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有機農産物の生産工程の管理方法における「内部規程」について

有機農産物の生産工程の管理方法における「内部規程」について
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有機農産物の生産行程管理者がJASの認定を受けるには「有機農産物の生産行程管理者の認定の技術的基準」に準拠した生産活動及び生産行程の管理活動を行われなければなりません。

適切な生産行程管理者による組織づくりが必要になり、会の規約・運用の手順・組織図・代表者・各業務の責任者を決めるなど実施する必要があります。

特に以下について詳細に定める必要があります。

  • 生産行程管理担当者・責任者
  • 格付担当者・責任者
  • 格付規程
  • 内部規程
  • 関連図面

今回は、有機農産物の生産工程の管理方法における「内部規定」ついてまとめます。

有機農産物の生産工程の管理方法における「内部規程」について

内部規程

内部規程は、有機農産物のJAS規格に準拠した生産活動を実施するために、JAS規格に即した管理を行うために自らが具体的に定めた管理基準のことです。

認定機関や他人から与えられる基準ではなく生産行程管理者が自ら作成する必要があります。

名称は「内部規程」でなくても、「管理基準・管理方針・栽培マニュアル」でも問題ありません。

以下の項目が「具体的かつ体系的に」整備されていなくてはならないと規定されています。

【内部規程の具体的な記載項目】

  1. 種子又は苗等の入手
  2. 肥培管理、病害虫・雑草防除、一般管理、育苗管理
  3. 生産に使用する機械・器具
  4. 収穫・輸送・選別・調製・洗浄・貯蔵・包装その他の収穫以後の作業
  5. 苦情処理に関する事項
  6. 年間計画の作成と認定機関への通知
  7. 認定機関による確認等業務の適切な実施に関し必要な事項

生産行程管理担当者は、各生産者がそれぞれの基準どおりに栽培していることを確認することが求められます。

①種子又は苗等の入手

種子

種苗・資材について、外部から購入する必要がある場合、有機JAS規格に合うか確認しなくてはなりません。

そのため、内部規定をしっかり作り込んでおく必要があります。

種苗について

種苗に関するJAS規格の基準に適合するように規程に入手の方針を定める必要があります。

  • 有機農産物由来の種苗を用いることを原則とする。
  • 有機農産物由来の種苗が入手できない場合は、その理由を明確にした上で非有機の種苗を使用する。
  • 組換えDNA技術を用いて生産されたものは使用しない
  • 種子・苗の入手方法が決まっている場合は、購入先・伝票・ラベル・説明書・パンフレット等の保管
  • 自家採種の場合は方法とその記録の保持。

資材について

外部から購入する資材について、その入手先と、JAS適合であることを明確にする。

有機JAS規格では、原則として自己生産物・自己の周辺地域の生産物で肥培管理し、それでは無理な場合にのみ、外部購入資材の肥料・土壌改良資材の使用が認められています。

病害虫の防除に関して農薬の使用は禁止だが、緊急でやむをえない場合のみ、許可されたものに限って使用が認められています。

一般管理資材についても、禁止物質が土壌にほどこされるものは使用できません。

これら資材に関する方針として次のことを決定する必要があります。

  • 使用資材名・入手先を明確にリストアップし、それが許可資材であることを証明する。
  • やむをえない事情であることを説明できるように資料を整理する。
  • 資材の保管場所で、有機以外で使用する農薬などと明確に隔離して保管する。
  • 有機以外で使用する資材は、選別・調製などの場所に持ち込まない。
  • 資材の入手にあたっては、生産行程管理者として組織自らが適合資材であることの判断をし調達する。
  • 購入する資材のリストの作成する
  • 各資材について、資材の購入先・購入伝票・ラベル・説明書・パンフレット等の保管

②肥培管理、病害虫・雑草防除、一般管理、育苗管理

肥培管理、病害虫・雑草防除、一般管理、育苗管理

肥培管理・病害虫・雑草防除・一般管理・育苗管理の方針について記載する必要があります。

肥培管理に関する方針

有機JAS規格の基準にもとづいて、肥培管理を行う必要があります。

  • 当該ほ場の「残さ」に由来する堆肥の施用を行うこと。
  • 当該ほ場やその周辺に生息・生育する生物の機能を活用した方法によること。
  • やむをえない事情で外部購入資材などを使用する場合は、許可された資材のみが使用可能である。
  • 当該ほ場やその周辺以外から生物を導入することができる。

内部規程には上記に基づいた肥培管理方針」を作成し、外部購入資材がある場合はその使用理由を文書で明確にし、資材名や入手先をリストにする必要があります。

病害虫・雑草防除に関する方針

病害虫・雑草防除については「耕種的防除・物理的防除・生物的防除に限る」ことが有機JAS規格の基準で規定されています。

緊急の場合には、許可された資材のみ使用し、防除することができます。

内部規程には上記に基づいた「病害虫・雑草防除に関する方針」を作成し、外部購入資材がある場合は、 その使用理由や使用目的などを文書で明確にし、資材名や入手先をリストにする必要があります。

一般管理、育苗管理に関する方針

一般管理に該当する管理を行っている場合、また自家育苗を実施している場合には、その栽培方針・栽培管理方法を記載します。

  • 種子消毒の方法
  • 種子の比重選などの方法
  • 肥料、土壌改良資材、農薬以外の物資の使用の有無 ・ マルチの使用の有無
  • 育苗場所の特定
  • 育苗培土の内容、培土がJAS規格を満たしていることの証明の方法
  • 育苗作業の内容

③生産に使用する機械・器具

生産者が有機ほ場と非有機のほ場で機械や器具を併用している場合、それら機械・器具を通じて非有機のものが持ち込まれ、有機性を損なう危険性をもっているため、規程作成が必要である。

規程作成のステップとしては次の通りです。

  1. 有機で使用する機械器具をリストアップする。
  2. 有機専用であるのか非有機との併用であるかどうかを確認する。
  3. 併用である場合は、非有機の土・収穫物などが混合しないような対策を取る、または清掃・洗浄等のルールを決める。
  4. 有機の使用禁止資材を同時に保管等している場合、これらによる汚染を防止するルールを決める。

④収穫・輸送・選別・調製・洗浄・貯蔵・包装その他の収穫以後の作業

収穫

収穫後の輸送・選別・調製・洗浄・貯蔵等の作業は、非有機農産物の混合・取り違え・薬剤の汚染などを受け、有機農産物の有機性を失う危険性の高い工程です。

この工程で、有機性の保持のための方針を作り、記録を残して証明することが重要です。

  • 対象農産物がほ場での収穫から出荷まで、どのような容器で運ばれ、どこで作業されるのかをフローチャート等で明確にする。
  • それぞれの工程で、非有機生産物の混入や取り違えが起きないような管理体制を整える
    ・一次保管の際、ラベル・専用箱などで区分しているか。
    ・コンベヤや選別ラインは専用になっているか、清掃後選別するようにしているか。
    ・時間帯を分けて作業するなどしているか。
    ・緩衝地帯で収穫したものを明確に区別し、有機に混じらないようにしているか。
    ・貯蔵場所で、有機であることが分かるような区分になっているか。
  • 使用禁止資材による汚染がないかどうか工程ごとに分析する。
  • 調製等で使用する資材は許可物質のみを使用する。
  • 放射線照射は行わないことを規定する。

出荷

平成17年のJAS規格改正に伴う認定の技術的基準の改正により、内部規程の必須記載項目に「出荷」の項目はなくなりました。

しかし、保管と出荷の手順はあるほうが望ましく、引き続き内部規程に収録するか、格付規程の「格付後の荷口の出荷又は処分に関する事項」に手順書を盛り込んでおくことが望まれます。

  • 有機農産物の荷口とそれ以外の農産物の荷口が混合しないように、保管・出荷時に、札・ラベルな どで明確に識別する。
    ・ 格付後の保管についても、有機農産物とそれ以外を区別する。
    ・ 識別ができるようなラベルなどで区分する。
  • 輸送時に有機と非有機の取り違えをおこさないような管理をする必要がある。
    ・輸送のトラックには有機しか載せない。
    ・色の違うコンテナを使用して区別する。
  • トラックの洗浄やコンテナの洗浄を実施する場合、洗剤や消毒剤の残留による汚染がおこらないように清掃をする必要がある。

⑤苦情処理に関する事項

苦情

有機JAS 制度においては、有機JAS 規格への適合が疑われるすべての苦情は記録に残しておくことが求められます。

残留農薬の検出・遺伝子組み換えDNAの検出・シール不良などの可能性があり、有機性に関する重要事項であり、精査する必要があります。

  • 苦情の処理担当者を明確にする。
  • 受け付けた苦情はすべて処理担当者に連絡が行くように報告・連絡のルールを決める。
  • 処理担当者は、苦情の原因を究明し、その結果再発防止対策を立て、 相手に報告する。
  • 以上の対応を記録に残し、保存する。
  • 苦情の記録は、認定機関の求めに応じて開示する。

⑥年間計画の作成と認定機関への通知

通知

年間の作付け計画の作成は品目ごとにタイミングが異なると思われるので、その生産行程管理者が栽培する作物の特性に応じて実施します。

通常、一作が終了するごとに、土壌分析などの結果を利用して、施肥計画や防除方法の見直しをします。

年間計画は認定機関に提出する必要があるが、詳しくは認定機関の指示により提出の時期を決定する。

そのため、年間計画を改める際には、認定機関への通知が必要になります。

⑦認定機関による確認等業務の適切な実施に関し必要な事項

検査

認定機関が調査・確認を実施する場合、認定事業者はその内容について対応する必要があります。

  • 毎年の年次計画の提出、変更があった場合等の認定機関への事前連絡
  • 年次調査の受入れ
  • 年次調査において指摘を受けた事項の改善
  •  そのほか認定機関から確認や要請のあった内容

まとめ

有機農業

有機農産物の生産工程の管理方法における「内部規程」についてまとめました。

有機農業について書籍で勉強をすることができますので、おすすめの本を下記記事にてまとめていますのでご参照ください。