農業土木とは、農業に関する土木分野です。
土木技術によって、「農地の生産性の向上・農家の労働力低減」を図り、幅広い知識が必要になります。
その専門知識を習得するための参考書・問題集をまとめてみました。
【農業土木の勉強におすすめな参考書・問題集】
- 農業農村工学ハンドブック
- 資格試験のための農業農村工学必携
- 農地環境工学
- 農業土木設計
- 農業土木職採用試験精選問題と解説
- 農業土木・土木職採用試験問題集
農業農村工学ハンドブック
理解しやすさ | |
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詳細さ | |
勉強のしやすさ | |
価格の安さ |
- 著者:
- 出版社:農業農村工学会
- 発売日:2010/8/1
- ページ数:1250ページ
『農業農村工学ハンドブック』は、農業土木・農業農村工学の唯一の教科書的な存在です。
(社)農業農村工学会(旧農業土木学会)が発行しているため、体系的に技術の全てが勉強できます。
基礎編・応用編の2つに分かれており、以下のようになっています。
目次
基礎編
- 第1部:数学・情報
- 第2部:土
- 第3部:水
- 第4部:基盤
- 第5部:農業・環境
- 第6部:社会
- 付録
- 索引
本編
- 第1部:農業農村工学概説
- 第2部:農業農村の整備計画
- 第3部:設計・施工
- 第4部:管理
- 第5部:事業の施工
- 第6部:世界の農業農村開発
- 索引
しかし、問題点が2点あります。
1点目は、定価2万円以上という価格の高さです。
この問題を解決するには、農業農村工学会の会員なら、15,240円+税で購入することができます。
2点目は、本の分厚さです。
2分冊で本文約1,250ページもあり、農業土木ハンドブックというが、とても重たいですので気軽に持ち運べるものではありません。
これらの弱点はありますが、農業土木・農業農村工学を専門にするなら必須の1冊です。
資格試験のための農業農村工学必携
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詳細さ | |
勉強のしやすさ | |
価格の安さ |
- 著者:公益社団法人 農業農村工学会
- 出版社:農業農村工学会
- 発売日:2012.6
- ページ数:480ページ
『資格試験のための農業農村工学必携』は、「農業農村工学ハンドブック」を再編集し、要点のみをとらえて、価格2,570円+税、480ページと抑えた学生向けの1冊です。
公務員試験などの資格試験のため、短時間で農業農村工学を勉強をするテキストとして用いられます。
【目次】
本編
- 第1部 農業農村工学概説
- 第2部 農村農村の整備計画
- 第3部 設計・施工
- 第4部 管理
- 第5部 事業の施工
基礎編
- 第1部 数学・情報
- 第2部 土
- 第3部 水
- 第4部 基盤
- 第5部 農業・環境
- 第6部 社会
テキストとしてだけではなく確認テストも付属していますので、勉強できます。
しかし、「農業農村工学ハンドブック」がネットや書店で買えるのに対して、農業農村工学会でのみ販売している点に注意が必要です。
農地環境工学
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勉強のしやすさ | |
価格の安さ |
- 著者:塩沢 昌 (編集)・山路 永司 (編集)・吉田 修一郎 (編集)
- 出版社:文永堂出版
- 発売日:2016/5/30(第2版)
- ページ数:312ページ
『農地環境工学』は、大学等で用いられる農業土木のテキストです。
農地整備における専門的な技術内容が詰め込まれているので、数学・物理・化学・生物などの前提知識が理解できている必要があります。
【目次】
- 第1章:農地および農地環境工学(農地の役割/世界の食料生産と農地/農地環境工学の役割)
- 第2章:水田の灌漑と排水(水田の構造/水田の土壌/水田の灌漑/水田の浸透/水田の排水/水田の地耐力/水田の汎用化)
- 第3章:水田の圃場整備(農地システム/換地処分/圃場整備の土工/床締め、客土/大区画水田の整備/傾斜地での整備)
- 第4章:畑地の灌漑と排水(畑地の構造と土壌/畑地の灌漑/畑地の排水)
- 第5章:畑地の圃場整備と造成(畑地の構成/土層改良/畑地造成)
- 第6章:農地の保全と防災(水食/風食/地すべりとその対策/農地の災害復旧)
- 第7章:農地および農村の物質循環(農地と水文・水質環境/農村のバイオマス利用/農業集落排水と資源循環)
- 第8章:農地の多面的機能(農地の多面的機能の評価/農地の景観/農村地域の生態系)
- 第9章:農地整備から農村空間整備へ(農村地域における道路計画/農村土地利用計画/農地環境工学に関係する事業と法律)
- 第10章:乾燥地、開発地域の農地環境工学(乾燥地の灌漑と環境問題/乾燥地の塩類集積と農地管理/農業開発プロジェクト)
大学の教科書とあって、本体4,400円+税とやや高めなのはネックですが、エキスパートになるには読んでおいて損はありません。
農業土木設計
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勉強のしやすさ | |
価格の安さ |
- 著者:文部科学省 (著)
- 出版社:実教出版
- 発売日:2022/1/1
- ページ数:449ページ
『農業土木設計』は、文部科学省が作成している由緒正しき高等学校用の教科書です。
農業高校などで履修する「農業土木設計」なので、農業土木について網羅的に学習できます。
【目次】
- 第1章 「農業土木設計」とプロジェクト学習
- 第2章 農業土木事業の計画と設計
- 第3章 水と土の性質
- 第4章 構造物の設計
- 第5章 農業土木構造物
- 第6章 農業土木設計の実践
初学者に向けて編修したものですので、農業土木事業の意義や役割など、基礎の基礎を勉強するのに最適です。
参考書ではありませんが、初学者は教科書からしっかり学ぶことをおすすめします。
農業土木職採用試験精選問題と解説
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価格の安さ |
- 著者:農業土木職試験問題研究会 (編集)
- 出版社:理工図書
- 発売日:2001/12/13
- ページ数:253ページ
「農業土木職採用試験精選問題と解説」は、農業土木・農業農村工学の古くからある問題集です。
国家公務員・地方公務員採用試験に出題された問題を参考に作成されたもので、過去問題集として活用できます。
【目次】
- 1.数学
- 2.応用力学
- 3.水理学
- 4.土・土質
- 5.測量
- 6.土木材料・施工
- 7.農業水利
- 8.土地改良
- 9.農地造成・保全
- 10.農業造構
- 11.農村計画
- 12.農業機械
古い問題集ですが専門的な問題集としては唯一の存在なので、おすすめの問題集です。
農業土木・土木職採用試験問題集
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価格の安さ |
- 著者:全国高等学校農業土木教育研究協議会 (著)
- 出版社:コロナ社
- 発売日:2015/5/1
- ページ数:103ページ
『農業土木・土木職採用試験問題集』は、農業土木・土木職の採用試験に対応した問題集です。
全国高等学校農業土木教育研究協議会が編集しており、高校生が農業土木公務員試験に合格することを目的に作成されています。
【目次】
- 1. 数学・物理
1.1 数学
1.2 物理 - 2. 農業土木設計・土木構造設計
2.1 設計と力学
2.2 静定ばり・柱・トラス
2.3 鉄筋コンクリート構造
2.4 鋼構造 - 3. 農業土木施工・土木施工
3.1 農業の基盤整備
3.2 土木材料
3.3 施工技術
3.4 土木工事管理
3.5 工事用機械と電気設備 - 4. 水循環
4.1 水の基本的性質
4.2 土の基本的性質
4.3 農業水利 - 5. 測量
5.1 基準点測量・写真測量
5.2 応用測量 - 6. 社会基盤工学
6.1 交通と運輸
6.2 治水・利水
6.3 社会基盤システム - 7. 農業と環境・情報
7.1 農業と環境
7.2 情報 - 解答
公務員試験でも高卒向けであり、さらに104ページと薄いので、物足りなさを感じますが入門向けではあります。
まとめ
農業土木の勉強におすすめな参考書・問題集を紹介しました。
【農業土木の勉強におすすめな参考書・問題集】
- 農業農村工学ハンドブック
- 資格試験のための農業農村工学必携
- 農地環境工学
- 農業土木設計
- 農業土木職採用試験精選問題と解説
- 農業土木・土木職採用試験問題集
どの1冊を選ぶかによって、勉強時間・習熟度などで左右する重要な選択肢です。
ぜひ自分に合う本を探していただき、農業土木の技術の知識が深まれば幸いです。
農業土木の知識をより深く学びたい場合は、以下の資格を取得することで身につけることができますので、紹介させていただきます。