茶の栽培方法

茶樹への施肥管理について

茶樹への施肥管理について

永年性作物で年間2~4回新芽を収穫する茶樹は、摘採により奪われた養分を樹体に戻すために、施肥が重要になります。

茶栽培において用いられる主な肥料は、以下の通りです。

  • 窒素
  • リン酸
  • カリ
  • 石灰
  • 苦土(マグネシウム)
  • 硫黄

窒素・リン酸・カリは、特に消耗や流出が激しいため、必要に応じて肥料補給する必要があります。

施肥方法

茶樹の養分吸収は、時期・肥料の種類・樹齢・気象条件・土壌の種類によって異なることから、茶樹の養分吸収特性・茶園土壌の特性を十分把握した上で施肥を行う必要があります。

施肥は、茶樹の生育に応じて以下のように施用します。

  • 秋肥(8月下旬~9月中旬)
  • 春肥(2月上旬~2月下旬)
  • 芽出し肥(3月下旬)
  • 夏肥(一番茶後、二番茶後

細根の分布の多い畝間に施肥する必要があります。

毎回の施肥後は、直ちに肥料と土壌を混和するため、根をあまり痛めないように深さ10cm程度まで耕耘します。

茶株の直下に施肥することもあるが、細根の分布が少ないため、多くの肥料が流亡するので好ましくないです。

pHは4.0~5.0が一番生育が良く、それ以上でもそれ以下でも生育に障害を生じます。

肥料の分解速度は地温に影響され、地温20~30℃で速やかに分解します。


施肥量

茶樹は肥料要求性が高く、特に窒素肥料を多く施用するほど旨みが増えます。

茶葉の要素含量は、窒素は3.5~5.8%と最も高含量で、次いでカリ、硫黄、リン酸となっている。

しかし、養分吸収には限度があるため、過剰な施肥が根に濃度障害を与え、吸収利用率を大きく低下させます。

また、過度な施肥が周辺環境に、土壌汚染・水質汚染などの大きな影響を与えていました。

そこで、収量・品質を保ちながら、肥料を減らす努力が日本のみならず諸外国でも行われています。

日本では、各都府県で施肥基準が定められており、それに準じて施肥を行うことが1つの目安にはなります。

茶生葉の成分量と肥料吸収率から施肥成分量を計算し、肥料成分が算出されています。

窒素

茶樹が1番施肥を必要としますが、1度に大量に施肥すると、根・葉の生理作用を阻害し障害をおこします。溶脱する量も多くなります。

施用量は窒素成分10a当たり年間50~60kgとされ、1回の上限を10kg以下します。

それ以上を施用する場合は分施する必要があり、施肥間隔は20日以上必要です。

施肥のタイミングは、摘採後に窒素吸収は活発に行われるので、夏肥は摘採後になるべく早く行います。

施肥回数は、秋肥・春肥・夏肥2回の4回が基本で、芽出し肥を加えたり、秋肥・春肥の分施回数を増やすことにより、年6~8回の施肥が行われます。

窒素吸収は、4~11月にかけて行われ、4~9月に葉・茎など地上部の生育に利用され、9~11月は根の生育に利用される割合が多くなります。

ここ最近は、環境保全面から年間35~40kg/10aに抑えようとしています。

カリウム

カリウムは窒素に次いで茶樹に多く含まれ、茶葉中の含量は2~3%で、耐寒性に関係します。また、炭水化物代謝などに働きます。

窒素ほど溶脱はせず土壌に保持されるので秋肥・春肥の2回施用のみで十分になります。酸性土壌では溶脱量も多く、草木灰・硫酸カリを施用する必要があります。敷き草にもカリを補給する効果があります。

カリは窒素の吸収と似ており4~11月にかけて吸収され、4~8月は葉に、9月は幹、10~11月は根に多く利用されます。

リン

リン酸は、細胞分裂を促し、根の伸長の促進にも作用します。

リン酸は土壌に固定されやすく、秋肥・春肥の2回施用のみで十分になります。

リン酸は4~6月と9月に集中して吸収され、4~9月は葉に、9月は幹、10~11月は根に利用されます。

黒ボクのような酸性腐植質土壌はリン酸吸収係数が高いので、これを補う必要があります。

マグネシウム

欠乏すると葉緑素が減少して緑色を失い、葉脈間が黄化します。

カリウムとの拮抗作用があり、カリ含量が高い茶園では欠乏する場合があります。酸性土壌では溶脱量も多いです。

マグネシウムが不足している場合、拮抗作用のあるカリが少ない場合は硫酸カリ苦土を施用し、カリ含量が多い場合は硫酸苦土を施用します。

硫黄

茶樹は硫黄の吸収が多く、香気成分としても重要です。

硫黄が欠乏すると、葉全体が黄化する窒素欠乏のような症状になります。

茶園で多用される硫安で硫黄は供給されるため、通常欠乏することはないです。

カルシウム、マグネシウムが不足しているが土壌pHを矯正する必要がない場合は、硫酸苦土を施用します。

微量要素

微量要素は、敷き草に含まれるため、微量要素欠乏による茶樹への障害は少ないです。

しかし、微量要素の不足により正常な生育が確保されない場合には微量要素肥料を用います。

主な肥料の種類と特性

肥料を有機質肥料と無機質肥料に分類すると、茶の場合は他の作物に比べて有機質肥料の施用割合が大きいです。

有機質肥料の方が品質向上すると経験的に分かっているからです。

また、茶園は腐食が極めて少ない土壌が多く、塩基置換容量が低く、化学肥料を1度に多量施用すると根腐れが起こります。

このような土壌では、有機肥料の施用が効果的です。

茶園に多く使用されている有機質肥料は、菜種油粕・大豆油粕などの油粕です。

施用に当たっては各肥料の特性を活かし、特に夏肥には速効性のものを多く施用します。

菜種油粕

菜種の種子から油を抽出した残り粕で、搾油法により異なりますが、公定規格にて窒素4.5%以上、リン酸2%以上、カリ1%以上含まれています。

油粕の中でも菜種油粕は最も遅効性肥料です。

その分解速度は粒度・温度によって変化し、粒の細かいほど、温度の高いほど分解は速くなる。

また、油脂含量は搾油法による差があり、圧搾しただけのものは油脂分が多く、土壌中での分解が遅く、肥効の発現は遅れます。

カリの含量は少ないので、カリ分が不足している場合は他の肥料との併用が必要です。

土壌に施用した菜種油粕から生成される有機酸などの分解物は、作物の生育に好影響を与えます。

しかし、急激に分解すると、亜硝酸ガスなどの有毒ガスも同時に発生して、作物の生育を阻害することがあります。

大豆油粕

大豆から油を抽出した残り粕で、公定規格にて窒素6 %以上、リン酸1 %以上、カリ1 %以上含まれています。

油粕類の中で窒素がアンモニア態窒素に変化する反応が最速です。

施肥後1~2週間で多量のアンモニア態窒素が発現します。だし、強酸性土壌では分解が遅れます。

ぼかし肥

茶園でよく使われるぼかし肥は、以下のものがあります。

  • 有機質肥料に山土や堆肥を加えてから発酵させた伝統的なぼかし肥
  • 油粕、魚粕、骨粉などの有機質肥料を混ぜ合わせ、水分を加えて発酵させたもの

市販されているぼかし肥の多くは、後者のタイプです。

有機質肥料を直接土壌へ多用すると、施用初期の急速な分解に伴う有害ガスの発生によって、発芽や定植直後の生育が阻害されます。

そのため、複数の有機質肥料を混ぜ合わせ、50~55℃以下になるように切り返ししながら1~2ヵ月間にわたって微生物による分解発酵させ、施用後の急速な分解や養分放出を「ぼかす」ことを行います。

化成肥料

化成肥料には、硫安・尿素・硝安・リン安・石灰窒素系などの窒素形態のものが用いられます。

また、過リン酸石灰・よう成リン肥・焼成リン肥のリン酸肥料やカリ塩も用いられます。

しかし、有機肥料に比べて圧倒的に施肥量が低いです。


まとめ

茶樹への施肥管理についてまとめました。

幼木への施肥方法については下記で別でまとめました。

茶の幼木期の管理について幼木期は、早期成園化を図りながら、長期的に良質・多収が持続できる成園づくりを目指す必要があります。幼木期の管理として、「防風垣、防風ネットによる防風対策、灌水対策、せん枝による仕立て、耕起による土壌管理、有機物マルチによる対策、施肥管理」などがあります。...

また、日本茶について勉強した際に読んだ本を紹介させていただきます。勉強の一助になればと思います。

日本茶の資格・検定の勉強が手軽にできるおすすめ本3選+α 日本茶の資格として、「日本茶検定」・「日本茶アドバイザー・日本茶インストラクター・日本茶マスター」・「日本茶スペシャリスト」・「...

参考文献