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ポンプ設備の「経年劣化による性能低下」について

ポンプ設備の経年劣化による 性能低下について
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ポンプ設備の性能管理とは、ポンプ設備に必要な機能・性能を長期にわたって維持させる行為です。

ポンプ設備の性能レベルを健全度で表し、レベルに応じた対策を検討するため、以下の手順で性能管理がされます。

  1. 日常点検
  2. 機能診断調査
  3. 機能診断評価
  4. 機能保全計画の策定
  5. 機能保全(長寿命化対策)の実施

経年劣化によりポンプ機能の低下が生じるため、これらの性能管理が必要になります。

今回、経年劣化による性能低下についてまとめます。

ポンプ設備の経年劣化による性能低下について

ポンプ設備 経年劣化による性能低下

引用:農業水利施設の機能保全の手引き「ポンプ場(ポンプ設備)」農林水産省

ポンプ設備を構成する機器・部品等は、回転により発熱する部位と水に接触する部位等を有しており、使用時間とともに摩耗や腐食等の劣化の進行により故障が発生し、やがては設備全体の性能が低下します。

製造された時点には、様々な計器・機械類との取合せにより、故障が多く散見されます。

それらに対処したあとに徐々に劣化が進行し、設計上の許容範囲を越えたときに故障として現れます。

一般的に使用時間の経過とともに、

  1. 初期故障
  2. 偶発故障
  3. 摩耗故障

の順に推移して、劣化も次第に進んでいきます。

故障率を図に示した故障率曲線をバスタブカーブと呼びます。

ポンプ設備の劣化要因

ポンプ設備 劣化

ポンプ設備の劣化要因には、以下のものがあります。

【ポンプ設備の劣化要因】

  • 機械的要因機械的応力・振動)
  • 熱的要因異常な温度上昇)
  • 電気的要因電気化学反応による腐食)
  • 環境要因外線劣化・反応性物質・吸湿による加水分解・微生物による腐食)
  • 複合的要因

ポンプ設備の劣化現象

設備 劣化

ポンプ設備の劣化現象には、以下のものがあります。

【ポンプ設備の劣化現象】

  • 摩耗
  • 腐食
  • 変形
  • 緩み・剥離・脱落・移動
  • 焼損
  • 亀裂・破損
  • 漏洩
  • 詰まり・付着
  • 振動・騒音
  • 作動不良
  • ディーゼル機関始動・作動不良
  • 溶断・断線
  • 接点不良
  • 絶縁不良(短絡・漏電)
  • 電動機始動・作動不良

摩耗

摩耗

ポンプ設備の摩耗は、以下が原因により生じます。

【摩耗の原因】

  • 過大荷重
  • 過大振動
  • 相対滑り
  • 異物混入
  • 異物付着
  • 変形
  • 発錆
  • 潤滑不良

腐食

ポンプ設備の腐食は、以下が原因により生じます。

【ポンプ設備の腐食原因】

  • エロ―ジョン
  • 全面腐食
  • 部分腐食
  • 電食
  • 環境

エロージョンは、材料硬さ(硬さ異常)・流速・周速・キャビテーションが原因です。

全面腐食は、使用環境(水分、塩分等)・防錆低下が原因です

部分腐食は、使用環境(水分、塩分等)・鋭敏化(オーステナイト系ステンレス鋼の溶接時における組織変化)・デボジットスケール(付着した腐食生成物等)が原因です

電食は、使用環境(水分、塩分、異種金属接触等)が原因です。

環境は、紫外線・オゾン・塵埃の影響のことです。

変形

変形

変形は、以下が原因により生じます。

  • 温度不均一
  • 材料劣化

緩み・剥離・脱落・移動

緩み・剥離・脱落・移動

緩み・剥離・脱落・移動は、上記の摩耗・腐食により生じます。

焼損

ポンプ 焼損

焼損は、焼付きとも呼ばれ、以下が原因により生じます。

  • 異物混入
  • 保全不良
  • 潤滑不良

亀裂・破損

亀裂・破損

亀裂・破損は、以下が原因により生じます。

【亀裂・破損の原因】

  • 脆性亀裂・破壊
  • 延性亀裂・破壊
  • 疲労亀裂・破壊
  • 応力腐食亀裂・破壊
  • 加工亀裂・破壊

脆性亀裂・破壊は、過大応力・残留応力が原因です。

延性亀裂・破壊は、過大応力が原因です。

疲労亀裂・破壊は、過大繰り返し応力・残留応力が原因です。

応力腐食亀裂・破壊は、残留応力・隙間腐食・鋭敏化が原因です。

加工亀裂・破壊は、繰り返し応力・紫外線・オゾン・塵埃が原因です。

漏洩

管 漏水

漏洩は、以下が原因により生じます。

【漏洩の原因】

  • 取扱い不良
  • 材料劣化
  • 異物混入
  • 摩耗
  • 腐食
  • 亀裂

詰まり・付着

詰まり・付着

詰まり・付着は、以下が原因により生じます。

【詰まり・付着の原因】

  • 保全不良
  • 液体の仕様不良
  • 取付け不良
  • 機構不良
  • 異物混入
  • 異物付着

振動・騒音

振動・騒音

振動・損音は、流体的要因・機械的要因により生じます。

【振動・騒音の流体的原因】

  • 流速分布の不均一
  • 圧力脈動
  • キャビテーション
  • カルマン渦
  • 空気吸込み渦
  • 水中渦
  • 空気吸込み
  • サージング
  • 水撃作用
  • 目詰り

【振動・騒音の機械的原因】

  • 組立不良(芯出し不良、バランス不良、締付け力不足、歯当り不良)
  • 構造・剛性不良(配管反力・モーメント、サポート不良)
  • 異物混入
  • 潤滑不良
  • 危険速度
  • 自励振動
  • 共振
  • 変形
  • 摩耗
  • 基礎・支持台の不良・劣化
  • トルク変動(欠相時)
  • 負荷側の不平衡
  • 断線電圧の不平衡
  • ブラシの接触不良
  • 二次回路の不平衡

作動不良

ポンプ設備 (1)

 

作動不良は、開動作不良・閉動作不良・機械的不良が原因により生じます。

開動作不良・閉動作不良

  • コンタミネーション(汚染物、異物の混入)
  • スティック(カジリ、キズ発生等)
  • 流体圧力異常
  • 駆動装置不良
  • 機構部破損

機械的不良

  • 駆動装置不良
  • 機構部破損

ディーゼル機関始動・作動不良

ディーゼル機関

ディーゼル機関始動・作動不良は、以下が原因により生じます。

【ディーゼル機関始動・作動不良の原因】

  • 動装置不良
  • 燃料ポンプ不良
  • 燃料切れ(燃料劣化)
  • 始動空気圧不足
  • 軸受焼損
  • 吸排気弁不良
  • シリンダ・ピストン焼損
  • 燃料噴射ポンプ不良
  • 燃料・吸気フィルタ目詰り
  • 排気管・消音器詰り

溶断・断線

溶断・断線

溶断・断線は、以下が原因により生じます。

【溶断・断線の原因】

  • 過熱
  • 配線不良
  • 締付け不良
  • 不完全投入
  • 過負荷
  • 異常電圧
  • 短絡絶縁破壊
  • 異常電圧
  • 機械的破壊
  • 汚損

接点不良

接点不良

接点不良は、以下が原因により生じます。

【接点不良の原因】

  • 常消耗
  • 過負荷
  • 開閉頻度多
  • チャタリング
  • 腐食性ガス
  • 汚損
  • 接触不良
  • 組立不良
  • 機構部破損
  • 接点脱落
  • コイル断線
  • 吸引不良
  • 汚損
  • 発錆
  • 異物混入
  • 保全不良
  • 溶着
  • 過熱
  • 過負荷
  • 突入電流大
  • 炭化物付着
  • 接触面荒れ
  • 摩耗

絶縁不良(短絡・漏電)

絶縁不良(短絡・漏電)

絶縁不良(短絡・漏電)は、以下が原因により生じます。

【絶縁不良(短絡・漏電)の原因】

  • 絶縁低下
  • 汚損
  • 吸湿
  • 焼損
  • 保全不良
  • 絶縁劣化(絶縁物の劣化・亀裂)
  • 振動

電動機始動・作動不良

ポンプ室 故障

電動機始動・作動不良は、以下の原因により生じます。

【電動機始動・作動不良の原因】

  • 電源不良(電圧・周波数異常)
  • 断線接続不良
  • 回転子不良
  • 過負荷

まとめ

ポンプ設備

ポンプ設備の経年劣化による性能低下についてまとめました。

ポンプ設備の「性能管理」全体については、下記の記事でまとめていますのでご参照ください。

紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。

勉強に使用した書籍をまとめていますので、ご参照ください。