茶の栽培方法

茶の幼木期の管理について

茶の幼木期の管理

幼木期は、早期成園化を図りながら、長期的に良質・多収が持続できる成園づくりを目指します必要があります。

4年目からの成木園並みの収穫量に達しますが、生理生態上には成木になるには7年と言われています。管理の仕方では、2~3年の早期成園化が図れます。

茶樹は栄養繁殖の場合が多いため、幼木期は虚弱とされており、幼木園から成木園になるまでは、幼木期の管理を正しく行わなければなりません。

幼木期で必要な管理

  • 施肥管理
  • 有機物マルチによる対策
  • 防風垣・防風ネットによる防風対策
  • 灌水対策
  • せん枝による仕立て
  • 耕起による土壌管理

施肥管理

幼木は根の分布が浅く根量が少ないので、施肥効率を高めようとして株元近くに多く施肥すると、根が濃度障害を受けやすいです。

また、施肥後多量の降雨があると施肥成分が溶脱し肥料切れを起こしやすい。

これらによって、施肥効率も低くなるので、施肥量、施肥時期に注意する必要がある。

定植前の施肥

定植の1~2ヵ月前に10a当たり窒素10kg、リン酸14kg、カリ7kg程度を有機質肥料や堆肥などを用いて植え溝に施用し、土とよく混和します。

有機肥料には、油粕が多く用いられ、代表的なものとして菜種油粕が挙げられます。

菜種油粕は、発芽障害や活着阻害を起こす物質が含まれるため、少なくとも施用後2~3週間おいて耕起し定植します。


定植年の施肥

定植直後の幼木は、定植によって植え傷みが起きており、その回復を促進するような施肥管理が必要です。

植え傷みにより同化作用が60日ほど衰えます。

定植後1~2ヵ月後に幼木が活着することで、根・茎の順番でデンプン蓄積が始まり、その後に葉のデンプン蓄積が始まります。

この中でも定植後1~2ヵ月後に幼木が活着する時期が、養分の補給が重要になります。

定植後1~2ヵ月後に、2~3回に分けて夏肥を施します。

定植当年の施肥量は成園の40%程度が一般的です。

幼木では根・茎の肥大が行われるので、成木よりリン酸・カリの施肥が重要になります。

しかし、根の吸肥力が弱いため、分肥する必要があります。

第1回目の春肥は窒素2kg、リン酸1kg、カリ1kg程度を施用し、その後1ヵ月毎に同量を2回施用します。

秋肥では、窒素4kg、リン酸3kg、カリ4kg程度を施用します。

施肥位置は、株元から20cm程度離れた敷き草の外側とし、施肥後は浅く耕し肥料を土壌とよく混合させます。

ポット苗を用いることで地床苗に比べて定植時の植え痛みを軽減することができ、施肥量も軽減することができます。

定植2年目以降の施肥

定植2年目以降の施肥量は、成木の施肥量を目安にして、「2年目50%、3年目70%、4年目90%」と徐々に増量していきます。

2年目以降は根の生育も活発となり、2年目は株元を中心に施用し、3~4年目は畝間全体に根が分布することから畝間全面に施肥し、土壌と良く混和させます。

施肥時期は成木と同じですが、最終施肥時期が遅れないように注意します。

特に裂傷型凍害の発生しやすい土地では9月上旬の早い時期に施肥を終了します。

施肥回数は年4~5回に分施するが、施肥量が多い場合や雨の多い山間地では、施肥回数多くすることで、濃度障害をなくして施肥効率を高めます。


有機物マルチによる対策

幼木期は畝間が広く、株元付近に根が多く分布しているため、干ばつや寒害の影響を受けやすいです。

そのため、土壌水分の蒸散防止・地温の調節・エロージョン防止のため、幼木保全する必要があります。

ポリエチレンなどでマルチングすることもありますが、夏の地温の上昇・水分調節の不均一・施肥作業の障害などが生じるため、利用される例は少ない。


敷き草によるマルチ

古くから土壌管理方法として使われています。

傾斜地が多い茶園では降雨により土壌侵食を起こしやすく、肥料が流亡しやすいです。

株元付近・畝間にも敷き草をすることで、土壌表面への雨滴の衝撃作用の低減・土壌透水性の増大・表面流去水の減勢などにより、土砂流亡を防止する効果も期待できます。

また、雑草の抑制効果・有機物の補給などの効果があります。

しかし、透水不良な土壌条件の茶園に多量の敷き草をすると、敷き草が保持する水分と土壌表面からの蒸散が妨げられます。

土壌が酸素不足となり、根が浅くなり、過湿障害を受けやすくなります。そのため、敷き草量を少なめにするなど土壌条件によって加減する必要があります。

敷き草を行った場合は土壌の酸性化が加速するため、秋の深耕の際に苦土石灰100~200kgをすきこむなどの対策が必要になります。

枝条チップによるマルチ

枝条チップは、敷き草類と同様、雑草の抑制、土壌理化学性の改善などに効果があります。

山林樹木の枝条・チャノキの剪定枝などをチップ化したものをマルチとして利用します。

枝条チップによるマルチは、畦間の雑草対策に有効です。

畝間に施用し、夏から冬にかけてマルチとして利用すると、土壌硬度が低くなり、表層土壌の圧密化が抑制されます。

直径10cm以上の大きな樹木をチップ化したものを畝間に施用した場合、C/N 比が高くなるので窒素飢餓への影響があります。

直径の小さいものやある程度分解が進んだものを施用する必要がある。

広葉雑草によるマルチ

草丈の短い広葉雑草などを畝間に繁茂させて、表土の流亡を防止・緑肥・天敵類の生息地としての役割で管理できる。

成木園では畝間が狭くても、幼木園では畝間が広いので利用できます。

幼木茶樹を雑草が覆うと生育が抑制されるから、茶樹を被陰しない草種の選択を行う必要があります。

牧草(ソルゴー)や麦を間作する場合もあります。

土壌水分を奪ったり、病気・病害虫の誘因にもつながるので、注意して使用する必要があります。

防風垣・防風ネットによる防風対策

定植 1・2年目の幼木期は、強風によって、落葉・枝枯れ・葉枯れなどにより樹勢が弱まるだけではなく、株元の根の損傷・倒伏する危険性があります。

そのため、風当たりの強い場所では、防風垣・防風ネットなどの防風対策を施す必要があります。

防風垣を用いる場合は風向に直角に設置し通風率30~40%防風ネットを用いる場合は通風率40~60%のものを設置すると効果が高くなります。

また、畝間に間作物の栽培、わらたてなども効果的とされています。


灌水対策

定植後、新根が発生して活着するまでに約1~2カ月必要で、活着後も根が浅く土壌の表層は干ばつ害を受けやすいため、この間に土壌水分が不足すると生育不良株や枯死株が多く出ます。

夏の高温・少雨時は灌水は必要であり、土壌水分張力pF2.3(深さ15cm)を目安に灌水を行う必要があります。

灌水方法には、スプリンクラーを用いることが多いですが、水量の確保が困難な場所や傾斜地ではチューブ灌水が用いられます。

せん枝による仕立て

幼木の仕立ては、せん枝により主幹の徒長を抑え、分枝数を多くし、側枝の生育を促します。

幼木期は枝条構成を形成する期間であり、適切な仕立てにより、バランスのとれた枝条構成を確保でき、早期に均整な摘採面の拡大を図り、生産性を高めるのが目的です。

仕立て位置

  • 1年目(定植時)
    地上から15cmで水平にせん枝
  • 2年目(定植一年後)
    地上から20cmで水平にせん枝
  • 3年目(定植一年後)
    地上から25~30cmで水平にせん枝
  • 4年目
    3年目のせん枝位置より約10cm程度高い位置(30~35cm)で水平にせん枝
  • 5年目
    4年目のせん枝位置より約10cm程度高い位置(40~45cm)で弧状にせん枝
  • 6年目以降
    前年のせん枝位置より5~6cm程度高い位置でせん枝

株張りを図るため、3~4年までは水平仕立てにし、側部が十分開帳してから弧状仕立てにします。


耕起による土壌管理

幼木期初期の1~2年間は株張りが小さいため、初期生育を確保して生産力を高めなければなりません。

根は植え付け後2年ほどで、30~40cm程度伸びます。

定植後に大型機械等を導入する場合、特に畝間が踏圧されやすい状態となり、土壌が不良な状態になります。

そのため、茶樹の根を十分に生育させ養水分を円滑に供給できるように、土壌を膨軟にして空気が入りやすい状態を保つことが重要です。

幼木根が伸びる前に畝間を深耕し、有機質資材等を畝間に施用し、土と混和させます。

耕起とともに、施肥管理やpHに配慮します。

ただし、耕起は干ばつの時を避けます。

まとめ

幼木期の早期成園化を図りながら、長期的に良質・多収が持続できる方法について、「茶の幼木期の管理」でまとめました。

茶樹全体の仕立て方法などについては下記でまとめました。

https://nougyoudoboku.com/tea-tailoring/ ‎

また、日本茶について勉強した際に読んだ本を紹介させていただきます。勉強の一助になればと思います。

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参考文献