アフリカ豚コレラ

豚コレラ・アフリカ豚コレラが発生した際の制限区域の設定について

豚コレラは、平成30年9月9日に26年ぶりとなる豚コレラの発生が確認され、野生のイノシシ・養豚農場の豚での感染が拡大しています。

アフリカ豚コレラは、これまで発生が確認されておりません。

しかし、アフリカでは常在的に、ロシア及びその周辺諸国でも発生が確認されており、いつ日本に侵入するかわかりません。

豚コレラ・アフリカ豚コレラの防疫対策は

  1. 異常豚発生の監視
  2. 異常豚発見時の初動対応
  3. 異常豚発見時の臨場検査
  4. 検体の送付
  5. 農場内の疫学情報の収集
  6. 検査判断前準備
  7. 検査判定(陽性判定)
  8. 陽性判定時の防疫措置
  9. 農場周辺の人の通行制限・通行遮断
  10. 農場周辺の豚等の移動制限・搬出制限
  11. 消毒ポイントの設営
  12. ウイルスの感染状況調査
  13. ワクチンの接種(豚コレラの場合)

の流れで実施されます。

⑩農場の周辺の豚等の移動制限・搬出制限時において、制限区域の設定が行われます。

今回、豚コレラ・アフリカ豚コレラが発生した際の制限区域の設定についてまとめさせていただきます。

豚コレラ・アフリカ豚コレラが発生した際の制限区域の設定について

都道府県・市町村は、豚コレラ・アフリカ豚コレラの発生後、以下のものを対象に移動制限・搬出制限を行います。

  • 生きた豚等
  • 移動制限区域内で採取された精液及び受精卵(病性等判定日から一定期間(豚コレラ:21日、アフリカ豚コレラ:15日)より前に採材され、区分管理されていたものを除く。)
  • 豚等の死体
  • 敷料、飼料、排せつ物等
  • 家畜飼養器具

制限区域の設定前準備

制限区域の設定に先立ち、次の措置を講じます。

  • 制限区域内の豚等の所有者、市町村及び関係機関への通知
  • 報道機関への公表等を通じた広報
  • 主要道路と移動制限区域との境界地点での標示

これらの措置を講じてから、制限区域ごとに設定をします。


制限区域の設定方法

実際に設定された移動制限区域・搬出制限区域

出典: 岐阜県家畜伝染病防疫対策本部 第18回本部員会議資料

制限区域には2種類あり、家畜等の移動を禁止する「移動制限区域」、家畜等の搬出を禁止する搬出制限区域」を設定します。

移動制限区域

都道府県は、豚等が患畜・疑似患畜であると判定する旨の連絡を受けた場合には、原則として、発生農場を中心とした半径3km以内の区域について、家畜等の移動を禁止する「移動制限区域」を設定します。

ただし、判定前であっても豚コレラである可能性が高いと認められる場合には、判定を待たずに移動制限区域を設定できます。

家畜防疫員は、移動制限区域内において、関係者へ以下の指導を行います。

  • 飼養場所への関係者以外の者の出入りを自粛し、関係者も最小限の出入りにし、消毒を徹底する。
  • 飼料運搬時の運搬車の消毒、運搬経路の検討、飼料受渡し場所の制限などの病原体の拡散防止措置を徹底し、運搬経路を記録する。
  • 獣医師が家畜の診療を行う場合、携行する器具・薬品を最小限にし、診療衣・診療器具等を使用する。
  • 診療車両の農場敷地内への乗入れ自粛などの病原体の拡散防止措置を徹底し、診療経路を記録する。
  • 死亡獣畜取扱場・化製場・と畜場における入退場車両の消毒を徹底する。
  • 野生いのししと豚等の接触が想定される地域では、接触防止のための畜舎出入口の囲障を設置する。

搬出制限区域

都道府県は、豚等が患畜・疑似患畜であると判定する旨の連絡を受けた場合には、原則として、発生農場を中心とした半径10km以内の移動制限区域に外接する区域について、家畜等の当該区域からの搬出を禁止する「搬出制限区域」を設定します。

半径3km以上の移動制限区域を設定した場合には、移動制限区域の外縁から7キロメートル以内の区域について、搬出制限区域として設定します。

制限区域の変更

制限区域は、いずれかの要件に該当する場合に、拡大・縮小することができます。

制限区域の拡大

都道府県は、発生状況から移動制限区域外での発生が想定される場合、制限区域を拡大します。

また、通報が遅れたことが明らかで、疫学情報により既に感染が拡大していると考えられる場合などにおいて、周辺の農場数・豚等の飼養密度に応じ、半径3km以上の移動制限区域を設定できます。

制限区域の縮小

発生状況・周辺農場の清浄性確認・疫学調査の結果から、感染拡大が限局的なものと明らかとなったときは、移動制限区域の範囲を半径1kmまで縮小することができます。

また、家畜市場・と畜場で発生した場合、原則として、当該家畜市場又・と畜場を中心とした半径1km以内の区域について、移動制限区域として設定します。


制限区域の解除

制限区域は、区域区分ごとのいずれかの要件に該当する場合に、解除します。

移動制限区域の解除要件

  • 移動制限区域内の全ての発生農場において、防疫措置の完了後17日経過後に実施する清浄性確認検査により、全ての農場で陰性が確認されていること。
  • 移動制限区域内の全ての発生農場において、防疫措置の完了後一定期間(豚コレラ:28日間、アフリカ豚コレラ:22日間)が経過していること。

搬出制限区域の解除要件

  • 清浄性確認検査により、全ての農場で陰性が確認されていること。

移動制限区域内の豚等のと畜場への出荷

次の要件のいずれにも該当する移動制限区域内の農場の豚等について、事業を再開した移動制限区域内のと畜場に出荷させることができます。

  • 農場について、発生状況確認検査により、陰性が確認されていること。
  • 出荷しようとしている豚等・同一の畜舎の豚等について、出荷日から遡って3日以内に採材した検体がPCR検査か蛍光抗体法により、陰性と確認されていること。採材する検体は、出荷する畜舎ごとに5頭いる場合には、1~3頭を選ぶ。

豚等の移動時には、

  • と畜をする当日に移動させる。
  • 移動前に、臨床的に農場の豚等に異状がないか確認する。
  • 積込み前後に車両表面全体を消毒し、荷台は体液等の漏出防止措置を行う。他の豚等の飼養場所を含む関連施設に進入・付近の通行を避け、他の畜産関係車両が利用しない移動ルートを設定する。運搬後は、車両・資材を直ちに消毒する。移動経過を記録する。

搬出制限区域内の豚等のと畜場への出荷

次の要件のいずれにも該当する搬出制限区域内の農場の豚等について、搬出制限区域外のと畜場に出荷させることができます。

  • 出荷前の家畜防疫員による臨床検査で異状がないこと
  • 出荷前後・出荷中の消毒ポイントにおいて、運搬車両を十分に消毒すること

制限区域外の豚等のと畜場への出荷

次の要件に該当する制限区域外の農場の豚等について、事業を再開した移動制限区域内のと畜場に他の農場等を経由しないで出荷させることができます。

  • 出荷前後・出荷中の消毒ポイントにおいて、運搬車両を十分に消毒すること

制限区域内の豚等の死体等の処分のための移動

発生の状況などから、家畜防疫員が豚等に臨床的な異状がないことを確認した場合、制限区域内の農場の豚等の「死体・敷料・飼料・排せつ物等」について、焼却・埋却・化製処理・消毒を目的に移動させることができます。

移動時には、次の措置を講ずる必要があります。

  • 移動前に、家畜防疫員が農場の豚等に異状がないか確認する。
  • 密閉車両・密閉容器を用いる。これらが確保できない場合、運搬物が漏出しないように床・側面をシートで覆い、運搬物を積載した後は上部もシートで覆うなどの措置を講ずる。
  • 積込み前後に、車両表面全体を消毒する。
  • 他の農場の付近の通行を避け、他の畜産関係車両が利用しない移動ルートを設定する。
  • 複数の農場を連続して配送しないようにする。
  • 移動中は、消毒ポイントにおいて、運搬車両を十分に消毒する。
  • 移動時には、禁止・制限の対象外となっていることを証明する書類を携行し、消毒ポイント等で提示する。
  • 運搬後は、車両・資材を直ちに消毒し、移動経過を記録する。

焼却・化製処理をする場合には、次の措置を講ずる必要があります。

  • 運搬車両から死体等投入場所まで、シートを敷く。
  • 死体等置場を製品置場と隔てて設置するなどの措置を講ずる。
  • 焼却・化製処理の完了後直ちに、焼却施設等の出入口から原料投入場所までの経路を消毒する。

制限区域外の豚等の死体の処分のための移動

次の要件に該当する制限区域外の農場の豚等の死体について、焼却・化製処理をすることを目的に、移動制限区域内の焼却施設などに移動させることができます。

  • 移動制限区域内の農場には、立ち寄らないようにする
  • 移動前後・移動中に消毒ポイントにおいて、運搬車両を十分に消毒する

移動制限区域外の家畜等の通過

移動制限区域外の農場の家畜等について、移動制限区域内・搬出制限区域内を通過しなければ移動させることができない場合には、移動制限区域内・搬出制限区域内を通過させることができます。

  • 移動前後・移動中に消毒ポイントにおいて、運搬車両を十分に消毒する。

ただし、搬出制限区域内の農場の豚等の制限区域外への移動に当たっては、と畜場以外の目的地に移動させることはできません。

家畜集合施設の開催等の制限

都道府県は、移動制限区域内における次の事業の実施・催物の開催等を停止します。

  • と畜場におけると畜
  • 家畜市場等の豚等を集合させる催物
  • 放牧

搬出制限区域内においては「家畜市場等の豚等を集合させる催物」の開催を停止します。

と畜場の再開

移動制限区域内のと畜場について、次の要件のいずれにも該当する場合には、事業を再開させることができます。と畜場で本病が発生した場合には、これらの要件に加え、場内の消毒が完了している必要があります。

  • 車両消毒設備が整備されていること。
  • 生体受入施設は、施設の他の場所と明確に区別されていること。
  • 定期的に清掃・消毒をしていること。
  • 衛生管理マニュアルが適切に定められており、実際に従業員がマニュアルに従っていること。
  • 再開後に遵守するべきことの体制が整備されていること。

再開後には、移動制限が解除されるまでは次の事項を遵守するよう徹底する。

  • 作業従事者がと畜施設に立ち入る場合には、専用の作業服、靴、帽子、手袋等を使用すること。
  • 車両の出入り時の消毒を徹底すること。
  • 豚等の搬入は農場ごとに行い、運搬車両は複数の農場に立ち寄らないこと。
  • 移動制限区域内の農場から豚等を搬入する場合には、搬入時にと畜場内に他の農場から搬入する車両が存在しないよう調整し、搬入する前後に生体受入場所を消毒すること。
  • 移動制限区域内の農場から豚等を搬入する場合には、その日の最後に搬入し、搬入したその日のうちにと殺解体をすること。
  • 搬入した豚等について、と畜場法に基づき、と殺解体をすることが不適当と判断された場合には、農場には戻さず、速やかに処分すること。
  • 搬入した豚等は、農場ごとに区分管理すること。
  • 豚等・製品の搬出入に関する記録を作成し、保存すること。

まとめ

簡単ではありますが、豚コレラ・アフリカ豚コレラの発生後、どのように移動制限・搬出制限が行われるかまとめさせていただきました。

全体の防疫措置についてはこちらでまとめましたので、ご一読いただければ幸いです。

豚コレラ・アフリカ豚コレラが発生した場合の防疫対策について豚コレラは、平成30年9月9日に26年ぶりとなる豚コレラの発生が確認され、野生のイノシシ・養豚農場の豚での感染が拡大しています。 ...

参考文献等

  • 「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」
  • 「アフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」