食材の栄養素は料理の仕方次第で大きく変化します。
栄養を大きく損なう調理をしてしまうと、食材の栄養素を活かすことができません。
逆にちょっとした工夫・要点を知るだけで、効率的に栄養を活かすことができます。
今回は、「柿」の栄養・効能を活かす効果的な調理・料理法をまとめます。
柿の主な栄養・効能

【柿の注目成分】
- βカロテン:300μg
- ビタミンC:55mg
- カリウム:200mg
- 食物繊維:2.8g
【渋柿 生 可食部100gあたり成分 七訂日本食品標準成分表より】
柿は、免疫力上昇・抗酸化作用・美肌効果などが期待できる「ビタミンC」・抗酸化作用がある「β-カロテン」が豊富に含んでいます。
「柿が色づくと医者が青くなる」といわれるほど栄養価の高い果物です。
「梨尻柿頭」という言葉の通り、柿の糖度は頭周辺が高くなります。
タンニン
タンニンは、柿の渋さの原因で、ポリフェノールの一種です。
タンニンには可溶性と不溶性があり、柿は実が熟すと、水溶性タンニンから不溶性タンニンに変化します。
可溶性タンニンのが口の中で溶けることで渋みを感じますが、不溶性タンニンは渋みを感じません。
タンニンには抗酸化作用があり、活性酸素を除去するので、動脈硬化などの生活習慣病予防・老化予防になります。
また、タンニンには、メラニンを産生する細胞増殖を抑制・肌を引き締める効果があるので、皮膚保護作用・美肌作用を持っています。
タンニンには少し毒性もありますので、腸の粘膜を刺激することで腸を引き締めて下痢予防にもなります。
β-クリプトキサンチン
β-クリプトキサンチンが多く含まれ、発がん抑制作用が期待されています。
干し柿2.1mg/100g、甘柿0.5mg/100g、渋抜き柿0.38mg/100gが含まれています。
β-クリプトキサンチンは以下の効果があることが報告されています。
- 脂質代謝異常症(高中性脂肪血症)の発症リスク低減(Sugiura et al. The British Journal of Nutrition 2015; 114(10): 1674-1682)
- 肝機能異常症(血中高ALT値)の発症リスク低減(Sugiura et al. The British Journal of Nutrition 2016; 115(8): 1462-1469)
- 2型糖尿病の発症リスク低減(Sugiura et al. BMJ Open Diabetes Research & Care 2015; 3:e000147)
- 動脈硬化の発症リスク低減(Nakamura et al. Nutrition, metabolism & cardiovascular disease)
- 骨粗しょう症の発症リスク低減(Sugiura et al. PLOS ONE 2012; 7(12): e52643)
これらの効果を得るためには、3.4mg/日を摂取すれば良いと農研機構が示しています(カンキツのβ-クリプトキサンチン含量等の品質を保証した果実供給の実現に向けた取り組み)。
柿の栄養・効能を活かす効果的な調理・料理法

柿の栄養・効能を活かすため、以下の効果的な料理方法をおすすめします。
あくまでも、栄養を活かすためであって、美味しさを追求する場合の料理方法とは異なることをご承知ください。
【柿の栄養・効能を活かす効果的な調理・料理法】
- 渋抜きで食べる
- タンニンと相性の悪い食材を避ける
- 皮ごと食べる
①渋抜きで食べる

柿にすると渋みの原因であるこの「タンニン」は、渋抜きをすることで可溶性から不溶性になるため、渋みが自然に抜けていきます。
柿を渋抜きをする方法として一般的なのは、干し柿にすることです。
干すことで、甘みが増し、βカロテン・食物繊維が増加します。
タンニンはアセトアルデヒドと反応することで不溶性化するので、アルコール・炭酸ガスで渋抜きをする方法もあります。
②タンニンと相性の悪い食材を避ける

柿のタンニンと相性の悪い食べ物と一緒に食べることを避けましょう。
秋の味覚同士である「柿とサツマイモ」は相性がとても悪いです。
サツマイモは胃酸の分泌を促し、柿に含まれるタンニンと胃酸が結合することで結石ができやすくなります。
また、タンニンはカルシウム・鉄の吸収率を下げてしまうため、これらが豊富に含まれる食材と組み合わせる際は注意が必要です。
③皮ごと食べる

柿の皮には、実よりもβ-カロテンなどたくさんの栄養素が含まれています。
そのため、皮ごと食べるのが効率的に栄養が摂取できるのでおすすめです。
皮の硬さが気になる場合、追熟させて皮が柔らかくなるのを待ってください。
まとめ

柿の栄養・効能を活かす効果的な調理・料理法についてまとめました。
栄養を生かす調理の方法に併せて、品質の良い食材を手に入れることも重要です。
残念なことに品質の良い食材を買ってみようと思っても、近所のスーパーの品揃えがない・価格高いなどの問題にあたってしまいます。
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農家による経験・知恵によるところもありますが、栄養をしっかり摂るためには正しい情報・データも必要なため、書籍・論文などの文献で勉強しました。
栄養について勉強をした際に使用した書籍をまとめましたので、興味がありましたらご参照ください。
