日本国内の巨木・巨樹は環境省の「巨樹・巨木林データベース」でまとめられています。
この中でもクスノキが巨木・巨樹に多く見られ、三重県では「長太の大楠」が代表的なクスノキの巨木です。
田んぼのど真ん中にぽつんと立っている姿は、地域で一際目立ちます。
とても素敵なクスノキを観察してきましたので、ぜひご覧ください。
「長太の大楠」について
長太の大楠(なごのおおくす)は、三重県鈴鹿市南長太町に自生しているクスノキです。
1963年に「県の天然記念物」、2012年に三重県で初となる「景観重要樹木」に指定されました。
近鉄名古屋線の長太ノ浦駅と箕田駅の中間にあり、周りに遮るものがないので、列車の車窓からも眺めることができます。
伊勢湾台風以前は左右対称の樹冠だったのですが、台風によって東側の枝張りが被害にあってしまい、現在の姿になっています。
2020年にも落雷が落ちるなど、度々被害に遭っているが、なんとか樹勢を保っている。
長太の大楠の諸元は以下の通りです。
【長太の大楠の諸元】
- 幹周:8.8m
- 樹高:26m
- 目通り直径:2.9m
- 枝張り:東西30m、南北35m
- 樹齢:推定300年以上(伝承ベース1000年以上)
木の根元に「大木神社」と示されている通り、長太の大楠そのものを神社として祀っています(明治41年に大木神社が須伎神社に合祀され、現在は須伎神社の境外社扱い)。
1851年(嘉永4年)の地誌、荒井勘之丞が編纂した「勢国見聞集」の名木之部に「河曲郡北堀江村 楠 当村の西の方にあり 是を大木神社と云 式内の社なり」と記されており、楠の木そのものが神社であったことが伺えます。
天然記念物とは
引用:文化遺産オンライン
天然記念物は、「動物・植物・地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもの」のうち、重要なものです。
また、保護すべき天然記念物に富んだ代表的一定の区域ごと指定することもできます。
国指定の天然記念物は「文化財保護法」、各地方自治体指定の天然記念物は「文化財保護条例」に基づいて指定されたものです。
国指定天然記念物の中でも、さらに世界的・国家的に重要なものが、「特別天然記念物」に指定されます。
天然記念物に指定されたものは、文化庁長官の許可・各地方自治体長の許可がなければ、採集・伐採・採掘などができません。
景観重要樹木
景観重要樹木とは、景観法に基づき、景観計画区域内で特に良好な景観を形成している樹木を適切に保存していくために指定するものです。
樹木の大きさや遺伝的・生物学的・歴史的・文化的価値を問うものではなく、地域の景観にとって重要なものであれば指定できます。
指定された場合、建造物の防火措置や樹木の枯死防止措置など適正な管理義務が課せられ、現状変更しようとする際に市長の許可が必要になるなど所有者の権利に一定の制限を課すことになります。
景観重要樹木の指定の方針は以下の通りです。
【景観重要樹木の指定の方針】
- 道路などの公共の場所から見ることができる樹木
- 巨木・古木など、地域の自然、歴史、文化などの特性が現れており、地域の景観のシンボル的な存在となっている樹木
- 樹姿(樹高、樹形)が優れ、地域の良好な景観に寄与している樹木
- 地域の人々に親しまれ、愛されている樹木
長太の大楠の指定理由は以下の通りです。
長太の大楠は,南長太町に位置し,周囲は広大な田園が広がっており,地域
の人を始め県外から訪れる人も多く,地域のシンボル的な存在です。樹木その ものが神社のため,憩いの場所にもなっています。
地域の観光資源となり,その地域に住む人のまちづくり意識の支えとなり, 景観づくりの一助となるよう,景観重要樹木に指定いたしました。引用:鈴鹿市HP
「長太の大楠」へのアクセス
- 所在地:〒513-0048 鈴鹿市南長太町285
- 公共交通:近鉄名古屋線「長太ノ浦」から徒歩で約15分
乗り換えアプリ - 自動車:伊勢湾岸道「みえ川越IC」から車で約30分
・タクシー:タクシーアプリ「GO」
・レンタカー:skyticketレンタカー - 問い合わせ:鈴鹿市産業振興部地域資源活用課 tel:059-382-9020
駐車場について
駐車場はありませんが、駐車できるスペースがあります。
しかし1〜2台分のスペースしかないので、周囲の交通状況に留意してください。
田んぼの真ん中にありますので、道路は車1台通れる程度の幅員しかありませんので、注意しましよう。
まとめ
三重県鈴鹿市にある県指定天然記念物の「長太の大楠」を紹介しました。
三重県には他にも多くの巨木がありますので、立ち寄ってみてください。
同じ県の天然記念物に「地蔵大松」という大きな松の木がありますので、そちらを紹介していますので、ご参照ください。