計画

農地整備(ほ場整備)事業について

農業農村整備事業で実施される内容は

  1. 用排水施設の整備
  2. 農地の整備
  3. 農道の整備
  4. 農地の防災保全
  5. 農業集落排水施設の整備
  6. 農村の総合的整備
  7. 中山間地域の整備

の7項目あります。

この記事では、「②農地の整備」を実施する農地整備事業についてまとめます。

農地整備事業の概要

農地整備事業とは、農業生産の基盤・整備・開発を実施することで、農業の生産性の向上・農業総生産の増大・農業生産の選択的拡大・農業構造の改善を図る事業です。

最近では担い手への農地利用集積を進め、大型機械の導入などの低コスト農業実現を目指すなどの目的で行われることが多くなってきました。


農地整備事業の役割

農地整備事業の役割として

  • 労働生産性の向上
  • 土地生産性の向上
  • 農業構造の改善
  • 土地利用の秩序化
  • 国土保全機能・防災機能の増大

があげられます。

農地整備事業の内容

農地整備事業として、以下の工種が実施されます。

  • 区画整理
  • 暗渠排水
  • 土層改良
  • 換地

区画整理

昔からの農地の区画は、手作業を想定して造成されているので、規模が小さく、不整形なものが多い傾向にあります。

しかし、近代の機械化に合わせて、農地の区画を整形し、一区画の面積を拡大することで、農業を効率的にできるように農地を整備する必要が生じました。

この区画を整形し、区画を拡大させることを、区画整理と呼びます。

暗渠排水

水田において、麦・大豆到の畑作物の栽培を行い、基盤整備による水田汎用化が不可欠です。

耕地利用率が向上が図られます。

土層改良

土層改良として、客土・混層耕・床締め・土壌改良が実施されます。

換地

区画変更に伴い、従前の土地に見合う土地を新たに割り当て、所有者の複数農地の集約を行います。

  • 不換地:従前の土地に換地を行わず、金銭生産を行う
  • 特別減歩:通常の減歩率を超える減歩を行い、創設換地の用地捻出を行う
  • 異種目換地:非農用地区域を設定し、必要な人に換地を行う
  • 創設換地:従前に無かった非農用地、農用地を造り出す。

国の事業メニュー

農地整備として以下の事業が実施されています。

  • 経営体育成基盤整備事業
  • 農業競争力強化農地整備事業

経営体育成基盤整備事業

将来の農業生産を担う経営体の育成を図りながら、高生産性農業の展開に必要となる生産基盤を整備し、食料自給率の向上に資する事を目的として経営体育成基盤整備事業が行われている。

事業の内容は区画整理のほか用排水施設、農道、客土、暗渠排水のなかから2つ以上の基盤整備を総合的に行うか、区画整理などと密接に関連があるか、一体で行うことで相互の効率が高まる事業を併せて行うこととしている。

またこの経営体育成基盤整備事業では、採択の際に「農用地利用集積促進土地改良整備計画」(集積促進整備計画)を作成し、採択年度より3年目から完了年度まで「集積促進整備計画」に基づいた審査を受ける必要がある。

審査の結果計画達成の見込みが無いと判断された場合は国庫補助の打ち切りの処置がなされてしまう。

農業競争力強化農地整備事業

農地中間管理機構による担い手への農地集積・集約化に取り組む地区、農業の高付加価値化に取り組む地区等を対象として、農地の大区画化や排水対策等を実施することで、より農業の発展を推進します。

以下の4事業に分かれます。

  • 農地整備事業:区画整理、暗渠排水、土層改良、農業用用排水施設整備を行う。
  • 草地畜産基盤整備事業:草地の区画整理、暗渠排水を行う。
  • 農業基盤整備促進事業:暗渠排水、土層改良、区画整理、農作業道等の整備
  • 低コスト農地整備推進実証事業:情報化施工

農地整備事業の効果

農地整備事業の効果として以下のものが挙げられます。

  • 食料供給力の確保・強化
  • 農業生産性の向上
  • 経営体の育成
  • 耕作放棄地の解消

食料供給力の確保・強化

圃場整備により、圃場の大区画化・水田の汎用化が実現できると、小麦・大豆などの作付けが可能になります。

1年2作・2年3作などが可能になることから、農地の効率化が図ることができます。

そのため、食料供給力の確保・強化につながります。

農業生産性の向上

農業生産性は、労働生産性・土地生産性に分けることができます。

労働生産性として、稲作労働時間は1960年代から2010年代にかけて1/5になっています。

土地生産性として、麦・大豆などの作付けにより、耕地利用率が向上しています。

経営体の育成

食料・農業・農村基本計画では、望ましい経営構造として、効率的・安定的な経営体が全国の7〜8割の農地を経営することを目標としており、個人経営では15ha・法人では25haの規模が求められています。

担い手の農地拡大・農地集積を実施することで経営体の規模が拡大し、農業生産性が向上・効率的な農地利用が促進されます。

また、個人経営の規模拡大が、農業生産組織の設立・法人化を後押しします。

耕作放棄地の解消

耕作放棄地が発生することで、農地の有効利用が阻害されるだけでなく、国土の保全・水源の涵養など農業の多面的機能も低下させます。

耕作放棄地の発生原因として、「高齢化・労働力不足」もありますが、「土地生産性が低い」「土地条件が悪い」なども大きな原因の1つです。

そのため、耕作条件を改善することで、耕作放棄地の原因を解消することができます。

農地整備事業のデメリット

圃場整備によっておこりうる問題点は次のとおりである。

  • 換地に際して農民の間で不平不満が生じる場合がある。
  • 地域の農業収入に見合わないコストが掛かる場合がある。
  • 適切な計画が無いままに施工し、肥沃な土壌が喪失する場合がある。
  • 旧水路に生息していたメダカ等の動物や植物などが、環境の変化によりその生態系が破壊される場合がある。
  • 棚田などの美しい景観が失われる場合がある。

まとめ

農地整備(圃場整備)事業についてまとめさせていただきました。

勉強に使用した本をこちらでまとめさせていただいております。

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