食材の栄養素は料理の仕方次第で大きく変化します。
栄養を大きく損なう調理をしてしまうと、食材の栄養素を活かすことができません。
逆にちょっとした工夫・要点を知るだけで、効率的に栄養を活かすことができます。
今回は「長ネギ」の栄養・効能を活かす効果的な料理法をまとめます。
長ネギの主な栄養・効能

【長ネギの注目成分】
長ネギ(根深ネギ)100gに含まれる主要な栄養素は以下の通りです。
- ビタミンC:14mg
- 葉酸:72μg
- カリウム:200mg
- カルシウム:36mg
- リン:27mg
- 食物繊維:2.5g
【長ネギ(根深ネギ) 可食部100gあたり成分 七訂日本食品標準成分表より】
長ネギは、抗酸化作用の高いビタミンCや硫化アリルが含まれており、風邪予防・血行促進などの効果が期待できます。
長ネギは、「根深ネギ」・「白ねぎ」と呼ばれているもので、太く白い部分が多いことが特徴で、「千住ねぎ」「下仁田ねぎ」「深谷ねぎ」などの種類が豊富です。
白ネギと青ネギで栄養に違いがあり、青い部分を食べる青ネギのほうが栄養価は高く、白ネギは量が食べられるのでアリシン・食物繊維を十分に摂取できます。
昔から日本に根付いた野菜で、臭気という意味から「キ」と呼ばれていました。
栄養素以外にも注目すべき成分として、 「硫化アリル(アリシン)」が挙げられます。
硫化アリル(アリイン)
長ネギに含まれる硫化アリル(アリイン)は、硫黄化合物でスルホキシドに分類されるファイトケミカルです。
アリインはアリナーゼという酵素によって分解され、アリシンが生じます。
アリインには以下の効能が認められています。
- 血液サラサラ効果:血液を固まりにくくする
- 疲労回復効果:新陳代謝・神経の沈静化に必要なビタミンB1の吸収と活性化を促す
- 殺菌・抗菌作用
- 腸内の悪玉菌の発生を抑える効果
タマネギではありますが、硫化アリルについてまとめておりますので、そちらを参照してください。
参考ページ:玉ねぎの硫化アリル(イソアリイン)について
長ネギの栄養・効能を活かす効果的な料理法

長ネギの栄養・効能を活かすため、以下の効率的な料理方法をおすすめします。
あくまでも、栄養を活かすためであって、美味しさを追求する場合の料理方法とは異なることをご承知ください。
【長ネギの栄養・効能を活かす効果的な料理法】
- 細かく刻み、10分放置する
- 加熱しない
- 水にさらさない
①細かく刻み、最低10分放置する

長ネギの効果を最大限に発揮するには、酵素アリイナーゼが活性化させ、アリインを生成しなくてはいけません。
細胞を破壊すればするほど酵素が反応するため、長ネギの効果を発揮する順番は「みじん切り>繊維に垂直に切る>繊維に沿って切る」となります。
また、アリイナーゼの酵素反応は緩やかに反応しますので、切ってから調理または生で食べる前に、最低10分おくと良いことが推奨されています。(Song K, Milner JA. The influence of heating on the anticancer properties of garlic. J Nutr. 2001;131(3s):1054S-1057S.)
逆に、切ってから長時間置きすぎると、揮発性のアリインが抜けてしまうので、食べる直前に準備することをおすすめします。
②加熱しない

硫化アリルは揮発性で、ビタミンCなどは熱に弱いため、加熱することで栄養を損失してしまいます。
そのため薬味などで加熱せずに生で食べることをおすすめします。
加熱した場合には、アリシンがスコルヂニンに変化し、新陳代謝促進・疲労回復効果があり、完全に栄養がなくなるわけではありませんが、焦げ目がつかない程度の方が良いでしょう。
③水にさらさない

水につけることで辛味を抜くことでき、食べやすくなります。
しかし、硫化アリルは水溶性なため、水溶性ビタミンと共に流れ出てしまいます。
そのため、水にさらすことは推奨しません。
④ビタミンB1を含む食材と一緒に食べる

アリインはビタミンB1の吸収を高めてくれるので、疲労回復に効果的です。
アリインはビタミンB1の吸収を助けるため、ビタミンB1を豊富に含む食材と相性が良いです。
ビタミンB1が豊富な食材として、豚肉・大豆・鰹節などが挙げられます。
納豆にネギを入れるのは非常におすすめなレシピです。
まとめ

長ネギの栄養・効能を活かす効果的な料理法についてまとめさせていただきました。
栄養を生かす調理の方法に併せて、品質の良い食材を手に入れることも重要です。
残念なことに品質の良い食材を買ってみようと思っても、近所のスーパーの品揃えがない・価格高いなどの問題にあたってしまいます。
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農家による経験・知恵によるところもありますが、栄養をしっかり摂るためには正しい情報・データも必要なため、書籍・論文などの文献で勉強しました。
栄養について勉強をした際に使用した書籍をまとめましたので、興味がありましたらご参照ください。
