裁荷重工法は、計画地盤に対して計画荷重以上の荷重(裁荷重)を与え、圧密沈下を促進させて地盤を安定させた後に裁荷重を除き、改めて盛土・構造物を築造する工法です。
裁荷重工法における地下水位低下工法には、排水管方式・井戸方式の2つの工法があります。
今回、排水管方式についてまとめさせていただきます。
地下水低下工法における排水管方式の方法・特徴について
排水管方式は、地表下数メートルの位置に暗渠管を埋設して、管路より上方の地下水を浸透により集めて排水させる方法です。
3m程度の非液状化層の確保に適しており、深さ3m程度の位置に排水管を敷設し、ネットワークにして末端に流下させるものです。
排水管の埋設手法により2つの工法があります。
- 開削工法
- 推進工法
流末の排水施設での処理により、自然流下排水方式とポンプアップ排水方式の2つの排水方式にも分かれます。
ポンプアップ排水方式が一般的であるが、自然流下排水方式が採用できれば維持費が安くなります。
地盤条件
地盤条件は、下記の条件を満足することを確認する。
- 透水係数k≧1×10-5(m/s)程度の透水性が高い地盤であること
- 水が速やかに流れる砂層・細砂層の均一な地盤で粘性土地盤でないこと
- 細粒分の含有が少なく、透水管の目詰まりを起こしにくいこと
- 下部に軟弱な粘土層がある場合でも圧密沈下量が大きくないこと
開削工法
開削工法は、土留工を打設して埋設深度まで開削し、透水管を設置する工法です。
砕石層による壁を構築するため、地層条件に左右されず集水が可能です。
注意点
開削により暗渠排水管を設置する際には、簡易土留め・土留鋼矢板を用いて掘削する必要があります。
しかし、掘削時に土留め壁が変形して近傍の地盤に変状を生じたり、土留壁撤去時に地盤を緩めたりする懸念があります。
このように工事中に地盤変状を生じさせ、周辺構造物に悪影響をもたらすことがないように留意しつつ施工する必要があります。
また、開削工事は工事期間は通行止が必要であるため、生活環境への影響が大きいので、充分に配慮を行う必要がある。
推進工法
推進工法は、立坑を掘削し立坑間を透水性パイプで連結させ、掘削を最小限にし、家屋への影響をも最小限にした工法です。
立坑から推進工法によりドレーン管を地中に埋設し、ドレーン管から排出された地下水を立坑から汲みだすことで周辺の地下水位を低下させます。
さや管とドレーン管を同時に推進し、到達後にさや管を引抜く方法で施工し、掘削は立坑だけでありオールケーシングのバケット掘削で施工します。
透水性パイプには、ドレーン管(φ300mm)を用いります。
工事費は開削工法より高いが、施工性に優れることから工期短縮が図れます。
また、周囲の掘り乱しが少ないため、掘削時の周辺地盤変形や土留鋼矢板撤去時の地盤の緩みによる周辺構造物に影響をもたらす懸念が少なくなります。
集水断面が小さいことから土質条件として均一な砂地盤で粘性土を含まないことが望ましいです。
まとめ
地下水低下工法における排水管方式についてまとめました。
地下水低下工法についての詳細は、下記の記事でまとめていますのでご参照ください。
紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。
勉強に使用した書籍をまとめていますので、ご参照ください。