軟弱地盤対策工法として、
- 表層処理工法
- 緩速載荷工法
- 抑え盛土工法
- 置換工法
- 軽量盛土工法
- 載荷重工法
- 振動締固め工法
- サンドコンパクションパイル工法
- バーチカルドレーン工法
- 固結工法
が挙げられます。
今回はこの中でも、裁荷重工法について、勉強したことをまとめたいと思います。
裁荷重工法の方法・特徴について
裁荷重工法は、計画地盤に対して計画荷重以上の荷重(裁荷重)を与え、圧密沈下を促進させて地盤を安定させた後に裁荷重を除き、改めて盛土・構造物を築造する工法です。
事前に沈下させることで、施工後の残留沈下量を抑えることができます。
何を用いて裁荷重を与えるかによって、裁荷重裁荷重工法は以下に大別されます。
【裁荷重裁荷重工法の手法】
- 盛土荷重載荷工法
- 大気圧載荷工法
- 地下水低下工法
盛土荷重裁荷工法
盛土荷重裁荷工法は、圧密沈下を防止するために、載荷盛土の荷重によって軟弱地盤の圧密沈下をあらかじめ促進させて地盤支持力を増加させる工法です。
余盛工法とも呼ばれます。
- 将来設計している構造物荷重以上の荷重をするのをサーチャージ工法
- 将来設計している構造物荷重と同等の荷重をするのをプレローディング工法(プレロード・プレローリング)
盛土によって自然に裁荷するのを待つため、沈下するのに時間を要します。
そのため、工期を詳細に算出するために、以下の項目について検討が必要になります。
- 構造物の重量
- 基礎地盤の限界盛土高
- 載荷盛土の施工速度
- 計画載荷盛土の高さ
- 載荷盛土の放置期間
地盤の安定確保に優れた工法であるが、時間を優先しすぎて裁荷し過ぎると、基礎地盤のすべり破壊を引き起こす危険性があります。
沈下量や強度が事前に想定した値に達したことを確認した後は、盛土を取り除くのが基本ですが、残土が大量に発生してしまうため道路地盤の場合などではそのまま道路盛土としても使われます。
サーチャージ工法
サーチャージ工法は、一般盛土部において、余盛を実施することで計画盛土高以上に載荷し、放置期間後に余盛を除去する工法です。
沈下速度を速め、設計荷重に対する残留沈下量を減少させることができます。
適用盛土高さ3m以下とされることが多いです。
計画高以上に施工するため載荷重が非常に大きくなりやすく、地盤の安定が確保できない場合は、バーチカルドレーン工法などが併用される。
プレローディング工法
プレローディング工法(プレロード・プレローリング)は、構造物施工に先立って盛土荷重などを載荷し、ある放置期間後に載荷重を除去する工法です。
軟弱地盤上に構造物などを建設すると構造物が沈下してしまうため、あらかじめ軟弱層に加えて圧密させることで、「施工後の沈下減少・基礎地盤の強度増加」を図ります。
事前圧密工法とも呼ばれ、構造物によって許容残留沈下量が異なります。
大気圧裁荷工法
大気圧載荷工法は、軟弱地盤を気密膜で完全に被覆密閉した後、真空ポンプを用いて膜と地盤との間に負圧を生じさせ、大気の圧力を載荷重として与える工法です。
真空圧密工法とも呼ばれ、負圧荷重は50~80kN/m2程度で、軟弱な粘性土層の圧密沈下を促進させます。
粘土地盤にせん断破壊を生じさせない荷重状態で圧密促進できるので、基礎地盤の側方移動が生じないために地盤破壊が生じない特徴があります。
真空ポンプの運転費用・管理コストが高いので、広範囲・長期間の載荷には適さない点に注意が必要です。
施工手順は以下の通りです。
【大気圧載荷工法の施工手順】
- 敷砂施工
- バーチカルドレイン打設
- 密封シートによる表層被覆
- 負圧設備を敷砂層に接続
- 集気・集水
- 排水
地下水低下工法
地下水位低下工法は、地盤中の地下水位を低下させることにより、有効応力を増加させて軟弱層の圧密促進を図る工法です。
住宅地や道路部分の地下水位の高さを強制的に低下させて液状化による被害を軽減させたり、地表面下の数メートルを非液状化層としたりすることにより、液状化が発生する可能性を軽減し、液状化の被害を抑制する工法である。
地下水位低下の方法としてはウェルポイント・ディープウェルなどが一般的です。
地下水位低下工法の詳細については、下記の記事でまとめていますのでご参照ください。
まとめ
軟弱地盤対策工法における裁荷重工法の方法・特徴についてまとめました。
他の軟弱地盤工法については、下記記事でまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:軟弱地盤対策工法の施工方法について
紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。
勉強に使用した書籍をまとめていますので、ご参照ください。