の泉」:岐阜県大垣市万石
- 池田町八幡のハリヨ繁殖地:岐阜県揖斐郡池田町
- 表佐ハリヨ生息地「湯壺池」:岐阜県垂井町
- 北部浄水公園ハリヨ生息地:岐阜県海津市南濃町
- 津屋川水系清水池ハリヨ生息地:岐阜県海津市南濃町
- 広畑ハリヨ生息池:岐阜県養老郡養老町
- ハリヨとその生息地:岐阜県瑞穂市
自然観察できるハリヨの生息地を紹介しました。
岐阜県内で希少種・天然記念物指定がされており、生息地での採取は禁止されていますので、観察のみにとどめてください。
地域資源を活用するのは教育的にもとても良いことではないかと思いますので、ぜひ家族で観察してみてください。
岐阜県以外にも滋賀県にも生息地がありますので、足を運んでみてください。