食材の栄養素は料理の仕方次第で大きく変化します。
栄養を大きく損なう調理をしてしまうと、食材の栄養素を活かすことができません。
逆にちょっとした工夫・要点を知るだけで、効率的に栄養を活かすことができます。
今回は、「しいたけ」の栄養・効能を活かす効果的な料理法をまとめます。
目次
しいたけの主な栄養・効能
【しいたけの注目成分】
- ビタミンD:0.4µg(乾燥は12.7µg)
- 葉酸:44μg
- カリウム:280g
- 食物繊維総量:4.2g
【生しいたけ 可食部100gあたり成分 七訂日本食品標準成分表より】
しいたけは、腸管のカルシウムの吸収促進を促して骨の成長・再生などが期待できる「ビタミンD」が豊富です。
ビタミンDは骨の成長や再生だけでなく、細胞増殖・分化調節作用・免疫調節作用・骨格筋機能・血圧調節作用・心血管系疾患に関係しています(甲状腺・骨代謝疾患診療マニュアル。p7-11)。
しいたけは、旨味の三大成分であるグルタミン酸を多く含みます(グルタミン酸は昆布、イノシン酸はカツオ)。
菌床栽培より原木栽培のほうが、香り・味が優れ食物繊維が多い傾向です。
栄養素以外にも注目すべき成分として、「エリタデニン」「レンチナン(β-グルカン)」が挙げられます。
エリタデニン
エリタデニンは、しいたけにのみ豊富に含まれるアルカノイドの1種です。
エリタデニンには、悪玉コレステロール値を下げる効果・血圧低下効果があるため、生活習慣病の予防が期待できます。
しいたけの部位の中では、柄の部分よりもかさの裏に多くのエリタデニンが存在し、干しシイタケと生シイタケでは含有量に差は無いことが分かっています(斉藤衛郎; 安元健; 金田尚志 (1975). “シイタケおよびその他食用キノコ類のエリタデニン含量”. 栄養と食糧 (日本栄養・食糧学会) 28 (9): 503-505.)。
レンチナン(β-グルカン)
レンチナンは、しいたけ特有の香り成分であるβグルカン(高分子多糖体)です。
免疫力を高め、がん細胞の増殖を防ぐ効果があります。
血液内の血小板凝集を抑える作用があり、血液がサラサラになり血栓症予防に効果があるので、抗悪性腫瘍剤として利用されています。
また、免疫力を高めてウイルス性の病気抵抗力を高め、抗ガン剤として製造・販売されることもあります。
しいたけの栄養・効能を効果的に活かす料理法
しいたけの栄養・効能を活かすため、以下の効果的な料理方法をおすすめします。
あくまでも、栄養を活かすためであって、美味しさを追求する場合の料理方法とは異なることをご承知ください。
【しいたけの栄養・効能を活かす効果的な料理法】
- 天日干しをした乾燥しいたけを食べる
- 水で洗いすぎない
- 加熱は短時間にする
- カルシウムを豊富に含む食材と合わせる
①天日干しをした乾燥しいたけを食べる
しいたけは、紫外線に当てることでビタミンDに変化する成分「エルゴステロール」が豊富です(「紫外線照射による各種キノコ中のビタミン D2含量に関する研究」桐渕壽子,日本家政学会誌,Vol. 41,No. 5,p.401-406(1990))。
通常のしいたけよりも天日干しした乾燥しいたけの方がビタミンDが多くなります。
特に、傘の内側のヒダの部分を上にして1~2時間日光に当てることが効果的です。
そのため天日干しした乾燥シイタケを食べることをおすすめします。
②水で洗いすぎない
しいたけには、エリタデニンや水溶性の栄養が多いので、水で洗いすぎると栄養が損失します。
しいたけの洗い方は、水洗いではなく、濡れた布巾・キッチンペーパーなどで軽く拭くだけがおすすめです。
干しシイタケ・生シイタケのどちらも同様の洗い方をします。
保存する際なども、キッチンペーパーで包んでから保存袋に入れてから野菜室に入れましょう。
③加熱は短時間にする
エリタデニンは比較的熱に安定であり、加熱をしても含有量に影響がありません【Enman, J; Rova, U; Berglund, KA (2007.2). “Quantification of the bioactive compound eritadenine in selected strains of shiitake mushroom (Lentinus edodes)”. Journal of Agricultural and Food Chemistry (American Chemical Society) 55 (4): 1177-1180.】。。
そのため短時間なら、しいたけは加熱して食べても栄養的に問題はありません。
④カルシウムを豊富に含む食材と合わせる
しいたけに含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収を促進させてくれます。
カルシウムは吸収率が悪いので、しいたけを食べるタイミングでカルシウムを多く含む食材も食べましょう。
カルシウムを多く含む食材としては、煮干し・塩豆・チーズなどが挙げられます。
まとめ
しいたけの栄養・効能を活かす効果的な料理法についてまとめました。
栄養を生かす調理の方法に併せて、品質の良い食材を手に入れることも重要です。
残念なことに品質の良い食材を買ってみようと思っても、近所のスーパーの品揃えがない・価格高いなどの問題にあたってしまいます。
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農家による経験・知恵によるところもありますが、栄養をしっかり摂るためには正しい情報・データも必要なため、書籍・論文などの文献で勉強しました。
栄養について勉強をした際に使用した書籍をまとめましたので、興味がありましたらご参照ください。