コロナの外出自粛の影響から、ビオトープ・熱帯魚水槽などアクアリウムが1つのブームになり、庭でビオトープを楽しむ方が増えました。
時期になるとホームセンターでビオトープの専用コーナーが設けられるほどです。
しかし、生育形の違い・耐寒性など水草の特性が分からない種類も多くあります。
ビオトープで使われる水草の生態を把握するため、今回は「イトタヌキモ」の育て方・増やし方についてまとめます。
イトタヌキモ(ミカワタヌキモ)とは
イトタヌキモ(ミカワタヌキモ)は、二又状の極小の葉・少数の捕虫嚢を細い茎につける食虫植物で、1年草または多年草の浮遊性植物です。
学名はUtricularia exoleta R. Br.で、タヌキモ科タヌキモ属に分類されます。
本州以南に自生しており、環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)の指定種です。
タヌキモ類の種類・特徴
学名(C:Cyperus) | 和名・通名 | 特徴 |
Utricularia vulgaris L. var. japonica (Makino) Tamura | タヌキモ | ・イヌタヌキモ(母)とオオタヌキモ(父)のF1雑種 |
Utricularia macrorhiza Leconte | オオタヌキモ | ・大型のタヌキモ ・捕虫嚢の数が異常に多い ・殖芽が球形 ・北海道、北東北で自生 |
Utricularia exoleta R. Br | イトタヌキモ | ・小型のタヌキモ ・マット状に広がる ・花が小柄(全幅3mm) ・アジア、日本原産 |
Utricularia gibba L. | オオバナイトタヌキモ | ・小型のタヌキモ ・マット状に広がる ・花が大柄(全幅12mm) ・外来種 |
Utricularia minor L. | ヒメタヌキモ | ・小型のタヌキモ ・茎先端は巻散状 ・水底に固着するも、浮遊する ・アジア、日本原産 |
Utricularia australis R.Br | イヌタヌキモ | ・葉が基部から2分岐 ・捕虫嚢は細かく付く ・平面上に葉を展開 ・殖芽が楕円形 ・アジア、日本原産 |
Utricularia aurea Lour | ノタヌキモ | ・葉が基部から3分岐 ・捕虫嚢は葉の根のみ ・立体上に葉を展開 ・一年草で殖芽形成せず ・アジア、日本原産 |
Utricularia intermedia Heyne | コタヌキモ | ・葉の先が丸くなる ・水底に固着する ・捕虫嚢は泥中の茎のみ ・アジア、日本原産 |
Utricularia dimorphanta Makino | フサタヌキモ | ・捕虫嚢は小さく、数が異常に少ない ・開放花と閉鎖花を持つ ・日本固有種 |
Utricularia ochroleuca R.Hartm. | ヤチコタヌキモ | ・水底に固着する ・先が尖った葉を展開 ・ヒメタヌキモとコタヌキモの雑種起源 |
Utricularia inflata Walter | エフクレタヌキモ | ・水底に固着する ・立体上に葉を展開 ・北アメリカ原産の外来種 |
水中で浮葉性がある「タヌキモ類」、地上部が発達した「ミミカキグサ類」と大別されることもあります。
そのため、Utriculariaでもタヌキモ類の種類・特徴をまとめてみました。
イトタヌキモとオオバナイトタヌキモの差は、花の大きさでしかないので非常に混同しやすいです。
イトタヌキモ(ミカワタヌキモ)の育て方
浮遊性植物ですが、泥中に地中茎を伸ばし固定状態になることができます。
冬になっても殖芽(冬芽)を作らず、浮遊状態だと常緑で越冬可能です。
8~9月に唇形の淡黄色の花を付けます。
固定状態になると、浮遊状態よりも花茎が上がりやすいですが、多年草から一年草になりやすく越冬不可です。
浮遊状態でもマット状になるほど密集することで、花茎が上がることもあります。
酸性貧栄養地を好むので、少しコストはかかりますが調整剤を用いて簡単にブラックウォーターは作れるのでおすすめです。
光合成のみ飼育可能ですので、栄養不足を心配してミジンコを培養して与える必要はありません。
イトタヌキモ(ミカワタヌキモ)の増やし方
茎がどんどん伸びていくので、株分けをして増やすことができます。
地中茎を伸ばし固定状態にすると一年草になりやすいので、増やしたい個体については浮遊状態を維持しましょう。
まとめ
イトタヌキモ(ミカワタヌキモ)の育て方・増やし方についてまとめました。
ビオトープではたくさんの水草が使用されています。
実際にビオトープを作成した私がおすすめする水草をまとめていますので、下記から詳細をご参照ください。