JAS規格制度では、JAS規格による格付検査に合格した製品にJASマークの貼付を認められています。
有機JASの認定の対象はJAS規格が制定されている以下の4種になり、主に食品を対象にしています。
- 有機農産物
- 有機加工食品(有機農産物加工食品を含む)
- 有機飼料
- 有機畜産物
これに該当しないものは、有機JAS規格外なので、有機JASマークの貼付はできません。
今回は、有機農産物の有機JAS規格についてまとめます。
有機農産物とは
種別 | 内容 | 基準 |
米穀 | 玄米・精米 | 収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断したもの及び精麦又は雑穀を混合したものを含む |
麦類 | 大麦・はだか麦・小麦・ライ麦・えん麦 | 収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの及び単に切断したものを含む |
雑穀 | とうもろこし・あわ・ひえ・そば・きび・もろこし・はとむぎ・その他の雑穀 | |
豆類 | 大豆・小豆・いんげん・えんどう・ささげ・そら豆・緑豆・落花生・その他の豆類 | 収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、及び単に切断したものを含み、未成熟のものを除く |
野菜 | 根菜類・葉茎菜類・果菜類・香辛野菜・つまもの類・きのこ類・山菜類・果実的野菜・その他の野菜 | 収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断したもの及び単に冷凍したものを含む |
果実 | かんきつ類・仁果類・核果類・しょう果類・殻果類・熱帯性及び亜熱帯性果実・その他の果実 | 収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断したも の及び単に冷凍したものを含む |
その他の農産食品 | 糖料作物・こんにゃくいも・未加工飲料作物・香辛料原材料・他に分類されない農産食品 | 収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断したも の及び単に冷凍したものを含む |
「農産物」とは、総務省の日本標準商品分類に「農産食品に分類されるものとして、米穀、麦類、雑穀、豆類、野菜、果実、その他の農産物のほか樹木の花(桜の花)、葉(桜の葉、柿の葉、ホウバの葉)、種子(銀杏、山椒)をいい、加工されたものを除く」とあります。
有機JAS規格の生産の原則に「土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させる」とあるため、水耕栽培・ロックウール栽培などについては有機表示はできません。
わさびの例を出すと、れき耕栽培わさびは有機表記不可ですが、畑わさび・自生のわさびは有機表記可能ということになります。
有機農産物のJAS規格について
有機農産物のJAS規格は、主に次の3つの項目で構成されている。
【有機農産物のJAS規格】
- 有機農産物の生産の原則
- 生産の方法についての基準
- 有機農産物の名称の表示
生産にあたっては「有機農産物の日本農林規格(JAS 規格)」に定められた栽培方法により農産物を生産し、この規格に準拠したものに格付して出荷します。
①有機農産物の生産の原則
有機農産物のJAS規格第2条には「有機農産物の生産の原則」が定められており、目的と方法が規定されています。
目的は農業の自然循環機能の維持増進を図ることです。
方法は3つ記載されています。
- 方法1:化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本とすること。
- 方法2:土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させること。
- 方法3:農業生産に由来する環境への負荷を出来る限り低減した栽培管理方法を採用すること
有機農産物の生産の原則の詳細については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください
②生産の方法についての基準
有機農産物の生産方法として定められている項目は、単に作物の栽培方法だけではなく、種から出荷までのすべての段階についての基準が定められています。
具体的には、有機JAS規格第4条で規定されて、項目として以下に分かれています。
- ほ場等の条件
- ほ場に播種又は植付ける種苗
- ほ場等における肥培管理
- ほ場等における有害動植物の防除
- 収穫後の管理(輸送・選別・調製・洗浄・貯蔵・包装その他の工程に係る管理)
生産の方法についての基準の詳細については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。
③有機農産物の名称の表示
有機JAS規格には表示方法が規定されており、これに従った表示にしなければならない。
有機農産物に関しては名称の表示として下記の名称を使用し、トレーサビリティの観点から納品書・伝票・送り状などにも同様NO表示が必要です。
【有機農産物の名称の表示】
- 「有機農産物」
- 「有機栽培農産物」
- 「有機農産物○○」「○○(有機農産物)」
- 「有機栽培農産物○○」・「○○(有機栽培農産物)」
- 「有機栽培○○」・「○○(有機栽培)」
- 「有機○○」・「○○(有機)」
- 「オーガニック○○」・「○○(オーガニック)」
有機農産物の名称の表示の詳細については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。
有機農産物の生産行程の管理の方法
有機農産物の生産行程管理者がJASの認定を受けるには「有機農産物の生産行程管理者の認定の技術的基準」に準拠した生産活動及び生産行程の管理活動を行わないます。
生産行程管理とは、生産者の栽培方法を把握・管理することです。
有機基準に基づいて農産物を生産したことが確認できるような仕組み・実施記録を管理・保管できなければ、有機認定を取得して有機表示をすることはできません。
【生産管理行程】
- 周辺及びほ場の確認
- 種苗・資材の入手
- 肥培管理・播種・植付け
- 有害動植物防除・追肥などの管理・収穫
- 収穫・包装
- 格付検査
- 生産行程管理記録の保存
生産工程の管理方法については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:有機農産物の「生産工程の管理方法」について
有機農産物の認定について
JAS規格による格付検査に合格した製品にJASマークの貼付されることで、有機農産物として認められています。
格付は認定事業者にて実施されますが、認定事業者は登録認定機関により認定を受ける必要があります。
認定の技術的基準は、認定に際して基準に準拠していることが事業者に求められ、技術的基準は次の5つの項目です。
- 生産及び保管施設
- 生産行程の管理又は把握の実施方法
- 生産行程管理担当者(責任者)の資格と人数
- 格付の実施方法
- 格付担当者(責任者)の資格と人数
有機農産物の認定についての詳細については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。
まとめ
有機農産物の有機JAS認定についてまとめました。
有機農業について書籍で勉強をすることができますので、おすすめの本を下記記事にてまとめていますのでご参照ください。