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日本における農地の利用状況・農業生産基盤の整備状況について

日本における農地の利用状況・農業生産基盤の整備状況について
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農業土木に従事する者として、農業生産全体の状況について理解する必要があります。

それは、どのような過去があったから現在の農業があり、今後どのような未来を見据えているのかが分かると、計画・設計・施工に反映することができるからです。

今回は、日本における農地の利用状況・農業生産基盤の整備状況についてまとめてみます。

※データにおいては令和3年現在に獲得できるもので構成されています。

日本の耕地面積

令和4年 日本の耕地面積

引用:農水省

日本の国土面積は約37万8000km2で、山地が74%平地が26%となっています。

令和2年現在、農水省が公表している耕地面積は432.5万haです。

耕地のうち、田は235.2万ha(54.4%)、普通畑113.3万ha(26.0%)、牧草地59.1万ha(13.7%)、樹園地25.9万ha(6.0%)です。

水田率54.4%畑率45.6%で、水田が過半を占めている状況です。

令和4年 耕地の割合推移

引用:農水省

耕地面積の動向をみると、1961年(昭和36年)の608.6万haをピークに、1966年(昭和41年)には600万haを下回り、1996年(平成8年)には500万haを下回ります。

国土面積に占める耕地の割合(耕地率)は11.2%であり、国土の有効利用が求められるが、耕地面積が右肩下がりが止まらない現状です。

日本の耕地利用率

日本の耕地利用率

引用:農水省HP

耕地利用率は、農地が有効利用されているかを表す指標です。

耕地利用率は、以下の式で計算されます。

耕地利用率(%)=作付延べ面積÷耕地面積×100

令和2年の田畑計の作付延べ面積は399.1万haで、耕地利用率は91.3%です。

田畑別だと、田の作付延べ面積は220.9万haで耕地利用率92.9%、畑の作付延べ面積は1788.2万haで耕地利用率89.4%です。

日本の耕地利用率 推移

1年を通じて作物が作付けされない不作付けされない不作付け地が増加すると低下します。

1960年代は安定して100%を超えていたが、1995年(平成7年)には100%を割っています。

耕地面積が右肩下がりであり、さらに耕地利用率が低下しているので、限られた農地を効率的に使用できていない現状があります。

日本の荒廃農地・耕作放棄地

日本の荒廃農地・耕作放棄地

引用:農水省 荒廃農地の現状と対策について

荒廃農地の面積は28万ha(平成30年)あり、そのうち「再生利用可能な荒廃農地」は9.2万ha(32.9%)、「再生利用が困難と見込まれる荒廃農地」は18.8万ha(67.1%)です。

「再生可能な荒廃農地」とは、抜根・整地・区画整理・客土等により再生することにより、通常の農作業による耕作が可能となると見込まれる荒廃農地です。

「再生利用が困難と見込まれる荒廃農地」とは、森林の様相を呈しているなど農地に復元するための物理的な条件整備が著しく困難なもの、又は周囲の状況から見て、その土地を農地として復元しても継続して利用することができないと見込まれるものに相当する荒廃農地です。

耕作放棄地の面積は42.3万ha(平成27年)あり、耕作放棄率は9.7%です。

国土の有効利用のためには、荒廃農地・耕作放棄地の現象が望まれていますが、荒廃農地は横ばいで耕作放棄地は増加傾向にあり悪い状態です。

荒廃農地・耕作放棄地の違い

荒廃農地は、農林水産省の「荒廃農地の発生・解消状況に関する調査」において、「現に耕作されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地」と定義されており、市町村及び農業委員会による荒廃農地の所在地及び荒廃状況を確認する調査上の用語です。

耕作放棄地は、所有している耕地のうち、過去1年以上作付けせず、しかもこの数年の間に再び作付する考えのない耕地、と5年に1度行われる農林業センサスにおいて定義されている統計上の用語です。

農家の耕作の意思という主観的な見方をするのが「耕作放棄地」、調査員等が農地の状況について客観的な見方をするのが「荒廃農地」です。

日本の田整備率

日本の田整備率

引用:農水省 農業生産基盤の整備状況について

1963年以降、短編30m長辺100mの30a区画を標準区画とする田の区画整理が推進されてきました、

30a程度以上の区画整備された面積は159万haで田全体の66%で、そのうち50a以上の区画整備された面積は26万haで田全体の11%です。

30馬力のトラクターであれば30aほどのサイズで良いが、50馬力以上の大型機械を使用して生産コストを下げようとすると1ha程度の大区画の方が効率が良いです。

そのため、大区画圃場整備の実施が推進されていますが、そこまで進んでいないことがわかります。

この区画整備された159万haのうち、汎用田に適した排水良好な田は110万haで区画整備された田全体の69%です。

区画整備されていても、排水改良に力を入れないといけない農地がまだあり、土地生産力向上の余地があります。

都道府県別の田整備率

引用:農水省 農業生産基盤の整備状況について

田の整備率は、都道府県で地域差があります。

田面積については、北海道・新潟が多いです。

北海道の整備率が高いことで平均が引き上げられており、米の有名産地・平野において整備率が高めな傾向があります。

日本の畑整備率

日本の畑整備率

引用:農水省 農業生産基盤の整備状況について

畑栽培において、農業機械が農道から直接出入りできると栽培管理がしやすいです。

そのため、末端農道が整備され、末端農道整備済み畑面積は156万haで畑全体の78%です。

また田同様に区画が整形され、区画整備済み畑面積は128万haで、畑全体の64%です。

畑地かんがい施設が整備された畑面積は49万haで、畑全体の24%です。

都道府県別の末端農道整備率 都道府県別の区画整備率 都道府県別の畑地灌漑整備率

引用:農水省 農業生産基盤の整備状況について

畑の整備率は、都道府県で地域差があります。

畑面積について北海道・青森・茨城・鹿児島が多いです。

北海道・愛知県・沖縄の整備率が高いことで平均が引き上げられております。

農業水利施設の整備状況

農業水利施設の整備状況

引用:農水省 農業生産基盤の整備状況について

 

基幹的農業水利施設には、貯水池・取水堰・用排水機場・水門等・管理設備など7600箇所あります。

農業用用排水路は約40万km以上 (地球約10周分)整備されており、基幹的水路が5万km整備されています。

それら基幹的農業水利施設の多くでは老朽化が進行しており、用排水機場で75%、基幹的水路が40%が標準耐用年数を超過している状況です。

まとめ

農地

日本における農地の利用状況・農業生産基盤の整備状況についてまとめました。

「のうぎょうとぼく」の中では、農業土木に関する豊富な記事を書いています。

農業土木について勉強できる本については下記にてまとめていますので、ぜひご覧ください。

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