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ほ場整備計画における「精査」について

ほ場整備計画における「精査」について
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ほ場整備計画の策定のため、地域の状 況を把握してほ場整備の必要性を判断するための「概査」を行い、土地基盤整備のあるべき「基本構想」を作成した後、詳細計画の策定に必要な「精査」を行います。

調査と計画は常に連係を保ちつつ並行的に進め、計画作成の途上で生じてくる新たな事態に応じて、 所定の調査が円滑に実施できるよう心掛けることが必要です。

【圃場整備計画の策定手順】

  1. 概査
  2. 基本構想の策定
  3. 精査
  4. 計画策定

圃場整備計画の中でも、「精査」に絞ってまとめてみます。

圃場整備計画の「精査」について

調査

精査は、基本構想をもとに精度を上げて調査し、最終的に計画の策定を行うための計画諸元を確定します。

精査は、大きく分けて3つの調査になります。

  • 「現況把握調査」:概査を補完してより精度を上げるための詳細調査
  • 「将来予測調査」:地域の将来のあるべき姿を見出す調査
  • 「改善対策調査」:改善するべき現況の地域課題を洗い出す調査

【精査で明らかにすべき事項】

  • 自然条件
  • ほ場条件
  • 営農状況
  • 農家等の意向
  • 関連事業等
  • 環境配慮

自然条件

自然環境

自然条件として主に以下のデータを取得します。

  • 用水計画:計画基準年におけるかんがい期の有効雨量
  • 排水計画:1/10・1/2確率程度の日雨量・4時間雨量・時間雨量、1/10確率の連続雨量
  • 潮位既往最高潮位・さく望平均満潮位・上下弦平均満潮位・平均潮位・上下弦平均干潮位・さく望平均干潮位・既往最低潮位

また、区画計画・道路計画・土層改良計画・用排水計画・工事計画等の作成・土壌条件の判定に必要な地形図を作成します。

区画・道路網・用排水組織等の計画のためには縮尺1/2500〜1/10000の地形図、換地計画のためには縮尺1/1000の地形図があるのが好ましいです。

土壌調査・地下水調査等の成果、地区の周辺を通る主要幹線道路・ 幹線用排水路・営農施設・農協・路線等の公共施設用地等の位置も地形図に記入します。

ほ場条件

土壌

区画計画の策定に必要な「区画」「道路」「用排水」、営農計画の策定に必要な「ほ場の地耐力」、排水改良対策の策定に必要な地区の「地下水位」について調査します。

  • 【区画】
    □田面差の状況・乾湿の状況・区画形状・区画配置について現地確認
  • 【道路】
    □利用状況・維持管理状況について現地確認
    □管理主体との調整の必要性を確認
  • 【用排水】
    用水関係の確認
    用水系統・単位用水量・総用水量・用水慣行・用水管理状況・用水施設の状況・水源水量・用水不足の状況)
    排水関係の確認(排水系統・排水量・各施設の排水能力・排水施設の状況・排水不良の状況・排水慣行)
    □計画後の単位用水量を決定するために減水深調査の実施
  • 【ほ場の地耐力】
    農業機械の走行性の判断等を検討するため、コーンペネトロメータを用いて100m2ごとの貫入抵抗値を用いてほ場の地耐力を測定
  • 【地下水位】
    一般に非かんがい期の地下水位は、土壌断面調査におけるグライ層・酸化斑紋の程度や位置等によって推定
    □かんがい期を含めた期別変化水位は、地下水位観測井・既設井・排水路水位で測定・推定
    □測定結果・推定を用いて地下水位等高線図を作成

営農状況

営農状況

営農計画における改善方向を検討するため、農地流動化の状況や主要作物の収益性等について調査を実施します。

  • 土地所有及び耕地の分散状況農地集積計画・換地計画等の基礎資料を調査
    □集落間の出入り作状況
    □土地所有・利用権等面積
    □筆数、団地数と団地当たり面積、各筆の面積
    □地力の程度、経営上の利便性
  • 主要作物の生産費・農家所得:農家の経営計画の策定・事業費負担能力等の基礎資料を調査
    経営規模・主副業別の農業所得
    □主要作物の単位面積当たりの生産費・所得額
  • 労働力
    □農家世帯員及び就業状態の動向・農業従事者の動向・新規学卒者の就農動向等を調査
    □地区における担い手から営農に対する構想を聞き取り調査
    □計画的な経営改善の推進・法人化の推進・経営指導等の強化・新規就農等の人材 の確保等担い手を育成するための対策の実施・計画の調査

農家等の意向

農家

地区の整備水準の決定・区画計画を作成するため、農家等の意向を聞き取り調査・アンケート調査します。

  • 農業後継者の有無と現在の状況
  • 将来の経営意向(営農類型、経営の拡大・縮小、受委託、環境保全型農業)
  • 希望する区画の大きさ、道路・用排水路の規模・構造
  • 農業機械及び営農施設の導入に対する意向
  • 生産コストの目標
  • 農地の流動化対策

調査は地区内に土地を所有する農家だけでなく、地区内に借地等で利用している地区外の農家も含まれます。


関連事業等

関連工事

地区内・周辺において、ほ場整備に関連する実施済・実施中・計画中の他事業の内容を調査し、ほ場整備に関する直接的・間接的な影響を把握します。

主要な関連事業として以下のものが挙げられ、資料・聞き取り調査にて各項目を調査します。

  • 関連する農業農村整備事業:実施済・実施中・計画中を把握
    □計画・設計の諸元
    □路線配置・施設の構造
    □施工年度・施工時の状況
    □地元負担金・負担金の年償還状況
    □計画書・設計書等の資料
  • 河川改修事業:実施中・計画中を把握
    □路線位置・河川幅・断面・勾配
    □計画高水位・平水位・敷高
    □施工時期・単位排水量・湛水状況
  • 道路の改修・新設事業:実施中・計画中を把握
    □路線位置・用地幅・構造・幅員
    □施工時期
  • 農業機械・営農施設の導入等農業施策に関する事業:実施中・計画中を把握
    □トラクター・コンバイン等の農業機械の導入
    □カントリーエレベータ等の共同利用施設設置
    □園芸・畜産等の振興計画内容
  • 市街化区域等農業以外の用途に使用される区域での関連事業等:実施中・計画中を把握
    市街化区域等農業以外の用途に使用される地区における道路・用排水との関係

環境配慮

自然環境調査

地域の生態系を保全する上で、注目すべき生物・重要となる生息・生育環境・保全すべき景観について有識者を交えて調査し、事業実施が地域へ及ぼす環境影響の内容・程度を整理して計画に反映します。

  • 周辺環境との連続性等について詳細な調査
  • 地域の生態系に深く関わる営農や土地利用の状況の把握

まとめ

調査

ほ場整備計画における「精査」についてまとめました。

「のうぎょうとぼく」の中では、農業土木に関する豊富な記事を書いています。

農業土木について勉強できる本については下記にてまとめていますので、ぜひご覧ください。