換地処分

経営体育成促進換地等調整事業(従前地調査等)とは何か?

経営体育成促進換地等調整事業(従前地調査等)とは何か?

経営体育成促進換地等調整事業とは、換地計画を必要する地区において、地区内農家の意向把握・利用集積の合理化・換地設計基準作成・換地計画素案作成を行う業務です。

事業採択前に地区における農用地の集団化に併せて、換地と利用権設定の一体的推進により育成すべき経営体への農用地の利用集積、土地利用の合理化の調整が必要なため実施されます。

地区内農地等状況調査

登記簿の確認・現地の確認などにより、土地の利用権の設定状況・農作業受委託の実施状況などの権利関係状況調査を行います。

下記に上げる調書、寄帳などの作成・整理を行います。

従前地図面の作成

  1. 地区内の字を調査し、この字についての公図を転写し、公図の写しを作成します。
  2. 地区の実測図(1/1000)がある場合は、実測図をベースにして、公図の写しと設計図式を用いて、従前地図面の作成を行います。

<従前地図面に記載すべき事項>
・図面名称、番号
・地区の境界
・都道府県、市町村、大字、字の境界と名称
・土地各筆の境界と番地
・土地の用途
・道路、水路の名称や番地
・換地区の境界と名称

従前地調査

  1. 従前地図面から地区内の土地について、従前地各筆調書に土地所在・番地を記入します。
  2. 登記簿を調査し、各筆調書に下記の記入事項について記入します。<各筆調書に記入すべき事項>
    ・地目と地番
    ・土地所有者の住所氏名
    ・仮登記、仮差し押さえ、仮処分などの設定の有無
    ・地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権等などの権利設定の有無
  3. 所有権が共通の場合は、共有者名簿を作成します。
  4. 登記簿と公図の不一致がないか確認し、可能な場合は各筆調書を修正します。
  5. 使用収益権を把握するため、農業委員会の農地基本台帳、市町村の農用地利用集積計画などの簿書を調査し、各筆調書・共有者名簿に記載します。
  6. 地区内の土地所有者(公共団体除く)から土地改良事業実施予定地区内土地申告書の提出を求め、各筆調書との不一致がないか確認します。
  7. 各筆調書・公図・現地が一致しているか、現地照合を行います。<現地照合すべき事項>
    ・土地の所在、位置が公図と現況が一致しているか。
    ・各筆調書にあるが、現地不存在の土地があるかどうか。
    ・現地があり、登記簿にない土地があるかどうか。
    ・登記簿と現地の地積に著しい違いがあるかどうか。
  8. 土地改良事業の事業推進委員、集落の土地に詳しい者を集めて、意見聴収・現地踏査を行い、下記事項を確認します。
    <確認事項>
    ・土地改良事業の実施後、土地の相互交換が困難な地域の有無と範囲
    ・従前地の位置に換地を定めるべき特殊条件地(田の条件:湧水地、砂利田、鉄塔敷地など)

従前地調査結果の整理集計

  1. 従前地に関する情報を、各筆調書から転写し、従前地各筆カードを作成します。
  2. カードを所有者ごとに分類し、従前地各人別寄帳を作成し、集計します。
  3. 地区全体の集計以外にも、各筆カードを市町村、大字、字で大別し、地目別にも分類して、集計します。

国公有地調書の作成

  1. 道路法による道路(国道・都道府県道・市町村道)、河川法による河川(湖沼なども含む)について、国公用地調書に記載します。
    <国公用地調書に記載すべきこと>
    ・管理事務所名
    ・延長、平均幅員
    ・地積
    ・起点、終点
  2. 農道、用排水路について、公図により調査を行い、上記事項と同様に国公用地調書に記載します。
  3. 財務省が管理している国有地については、登記簿に記載されていない場合があるため、公図及び財務省財務部局の台帳により調査を行い、上記事項と同様に国公用地調書に記載します。

特定用地用地等に係る調書の作成等

  1. 下記に該当する予定地について、土地所有者・関係行政機関・農業共同組合・土地改良区などの施設設置の意向を聴収して、必要な調書を作成します。
    <該当予定地および必要調書>
    ・特定用途用地 → 特定用地用地調書
    ・不換地等   → 不換地等調書
    ・創設換地   → 創設換地調書
    ・異種目換地  → 異種目換地調書

利用権等調書の作成

  1. 地区内の利用権の設定・農作業受委託の現況の調査、新たな利用権の設定可能な農用地の調査を行い、利用権等調書を作成します。
  2. 農用地利用改善団体、地域農業集団などの農業生産組織が活動している場合、組織概要、活動目的・実績などを調査し、利用権等調書に取りまとめます。

農用地分散状況調査

  1. 従前地図面・従前地各人別寄帳により、農用地の分散状況を調査し、各人ごとの団地数を従前地各人別寄帳に記入します。
  2. 従前地図面・従前地各人別寄帳により、集落別耕地の出入作の状況を調査し、従前地図面に所属集落ごとの色分けをします。

農用地集団化促進基本計画作成

育成すべき経営体への農用地の利用集積などを計画的・円滑的に促進するために、集落座談会などを利用した関係農家の意向把握を踏まえ、農用地集団化促進基本計画の作成を行います。

  1. 農用地集団化促進基本計画作成をする場合、地域における農用地の集団化に関する基本的な方向について、集落座談会等の機会を利用して、関係農家の意向を把握し、結果を取りまとめます。
  2. 意向把握を踏まえ、地域の概定・地域営農構想策定の基本方針・農用地集団化促進の基本方針などを内容とする農用地集団化促進基本計画を作成します。
  3. 基本計画作成にあたって、下記に該当する構成員で農用地集団化促進協議会を設置し、内容の検討および調整を行い、関係農家と意見調整を図ります。
    ・事業推進委員
    ・市町村職員
    ・農業委員会、農業協同組合などの役職員
    ・農地流動化推進員
    ・集落の代表
    ・農用地利用改善団体
    ・地域農業集団
    ・農業生産組織などの代表者
    ・貸し手農家、借り手農家の代表者
  4. 調整結果を集落座談会などで、関係農家へ周知する。

従前地面積測定

  1. 既存の空中写真測量による実測地形図(1/1000以上)により、図上における1筆ごとの筆界の個別確認を行います。
  2. 筆界確認をした実測地形図で、面積測定を行います。面積測定にあたっては、再現可能な面積測定機器(座標読取機など)を使用します。
  3. 面積測定結果を、従前地面積測定調書に取りまとめます。
  4. 1筆ごとの面積測定結果を、土地所有者に周知し、各調書に反映させます。

合意形成促進

集落座談会等の機械を利用して、下記事項を行い、農用地利用集積などに関する合意形成を促進します。

土地改良事業の実施内容・換地処分による農用地集団化の必要性について、説明会や啓発資料の配布などを行います。

地区内アンケート調査

農用地の利用集積の促進等に関する関係農家の意向を把握するため、地区内アンケート調査を行います。

その調査結果を集積・解析し、地域の実情や関係農家の意向を把握します。


地区内ゾーン設定調整

農用地の集団化を円滑に実施するため、集団化を実施する目的別に地区内のゾーン設定を行います。

関係機関との調整、関係農家へのアンケート調査項目の検討、調査結果を踏まえたゾーン設定調書等の作成及び関係農家への説明会の開催を行います。

ゾーン設定調書等の作成

  1. ゾーン設定に関する地区内アンケート調査を実施します。
  2. アンケート結果を踏まえ、望ましい農用地等の利用形態を確保するため、地区内に区域設定を行います。
    ・ 地区内に育成すべき経営体への農用地の利用集積を行う区域
    ・自家飯米等の作付けを行う区域
    ・作目別に団地形成を行う区域
    ・非農用地区域を設定する区域
  3. 区域設定の結果を、ゾーン設定調書・地区内ゾーン設定図に取りまとめます。市町村、農業委員会、土地改良区などの関係機関と十分な調整を図り、作成します。
  4. 説明会等の機会を活用してその内容の周知を図り、関係農家の合意を得るように努めます。
  5. 関係農家の合意が得られた場合、ゾーン設定に関する事項を換地設計基準に明記します。

地域営農構想作成

土地改良事業完了後の地域農業の将来を展望した地域営農構想の作成を行うため、関係機関との調整、地域営農構想作成のための関係農家へのアンケート調査項目の検討、調査結果を踏まえた地域営農構想の作成及び関係農家への説明会の開催等を行います。

  1. 土地改良事業完了後の地域農業の将来を展望した営農構想策定に関する調査項目を含んだの地区内アンケート調査を実施します。
  2. アンケート結果を踏まえ、農用地利用に関する関係意向を反映した下記構想などを内容とする地域営農構想を作成するものとする。市町村、農業委員会、土地改良区等の関係機関と十分な調整を図ります。
    ・農業経営規模
    ・生産方式
    ・農業従事の態様
    ・農用地の利用集積の目標等農業経営基盤の強化を促進するための構想
  3. 説明会等の機会を活用してその内容の周知を図り、関係農家の合意を得るように努めます。
  4. 関係農家の合意が得られた場合、ゾーン設定に関する事項を換地設計基準に明記します。

経営体育成方針作成

農用地の利用集積を図るため、関係機関との調整・集積手法の検討・関係農家へのアンケート調査項目の検討・基本方針の作成及・関係農家への説明会の開催を行います。

  1. 育成すべき経営体への農用地の利用集積に関する調査項目を含んだ地区内アンケート調査を実施します。
  2. アンケート結果を踏まえ、下記の調整を含む経営体育成方針を作成します。
    ・育成すべき経営体の選定
    ・選定された育成すべき経営体を中心とした農用地の面的な集積による連坦化を図る上で必要な利用権設定又は農作業受委託に関する調整
    ・土地利用及び作付け等に関する検討並びにその結果を踏まえた申合せ等
    ・創設農用地換地の位置の概定及び育成すべき経営体を中心とした創設農用地換地の取得者の選定
  3. 下記の者を経営体育成推進委員をとして選出し、これらの者が中心となり、調整を図ります。
    ・事業推進委員
    ・市町村の職員
    ・農業委員会、農業協同組合等の役職員
    ・農用地利用改善団体
    ・地域農業集団・農業生産組織等の代表者
    貸し手農家・借り手農家の代表者等地域の実情に精通した者
  4. 説明会等の機会を活用してその内容の周知を図り、関係農家の合意を得るように努めます。
  5. 経営体育成方針を踏まえ、換地計画の作成に関する次のような事項を換地設計基準に明記します。
    ・既に利用権の設定されている農用地の面的な集積を図るための方針
    ・育成すべき経営体の経営農用地の隣接地において利用権の設定を行うための方針
    ・育成すべき経営体の経営農用地の隣接地において農作業受委託を行うための方針
    ・創設農用地換地の運用方針

創設農用地・増歩換地調整

創設農用地・増歩換地の取得を促進するため、地区内アンケート調査・地区外の担い手農家のリストアップとアンケート調査を実施する。創設農用地・増歩換地に見合う不換地等希望者の把握及び掘り起こしを行い、取得者の選定基準、方法等の実施方針を事前に決定するための地域の合意形成等を行います。

  1. 下記の者を担い手農家規模拡大促進委員として選出し、これらの委員で構成する担い手農家規模拡大促進委員会により内容の検討と調整を図ります。
    ・事業推進委員
    ・市町村の職員
    ・土地改良区、農業委員会、農業協同組合の役職員
    ・集落の代表者
    ・農用地利用改善団体、地域農業集団、農業生産組織等の代表者等地域の実情に精通した者
  2. 担い手農家規模拡大促進委員会は、関係農家の意向を把握するため、創設農用地換地及び増歩換地に関する調査項目を含んだ地区内アンケート調査実施します。
  3. 担い手農家規模拡大促進委員会は、調査を踏まえ、下記調整を行い、実施方針を取りまとめ、創設農用地・増歩換地取得調書を作成します。
    ・不換地等希望者及び育成すべき経営体の把握
    ・ 創設農用地換地及び増歩換地の取得者を選定するための基準、方法等の事前調整
    ・ 創設農用地換地及び増歩換地の位置の概定
    ・ 創設農用地換地・増歩換地取得に係る内諾の徴集
  4. 説明会等の機会を活用してその内容の周知を図り、関係農家の合意を得るように努めます。
  5. 創設農用地・増歩換地実施方針を踏まえ、創設農用地換地及び増歩換地を実施するために必要な事項を換地設計基準に明記するものとする

非農用地換地関係調整

非農用地換地に関する関係農家へのアンケート調査、調査結果を踏まえた非農用地換地に関する基本方針の作成、不換地等希望者の把握、非農用地需要者の把握など非農用地換地を実施する上で必要なことを行います。

  1. 非農用地換地に関する調査項目を含んだ地区内アンケート調査を実施し、その結果を踏まえ非農用地換地実施方針を作成します。
  2. 説明会等の機会を活用してその内容の周知を図り、関係農家の合意を得るように努めます。
  3. 非農用地換地実施方針を踏まえ、不換地予定者・非農用地需要者・関係地方公共団体との間で、下記の内容を取りまとめ、非農用地生み出し促進対策調書を作成するものとする。
    ・非農用地生み出しのための事前調整
    ・創設換地取得に係る内諾の徴集、
    ・譲渡時期の調整
  4. 事業推進委員等各集落の事情に精通した者のほか、必要に応じて土地改良区、農業協同組合、市町村の役
    職員などの非農用地換地の推進に係る関係者間で、十分意見調整を図ります。
  5. 非農用地換地実施方針・非農用地生み出し促進対策調書を踏まえ、非農用地換地を実施する上で必要な事項を換地設計基準に明記します。

交換分合基準含み換地調整

交換分合を併せて実施するための関係農家へのアンケート、調査結果を踏まえた交換分合地区の概定及び交換分合基準書の作成など、農用地の集団化の効果を一層高めるために交換分合を併せて実施する上で必要なことを行います。

  1. 従前地の周辺の交換分合を予定する地区は、従前地図面作成・従前地調査の対象にし、アンケート調査を含めて行います。
  2. 従前地調査及びアンケート調査等の結果を踏まえて、交換分合実施に関する方針・交換分合実施予定地区調書を作成します。交換分合の実施を推進する関係者(農業委員会、土地改良区、農業協同組合、市町村の役職員)と十分調整を図ります。
  3. 説明会等の機会を活用してその内容の周知を図り、関係農家の合意を得るように努めます。
  4. 合意が得られた交換分合実施に関する事項を、換地設計基準に明記します。

換地設計基準作成

事業推進委員等各集落の事情に精通した者を作成委員として選出し、上記の調書や調整で地区の実情に即した、換地設計基準項目換地設計基準を作成します。

説明会等の機会を活用してその内容の周知を図り、関係農家の合意を得るように努めます。

換地計画素案作成

合意形成促進・アンケート調査における関係権利者の意見・要望等を集約し、十分に地区の関係権利者の意向把握に努めながら、土地利用調整の基礎となる換地計画素案・換地予定地図を次の手順で作成するものとする。

  1. 土地改良事業計画の作成担当者との連携を密にし、当該地区の計画設計等における工事後の区画形状の構想等を参考に工事後の区画予定図を作成します。
  2. 工事後の区画予定図に、従前の土地に対応する換地予定地を図示し、換地予定地図を作成します。
  3. 従前の土地及び換地予定地の所在、用途、地積等を内容とする換地計画の素案として取りまとめます。土地改良法に規定する換地計画において定めるべき事項の基準、地域営農構想、換地設計基準を考慮します。
  4. 説明会等の機会を活用してその内容の周知を図り、関係農家の合意を得るように努めます。

経営体育成換地調整

土地改良事業着手前に実施された上記の調書・調整を踏まえ、従前の土地への利用権の設定を行うための農用地利用集積計画作成の申出(基盤強化法第18条第5項による申出)を実施するのに必要なことを行います。

  1.  一時利用地の指定を実施するための従前の土地の権利関係を再確認します。
  2.  権利者ごとの名寄帳の修正をします。
  3. 一時利用地の指定計画の作成と関係権利者との調整を行います。
  4.  一時利用地の位置に着目して、育成すべき経営体の経営農用地の隣接地に一時利用地の指定を受けた者が経営体への新規利用権設定を実施するための調整を行います。
  5. 従前の土地への利用権の設定を行うための農用地利用集積計画の作成申出を行います。
  6. 調整活動の成果を取りまとめ、利用権設定申出実績調書を作成します。

まとめ

土地改良事業採択前に地区における農用地の集団化・育成すべき経営体への集積、土地利用の合理化を行い、土地改良事業後の換地が円滑に進むように、今回の事業が行われます。

法手続きを行うために必要となる書類も多く、慎重かつ正確に行う必要があります。

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