軟弱地盤対策工法として、
- 表層処理工法
- 緩速載荷工法
- 抑え盛土工法
- 置換工法
- 軽量盛土工法
- 載荷重工法
- 振動締固め工法
- サンドコンパクションパイル工法
- バーチカルドレーン工法
- 固結工法
- 排水工法
が挙げられます。
軟弱地盤対策工法において、「抑え盛土工法」の方法・特徴についてまとめます。
抑え盛土工法の方法・特徴について
抑え盛土工法(押え盛土工法)は、盛土荷重により基礎地盤のすべり破壊の危険がある場合に、本体盛土に先行して側方に押え盛土を施工して、すべりに対する安全性を確保する工法です。
すべりに抵抗するモーメントを増加させて、すべり抵抗の付与・せん断変形の抑制が発現されます。
この方法は事前対策として施工される場合もありますが、実際にすべり破壊を生じた河川堤防などの応急対策・復旧対策として用いられることが多いです。
【抑え盛土工法が用いられる理由】
- 材料を速やかに調達できること
- 地すべりの滑動状況に応じて速やかに地すべりに対する抵抗力を付加できること
- 直接的かつ速やかに効果を発現できること
ただし押え盛土と基礎地盤との関係によってはすべり抑止機能が得られず、大きなすべり破壊を誘発させる可能性があります。
地下水位などの現場状況に合わせて、盛土形状・盛土材料を検討しましょう。
抑え盛土工法の施工方法
抑え盛土工法において、押え盛土全体で押されるというよりは、押え盛土内部に地すべりのすべり面末端から繋がる新たなすべり面が形成されることが重要です。
新たなすべり面が形成されるためには、以下の条件での施工が必要になります。
【抑え盛土工法の施工条件】
- 移動土塊量に対した有効押え盛土量は約13%
- 地すべり末端部の幅およそ75%以上
- 押え盛土天端幅は約5m
- 押え盛土有効高さは、最大層厚の約6分の1
段階的に施工される押え盛土量と安全率変化の関係は、すべり面形状や押え盛土形状等に左右され、盛土量に比例して安全率が上昇するとは限らないことに留意が必要です。
抑え盛土工法の注意点
抑え盛土工法は、法面の崩壊・湧水(盛土内・地すべり土塊内の地下水位上昇)・盛土材の流出などによって盛土全体の崩壊へつながる可能性があり、良質土で施工するなどの対策が必要です。
地すべり対して緊急で応急処置の押え盛土を作る場合は現場土を利用するしかありませんので、木々などの異物を取り除くなどできる限り良質な土で施工するように努めます。
斜面下部や側方に用地面積が十分にないと盛土の厚みや幅を確保できず、工法の効果が限定的になる点には注意が必要です。
地すべりの移動速度が大きい場合には、地すべり滑動が低下・停止するまでの間に時間差があるので、土留め柵などで押え盛土を法留しましょう。
まとめ
軟弱地盤対策工法における「抑え盛土工法」の方法・特徴についてまとめました。
押え盛土工法は、地すべり・軟弱地盤の応急処置・予防策として多用される工法で、用地条件が許す限り迅速に施工して抵抗力を付加できるメリットがあります。
他の軟弱地盤工法については、下記記事でまとめていますのでご参照ください。
参考ページ:軟弱地盤対策工法の施工方法について
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