計画

ほ場整備計画における「概査」について

ほ場整備計画における「概査」について

ほ場整備計画の策定のため、地域の状 況を把握してほ場整備の必要性を判断するための「概査」を行い、土地基盤整備のあるべき「基本構想」を作成した後、詳細計画の策定に必要な「精査」を行います。

調査と計画は常に連係を保ちつつ並行的に進め、計画作成の途上で生じてくる新たな事態に応じて、 所定の調査が円滑に実施できるよう心掛けることが必要です。

【圃場整備計画の策定手順】

  1. 概査
  2. 基本構想の策定
  3. 精査
  4. 計画策定

圃場整備計画の中でも、「概査」に絞ってまとめてみます。

圃場整備計画の「概査」について

調査 計画

概査は、地域のおおまかな「現況把握調査」と、都道府県市町村の開発計画・普及指導計画・農家意向を踏まえた「将来予測調査」を行い、この結果に基づき圃場整備事業の必要性を判断するための調査です。

概査は次の順序で行います。

  1. 資料の収集:既存資料を可能な限り広範囲に収集し、地域の概況を把握する。
  2. 聞き取り調査・アンケート調査:聞き取り調査・アンケート調査により現況の土地基盤の状況・営農状況等に対する農家の考え方・改善意向を把握する。
  3. 踏査:用排水系統・営農集団・市町村界等から踏査の範囲を決定し、土地基盤の状況・主要な構造物を調査する。

【概査で明らかにすべき事項】

  • 自然条件
  • 社会経済条件
  • 地域環境
  • 営農栽培状況
  • ほ場条件
  • 地域の整備意向

自然条件

自然状況

自然条件は地域ごとに大きく異なり、基盤条件に大きな影響を与えるので、「気象・海象」「地形・表層地質」の調査が必要です。

「気象・海象」は、地域を代表する気象観測所において、原則10年以上の「平均気温・降水量など地域の営農に影響を与える気象データ」に関する資料収集を行います。

また、潮位の影響により排水の対策が必要である海抜の低い地域においては、土地改良区・農家への聞き取り調査等によりその実態を把握しましょう。

「地形・表層地質」は、地域の営農に影響を与えている地形・地質の状況について、地形図・地質図などの既存資料収集します。

社会経済条件

農村環境

市町村の都市化や混住化の状況・開発振興画・農業の実態と今後の見通しなどに大きな影響を受けるため、地区の規模や特性等に応じて地域の社会経済の概況・地域農業の概要について調査します。

  • 【地域社会経済の概況の調査内容】
    □市町村計画における当該地区の位置付け
    □農業振興地域、都市計画区域等の指定状況
    □産業別就業者数・生産額
    □非農用地の需要状況
    □農地転用の実態
  • 【地域農業の概要の調査内容】
    □主副業別・経営耕地規模別農家数
    □農家世帯員の農業就業状態別・性別・年齢別人数
    □作物別作付面積・生産額
    □農地の標準地価・地代・流動化の状況

収集する既存資料としては、「土地改良資料・市町村管内図・農業振興地域整備計画・都市計画・農村地域工業等導入計画・ほ場整備計画・ 河川道路改修計画」などの資料が挙げられます。

地域環境

自然環境

ほ場整備は、周辺地域の生活や自然環境の改変とも密接に関連するため、環境との調和に配慮しつつ、幅広い視点から計画することが必要です。

このため地域の生態系・環境の構成要素についての調査を行います。

地域環境の調査では、田園環境整備マスタープラン・農村環境計画などの各種計画で整理されている地域環境の概況・環境配慮の基本方針を把握しましょう。

文献の収集・聞き取り調査・踏査・地域住民等へのアンケート調査なども実施します。


営農栽培状況

営農栽培状況

営農・栽培の問題点とその要因を明らかにするため、 現況の営農状況・栽培管理状況を調査します。

  • 【土地利用状況・作付状況】
    □統計資料・現地踏査による現況の土地利用図作成
    直近5年分の作付状況を整理して転作の集団・定着状況を地形図・区画図に記載
  • 【経営規模】
    □統計資料・土地改良区等からの聞き取り調査により農家の経営規模を把握
  • 【営農組織】
    □営農組織ごとの「関係戸数・経営規模・管理運営の実態・設立当時から現在までの経過・関係農家の意見・将来存続の意向の有無」などを資料・聞き取り調査により把握
  • 【主要作物・栽培管理体系】
    □都道府県、市町村の営農計画構想を把握
    □農林統計・農業改良普及センターの資料や現地の補足調査による「栽培作物調査」
    □農業試験場・農業改良普及センター・現地調査等による「栽培期調査」
    □農業試験場・農業改良普及センター・土地改良区等への聞き取りによる「栽培技術調査」
  • 【収量・被害量】
    □農林統計・農業共済組合資料により直近5年分の10a当たり収量・直近10年分の被害量(要因別)を市町村別に収集
    □資料による収量と実態が著しく相違すると考えられる場合、「現地収量調査」を実施
    □市町村・農協等の被害調査記録を元に現地聞き取りを行い、被害発生状況図・現地被害状況調書」を作成
  • 【農業機械の利用状況】
    □農業機械の所有台数・利用農家数等について現地聞き取り調査し、農業機械の作業体系を把握
  • 【家畜飼養頭羽数・飼養農家数の動向】
    □家畜飼養頭羽・飼養農家数に現地聞き取り調査をし、動向を把握

ほ場条件

土壌

ほ場条件によって作付可能な作物の種類・収量・品質や機械作業性などが大きくことなるため、「土壌・区画・道路・用排水」について調査して、ほ場条件に即した計画の策定に役立てます。

  • 土壌
    □土壌類型ごとの分布・基本的性状を明らかにするため、土壌調査を実施
    □グライ層による分類によって
    乾湿田の分類を実施
    □ほ場の灌漑期・非灌漑期における地下水位に関する既存資料の収集調査
  • 区画
    区画の面積・形状・筆数・田面差・区画の配置や整理状況などを調査
    等高線図・区画図を収集
  • 道路
    路線ごとの幅員・延長・路面構造・縦断勾配・附帯構造物・線形・利用状況・維持管理状況などの確認
    路線網の配置状況・道路配置・幅員などを区画図に記載
  • 用排水施設
    □用水系統地形図をもとに現地調査・聞き取り調査を行い、水源の位置・施設名・用水路の名・支配区域面積などを明らかにして、用水系統図を作成
    □用水系統調査と同様に各排水路についても同様に調査し、排水系統図を作成
    □排水不良については、常時水位・排水施設の能力・敷高・外水位関係などを調査

地域の整備意向

社会経済条件で整理した地域社会経済の概況や地域農業の概要を踏まえ、都道府県・市町村・土地改良区・受益農家などに聞き取り調査を実施します。

地域における将来の営農構想を明らかにして、整備に対する地域の意向を把握します。

まとめ

ほ場整備計画における「概査」についてまとめました。

農業土木について詳しく学べる本について別でまとめてますので、興味があれば参照ください。