石綿管

石綿管撤去時における「撤去工」について

綿管は、昭和30〜50年代にかけて大量に製造され、農業用水管水路に使用されました。

低価格で施工性が良好であったが、老朽化による漏水事故・アスベストによる作業者や農業者への健障害が表面化しました。

これらの問題が生じないよう石綿曝露防止対策などの適切な対応を図る必要があります。 

「石綿障害予防規則」により石綿不含有製品への代替が業者責務とされ、 業用石綿セメント管を撤去して塩ビ管など更新する必要があります。

石綿管の撤去は以下の流れで実施されます。

  • 調査・設計
  • 事前準備
  • 準備工
  • 撤去工
  • 処理工

今回はこの中でも、撤去工についてまとめます。

石綿管撤去時における「撤去工」について

石綿管撤去時における「撤去工」は、

  • 保護具・保護衣の着用[石綿規則第14・32・44・45・46条]
  • 掘削・湿潤化
  • 石綿管継手部での取り外し
  • 濃度測定【切断時のみ】
  • 清掃

が挙げられます。

保護具・保護衣の着用[石綿規則第14・32・44・45・46条】

作業員・監督員等が作業区域内に出入りする場合、更衣設備において以下の保護具等を着脱しなければいけません。

  • 呼吸用保護具
  • 作業衣
  • 手袋
  • 長靴
  • 保護眼鏡

さらに石綿管切断時にはできるだけ以下のものを使用します。

  • 使い捨ての保護具
  • シューズカバー

更衣設備については、準備工で準備しておきます。

石綿管撤去時における「準備工」について石綿管は、昭和30〜50年代にかけて大量に製造され、農業用水管水路に使用されました。 低価格で施工性が良好であったが、老朽化による...

脱衣時の注意点

脱衣時には、呼吸用保護具を最後に取外さなければなりません。

た、保護具等は付着したものを HEPAフィルタ付き真空掃除機・エアーシャワー・専用ブラシ」などで除去し、他の衣服等か隔離して保管する必要があります。

保護具等を処分する場合は、石綿含有産業廃棄物として処理します。


呼吸用保護具【取替え式防塵マスク】

呼吸用保護具は、万一石綿セメント管に傷をつけたり、端部を破損させたりした場合に備
え、「半面形・全面形取替え式防じんマスク」を使用しなければなりません。

半面形取替え式防じんマスクは上記のようなものです。

全面形取替え式防じんマスクは上記のようなものです。

価格的・扱いやすさで、半面形取替え式防じんマスクが多く使われています。

石綿管撤去工事は、「アスベスト除去作業レベル3」に該当するため、防塵マスクは以下の要件を満たす必要があります。

  • 粒子補集率99.9%以上(RL3・RS3国家検定合格品)
  • フィルター式

フィルターについては、毎日交換するか、使用中に息苦しくなった場合、新しいフィルターに交換します。

石綿粉塵の吸入防止には、このフィルター性能と、さらにマスクと顔面との「密着性」の確保が必要です。マスクの「フィット」は「性能」と同じく重要です。

高い捕集性能をもってしても、装着時に「接顔部のすき間」から粉塵が漏れ込んでしまっては意味がありません。

マスクを装着したら必ず「フィットテスト」を行い、面体と顔面の気密性を確認しなければなりません。

  • 陰圧法:吸気口で塞いで息を吸い、面体と顔面が吸いつけられるか確認
  • 陽圧法:排気口で塞いで息を吐いて、面体が膨張するか確認
  • 測定器:専用の測定器を使用

作業衣【破損・切断時:使い捨て保護具】

324-70呼吸用保護具及び保護衣又は作業衣を使用する事石綿取扱作業場標識石綿障害予防規則対応標識エコユニボードユニットUNIT

作業衣は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 石綿粉塵のつきにくい生地(付着した粉塵を払うとすぐ落ちる)
  • ポケットや折り返しがないもの
  • 上下一体となったつなぎ服タイプ(必須ではない)
  • 石綿粉じんが浸透しにくい素材
  • 作業性が良い
  • 水洗等清掃しやすい

これらの条件を満たせばよいので、石綿管撤去作業時には保護衣を着用する必要はありません。

しかし、石綿管を破損・切断等を実施する場合、保護衣を着用しなければなりません。

なので便宜上、保護衣を活用していることが多いですが、通常撤去時は作業衣レベルで作業可能です。

保護衣は、微粒子防護用密閉服内部に石綿粉塵が侵入にくいものでなければいけません。 


手袋【ゴム手袋】

ソルベックス No.275(Lサイズ)

手袋は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 石綿の付きにくい材質
  • 石綿粉塵が浸透しにくい素材
  • 作業性が良い
  • 水洗など清掃しやすい

注意する点は、綿手袋は禁止されており、ゴム手袋が用いられます。

長靴【破損・切断時:シューズカバー】

長靴は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 石綿の付きにくい材質
  • 石綿粉塵が浸透しにくい素材
  • 作業性が良い
  • 水洗など清掃しやすい

基本的には、ゴム長靴が使用されます。

しかし、石綿管を破損・切断等を実施する場合、シューズカバーを着用しなければなりません。

防護衣と同様に使い捨てで用いられることが多いです。

保護眼鏡

保護眼鏡は、以下の要件を満たす必要があります。

  • アスベスト作業用の無気孔タイプ
  • 視力矯正用眼との併用できるゴーグルタイプ
  • ヘッドバンド有
  • レンズ交換可能(アイピース有)
  • アイピースは曇り止め加工処理

粉塵が目に侵入するのを防ぐために使用するため、顔と密着しない場合はすぐ取り替える必要があります。

また、アイピースが傷付いた際には、視野の妨げになる合ため、アイピースを交換します。 


掘削・湿潤化

石綿管を撤去時には掘削を実施しますが、石綿管であるため注意が必要です。

石綿管の破損を避けるため、「管上10cmまでは機械掘削・管上10cmから管底まで人力掘削」を徹底します。

石綿粉塵飛散防止のため、管が空気中に露出した場合、直ちに管全体を「湿潤化」する必要があります。

万一石綿セメント管を傷つけたり、端部を破損させた場合に備える意味でも、迅速に湿潤化が求められます。

湿潤化の方法は、一般的に噴霧器により散水します。

石綿管継手部での取り外し

石綿管の撤去に当たって、原則として石綿管の切断は避けて、接続箇所の継手部をずらし引抜くを基本とします。

綿セメント管の取外し

  • 石綿セメント管の接続部の継をずらし引抜く
  • 空気弁、制水弁などの鋼製・鋳鉄製異形管の手で引抜く
  • 石綿管を傷つけないよう非石綿継手取り壊し抜く

の方法があります。

しかし、これらのやむを得ず石綿セメント管を切断する場合もあります。

取り外した石綿管は、湿潤状態を保ち、直ちにプラスチック袋などで梱包します。

石綿管の引き抜きの場合

石綿管の引き抜きは、以下のような流れで実施します。

  1. 止水ゴムの密着を緩める。
  2. 引抜き用ナイロンスリングを巻き、2本掛けする。
  3. スリングが少し緊張したことを確認後、作業者は安全な場所に退避する。
  4. 牽引用の建設機械で管を引き抜く。
  5. 管を2 本掛けで地上に吊り上げる。
  6. 管を再度湿潤化し、石綿袋(ポリエチレンスリーブなど)で梱包する。

引き抜き時に必要な引き抜き力は口径に比例して大きくなるので、安全な耐荷力を有する建設機械とナイロンスリングを準備します。

建設機械は、呼び径800以下はクレーン機能付きバックホウなど、呼び径900以上はトラッククレーンやラフテレーンクレーンなどを使用します。

石綿管は老朽化によりとても脆いので、簡単に破損・破断します。

十分に湿潤化を図るなど、常に破管に備える必要があります。

石綿管の切断の場合

石綿管の切断は、以下のような流れで実施します。主に湿潤対策が重要です。

  1. 切断時の作業ヤードを確保するため、基準より広めに掘削
  2. 切断部を十分湿潤化
  3. 切り屑収集のため、切断部周辺の床にシートを敷設
  4. 管開口部封鎖などの管内面からの飛散防止処理
  5. 給水装置付き切断機で切断
  6. 飛散防止剤など切断面の飛散防止処理

【湿潤化の注意事項】

  • 切断機は、給水機付きのものを必ず使用して常時湿潤状態を保つ
  • 切断時には水が途切れることのないよう十分な水を確
  • 水処理が必要なほど多量の水を使用しないよう注

【切りくず・破片等の処理】

切りくず・破特別管理産業廃棄物である廃石綿には該当しないが、これに準じた処理を行う必要があります。

  • 切りくずや破片等をビニールシートと一緒に人力より収集し、ラスチック袋等で2に袋詰めし保管
  • 作業後、作業衣・シートなどに飛散した粉じんを真空掃除機で吸引
  • 切り屑・使い捨ての保護衣・シート・フィルタなどを廃棄する場合、蓋付き容器や二重のプラスチック袋等に密封

プラスチック袋等とは、厚さ0.15mm以上のプラスチック袋・程度の強度を有するポリエチレン袋です。

石綿管が開削撤去できない場合

既設石綿管の地上条件が家屋等の場合、掘削して除去が不可能です。

石綿管撤去不可能区間が短い場合は、以下の対策を用いることができます。

  • 埋め殺し:石綿管をエアーモルタル等で充填
  • 囲い込み:石綿管を破砕しセメントで固化
  • 更生:石綿管の中に新管を挿入し空隙を充填

これらを用いることで、掘削することなく石綿管を非飛散性にすることができます。

しかし、石綿が存置されることに留意する必要があります。


濃度測定【切断時のみ】

参照:柴田科学株式会社 アスベスト個人サンプラー APS-1型

石綿管の切断時には、屋外作業環境管理ガイドラインに基づく現場における空気中の石綿粉塵濃度測定を実施します。

測定は作業環境測定関に依頼して、以下の通りに測定・分析します。 

  • 測定回数:1箇所抽出して3回(切断前・切断中・切断後)測定
  • 測定箇所:作業区域内労働者の呼吸域(鼻・口から30cm以内の襟元・胸元・帽子縁)
  • 試料採取方法:試料採取機器(個人サンプラー)を装着
  • 試料採取時間:10分以上
  • 試料分析方法:作業環境測定基準に従う

これらの方法で測定した値と管理濃度とを比較し、「屋外作業環境管理ガイドライン」に従い適正な措置を講じなければなりません。

石綿管の管理濃度は、「石綿管理濃度は5μm以上の繊維として0.15本cm3以下」になっています。

分析方法などは、「石綿含有製品の使用状況の把握について」で記載されている方法と同じです。

石綿含有製品の使用状況の把握について施設管理者は、石綿含有製品の使用状況を把握し、使用されている場合には、その劣化・破損状況に応じた適切な石綿粉塵暴露防止対策を講じなければ...

清掃

石綿粉塵が付着している可能性があるため、休憩時・昼食時・作業終了時など作業を中断する度に、除去作業で使用した器具工具を清掃する必要があります。

作業衣は脱着する度に、真空掃除機で清掃する必要があります。

また、作業終了時には建設機械や作業区域を十分に清掃し、常に作業場が石綿粉塵が暴露されていない状態に保ちます。

常に、石綿を取り除いた後に作業場から搬出する必要があります。


まとめ

今回、石綿管撤去の方法・手順である

  • 調査・設計
  • 事前準備
  • 準備工
  • 撤去工
  • 処理工

における「撤去工」についてまとめさせていただきました。

これら石綿管撤去方法の詳細について知りたい方は、こちらを参照ください。

石綿管撤去の方法・手順について石綿管は、昭和30〜50年代にかけて大量に製造され、農業用水管水路に使用されました。 低価格で施工性が良好であったが、老朽化による...

また、石綿撤去作業は、通常の土木作業よりも安全性が重視されるため、専門知識が必要になります。

その専門知識を習得するための参考書・専門書をまとめてみました。

個人的な意見ではありますが、おすすめの理由も添えて紹介します。勉強の一助になればと思います。

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参考資料・参考文献

  • 農業農村整備事業におけるアスベスト対応マニュアル:農林水産省農村振興局整備部
  • 水道用石綿セメント管の撤去作業等における石綿対策の手引き:厚生労働省健康局水道課
  • 愛知県農業用石綿セメント管工事指針:愛知県農業用水管アスベスト対策推進検討会