機能保全

ポンプ設備の機能診断調査における事前調査の方法・特徴について

ポンプ設備の性能管理とは、ポンプ設備に必要な機能・性能を長期にわたって維持させる行為です。

ポンプ設備の性能レベルを健全度で表し、レベルに応じた対策を検討するため、以下の手順で性能管理がされます。

  1. 日常点検
  2. 機能診断調査
  3. 機能診断評価
  4. 機能保全計画の策定
  5. 機能保全(長寿命化対策)の実施

この中の機能診断調査は、以下の手順で実施されます。

  1. 資料収集や施設管理者からの聞き取りによる事前調査
  2. 設備の概況把握・仮設の必要性確認・現場の制約事項の確認等を行う現地踏査
  3. 目視・計測等により定性的・定量的な調査を行う現地調査

今回は、機能診断調査における「事前調査」についてまとめさせていただきます。

ポンプ設備の機能診断調査における事前調査の方法・特徴について

事前調査は、設備の状況や問題点等を把握し、現地調査の実施方法の検討を目的とし、機能診断調査のための基本的情報を収集します。

収集する基礎情報は以下の通りです。

  • 使用年数・使用期間・災害被害等の実態調査
  • 農業水利ストック情報などのデータベース等の参照
  • 設計・施工内容に関する完成図書
  • 点検整備記録
  • 地域特性・地域社会情勢の把握
  • 管理・故障・補修履歴等の文献調査
  • 施設管理者からの聞き取り調査

これにより、現地での機能診断調査項目を決定し、健全度評価・劣化対策等に必要となる情報を整理します。

既存資料の収集・整理

既存資料の収集・整理については、以下のことを実施します。

  • 設計・施工内容に関する既存資料の収集・整理
  • 事故履歴・補修履歴の収集整理
  • 地域特性に係る資料の収集整理

設計・施工内容に関する既存資料の収集・整理

引用:農業水利施設の機能保全の手引き「ポンプ場(ポンプ設備)」農林水産省

設計・施工内容に関する既存資料は、以下について収集・整理を行います。

  • 完成年月
  • 設計内容
  • 運転履歴・維持管理内容

設計図書・完成図書を収集することで、完成年月・設計内容を調査することができ、必要に応じて施設管理者・設計者・施工者に聞き取り調査を実施します。

完成年月・施工内容を把握することで劣化要因・時間の推定ができ、当初の計測値などから現在の計測値との比較をすることもできます。

運転履歴・維持管理内容は、設置後の運転記録・点検記録などの状況から運転頻度・記録内容を把握ため、以下のものを収集・聞き取りを実施します。

  • 運転操作記録
  • 点検・整備時の計測記録情報
  • 電気設備法定点検記録

特に、月次点検・年次点検される電気設備の法定点検記録は、重要になります。

ポンプ場の電気設備が自家用電気工作物であるため、電気主任技術者を選任し、保安規程を作成後、保安規程に準じた点検が必要です。(電気事業法第42・43条)。

対象となる電気設備は、受変電設備・配線設備・電線路・接地・負荷設備・自家用発電設備・避雷器です。

電動機の絶縁抵抗測定については、この法定点検記録を参考にして記入するなど、過去の年次記録から絶縁抵抗値の傾向を把握できます。


事故履歴・補修履歴の収集整理

適切な整備・補修方法を選定するためには、設備の故障や整備・補修の履歴を記録し、設備の機能・性能がどういう状態にあるかを絶えず把握しておく「履歴管理」が重要です。

整備・補修の履歴は異常の兆候を素早く発見するのに有効であるため、設備の機能状態・劣化状態等を定量的に把握する基礎資料として可能な限り詳細に収集します。

  • 点検保守履歴:点検結果・外部委託の場合に要した費用の把握
  • 運転履歴:運転時間の把握
  • 故障・事故履歴情報:故障部位・故障内容・故障原因・故障発生年月日の把握
  • 修・整備履歴情報修理処置内容・交換部品等名称・修理年月日・修理に要した費用

地域特性に係る資料の収集整理

塩害等の水質環境、塵芥物等により劣化を促進させる地域特性が存在する場合は、これらを把握しておくことが必要である。

ポンプ場等のポンプ設備は、設置後、数十年経過している場合、ポンプ設備を取り巻く周辺環境も大きく変わっていることが多い。

流砂や流木及び塵埃等の流下物や水質の変化、また、必要用水量の変化といった水利用形態等も、「機能保全計画書」作成時の更新手法や工法等の決定に重要な要素となるため、事前調査において把握する必要がある。


まとめ

不勉強ながら、ポンプ設備の機能診断調査における事前調査の方法・特徴についてまとめさせていただきました。

施設管理については、ポンプ設備以外にも「除塵機」「電気設備」など様々な設備があります。

これらを含めた総合的な施設管理についても実施していく必要があります。

そのために、ポンプ施設管理技術者などの個々の設備における資格の他にも、「機械保全技能士」の資格などの取得を目指すのも良いかもしれません。

今後も機械設備について研鑽に努め、農業土木分野についても手広く知識を吸収したいと思います。

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