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石綿管撤去時における「準備工」について

石綿管撤去時における 「準備工」について
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綿管は、昭和30〜50年代にかけて大量に製造され、農業用水管水路に使用されました。

低価格で施工性が良好であったが、老朽化による漏水事故・アスベストによる作業者や農業者への健障害が表面化しました。

これらの問題が生じないよう石綿曝露防止対策などの適切な対応を図る必要があります。 

「石綿障害予防規則」により石綿不含有製品への代替が業者責務とされ、 業用石綿セメント管を撤去して塩ビ管など更新する必要があります。

石綿管の撤去は以下の流れで実施されます。

  • 調査・設計
  • 事前準備
  • 準備工
  • 撤去工
  • 処理工

今回はこの中でも、事前準備についてまとめます。

石綿管撤去時における「準備工」について

保護具・保護衣の着用

石綿管撤去時における「準備工」として、

  • 関係者以外の立ち入り禁止措置 (石綿規則第15条)
  • 各種掲示板の設置 (石綿規則第33・34条)
  • 洗眼設備、更衣設備の設置 (石綿規則第31条)
  • 作業記録 (石綿規則第35条)

が重要です。

関係者以外の立ち入り禁止措置(石綿規則第15条)

石綿管撤去工事の作業現場は、できるだけ広い範囲を作業区域とし、関係者以外立入禁止とします。

作業区域を明確にするため、 撤去工事の施工現場をトラ柵・ロープ・ラバーコーン等で囲い、関係者以外の立ち入りを禁止する作業区域を明確にします。

また、作業区域への立入禁止を明示する看板等を設置する必要があります。

作業現場が人家等に近接している場合、ビニールシート等で養生するなど飛散防止対策を必要に応じて実施します。

各種掲示板の設置 (石綿規則第33・34条)

石綿管撤去には、関係労働者・周辺住民の安全を十分に確保する必要があるため、下記事項を明示する掲示板を設置する必要があります。

  • 作業場内の喫煙・飲食の禁止事項
  • 石綿作業主任者に関する事項
  • 労働者への周知事項
  • 関係労働者や周辺住民への周知事項

作業場内の喫煙・飲食の禁止事項

石綿が空気中に飛散している可能性があるため、労働者が作業場内で喫煙・飲食をすることを禁止しなければなりません。

そのため、その旨を作業現場の見やすい箇所に表示します。

労働者への周知事項

石綿を取り扱う工事について、労働者が見やすい箇所に下記事項を明示する掲示板を設置し、石綿について周知させます。

  • 石綿セメント管を取り扱う工事である旨
  • 石綿等の人体に及ぼす作用
  • 石綿等の取扱い上の注意事項
  • 使用すべき保護具等

石綿作業主任者に関する事項

作業現場に労災保険関係成立票の掲示とともに、石綿作業主任者の表示をしなけばなりません。

関係労働者や周辺住民への周知事項

関係労働者や周辺住民に周知するため、作業現場の見やすい場所に石綿暴露防止対策等の実施内容を明示する掲示板を設置しなければいけません。

  • 立入禁止措置
  • 作業期間
  • 石綿作業主任者
  • 特別教育の実施状況
  • 石綿の健康被害について
  • 取扱い事項(湿潤化、石綿セメント管の切断)
  • 使用する保護器具

洗眼設備、更衣設備の設置 (石綿規則第31条)

現場小屋

石綿管撤去は「石綿作業レベルⅢ-B」に該当するため、の作業現場に近接した場所に

  • 更衣設備
  • 洗面設備

を設置する必要があります。

作業場所へ出入するときは必ずこれらの設備を利用する必要があります。

更衣設備

プレハブ コンテナハウス 物置・事務所・宿舎・1人部屋
ノーブランド品

石綿粉塵汚染を広げないため、作業現場の出入りの際に必ず着替え、「通勤用衣服と作業用衣服を区別」する必要があります。

更衣設備とは、これらを行うための更衣用ロッカー・更衣室のことです。

作業衣、保護具等は隔離して保管する必要があり、簡単に作業現場から持ち出すことはできません。

更衣設備は作業現場の外に設けても良いことになっていますが、石綿粉塵飛散防止対策として、以下のものを準備する必要があります。

  • 移動式エアシャワー室または高性能(HEPA)フィルター付き真空掃除機
  • 使い捨ての保護衣等を収納・密閉容器

洗面設備

作業終了後は、作業用衣服から通勤用衣服に着替えをする前に、洗面・洗眼・うがいを行う必要があります。

これらができる洗面設備を、できるだけ更衣室に設ける必要があります。

他の石綿作業レベルだと、洗身設備(エアシャワー設備・温水シャワー設備)を常備する必要がありますが、石綿管撤去時には必要ありません。

作業記録 (石綿規則第35条)

書類 記入

レベルⅠと同様に常時作業に従事した労働者の作業状況を記録し、40年間保存が義務付けられています。

以下の記録内容を1ヶ月以内ごとにまとめます。

  • 労働者の指名
  • 従事した作業の概要
  • 従事した作業期間
  • 石綿粉塵等で著しく汚染された場合、汚染概要と応急処置の内容

規則では、このようになっていますが、作業記録は毎日作成することが望ましいです。

まとめ

石綿管

石綿管撤去時における「準備工」についてまとめました。

石綿管撤去の方法・手順についての全容については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。

石綿撤去作業のは、通常の土木作業よりも安全性が重視されるため、専門知識が必要になります。

その専門知識を習得するための参考書・専門書をまとめましたので、参考にしてみてください。

参考資料・参考文献

  • 農業農村整備事業におけるアスベスト対応マニュアル:農林水産省農村振興局整備部
  • 水道用石綿セメント管の撤去作業等における石綿対策の手引き:厚生労働省健康局水道課
  • 愛知県農業用石綿セメント管工事指針:愛知県農業用水管アスベスト対策推進検討会