石綿管は、昭和30〜50年代にかけて大量に製造され、農業用水管水路に使用されました。
低価格で施工性が良好であったが、老朽化による漏水事故・アスベストによる作業者や農業者への健康障害が表面化しました。
これらの問題が生じないよう石綿曝露防止対策などの適切な対応を図る必要があります。
「石綿障害予防規則」により石綿不含有製品への代替が事業者の責務とされ、 農業用石綿セメント管を撤去して塩ビ管などへ更新する必要があります。
石綿管の撤去は以下の流れで実施されます。
- 調査・設計
- 事前準備
- 準備工
- 撤去工
- 処理工
今回はこれら石綿管撤去についてまとめさせていただきます。
①調査・設計

石綿管撤去時における「調査・設計」として
- 石綿管の埋設状況調査(石綿則第3条)
- 既設石綿セメント管撤去工事の平面図・標準断面図の作成(石綿規則第3・8条)
が重要です。
石綿管の埋設状況の調査は、管路の縦断図、平面図、管割図などの設計図書等により、埋設位置・埋設深・管径などの現場の埋設状況を把握します。
しかし、石綿管は50年以上前に施工されたものがほとんどであるため、正確な位置が把握できないことがほとんどであるため、試掘を行うのが好ましい。
「調査・設計」の詳細については、下記の記事でまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:石綿管撤去時における「調査・設計」について
②事前準備

石綿管撤去における事前準備として、
- 石綿作業主任者の選任 (石綿規則第19・20条)
- 施工計画書における特記事項 (石綿規則第4条)
- 特別教育の実施 (石綿規則第27条)
が重要です。
石綿撤去工事について
- 石綿作業主任者技能講習を修了した者
- H18. 3.31 までに特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者
のいずれかの者を石綿作業主任者として選任します。
施工計画書において、撤去工事における「作業の方法・順序、石綿粉じんの発散を防止・抑制方法」に関して特別に記載が必要です。
撤去工事に従事する労働者に対して、石綿についての特別の教育を受けさせなければいけません。
石綿管撤去における事前準備についての詳細は、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:石綿管撤去時における「事前準備」について
③準備工
石綿管撤去時における「準備工」として
- 関係者以外の立ち入り禁止措置 (石綿規則第15条)
- 各種掲示板の設置 (石綿規則第33・34条)
- 洗眼設備、更衣設備の設置 (石綿規則第31条)
- 作業記録 (石綿規則第35条)
が重要です。
作業区域を明確にするため、 撤去工事の施工現場をトラ柵・ロープ・ラバーコーン等で囲い、関係者以外の立ち入りを禁止する作業区域を明確にします。
また、作業区域への立入禁止を明示する看板等を設置する必要があります。
準備工の詳細については、下記の記事でまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:石綿管撤去時における「準備工」について
④撤去工

石綿管撤去時における「撤去工」として
- 保護具・保護衣の着用(石綿規則第14・32・44・45・46条)
- 掘削・湿潤化
- 石綿管継手部での取り外し
- 濃度測定【切断時のみ】
- 清掃
が重要です。
作業員・監督員等が作業区域内に出入りする場合、更衣設備において以下の保護具等を着脱しなければいけません。
- 呼吸用保護具
- 作業衣
- 手袋
- 長靴
- 保護眼鏡
撤去工の詳細については、下記の記事でまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:石綿管撤去時における「撤去工」について
⑤処理工

石綿管撤去時における「処理工」として
- 廃石綿管の仮置き
- 収集・運搬
- 産廃処理場での処理
が重要です。
廃石綿管の廃棄物処理場は「安定型最終処分場」を選定する。
しかし、特別管理産業廃棄物と同様の処理を行う「切りくず・破片・保護具等」については、特別管理産業廃棄物を取り扱うことができる管理型最終処分場を選定しなければなりません。
「産廃処理」の詳細については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:廃石綿等・石綿含有廃棄物の「産廃処理」について
まとめ

石綿管撤去の方法・手順についてまとめました。
石綿撤去作業のは、通常の土木作業よりも安全性が重視されるため、専門知識が必要になります。
その専門知識を習得するための参考書・専門書をまとめましたので、参考にしてみてください。
参考資料・参考文献
- 農業農村整備事業におけるアスベスト対応マニュアル:農林水産省
農村振興局整備部 - 水道用石綿セメント管の撤去作業等における石綿対策の手引き:厚
生労働省健康局水道課 - 愛知県農業用石綿セメント管工事指針:愛知県農業用水管アスベス
ト対策推進検討会