水田の高い土地生産性・労働生産性の確保のために、以下の土壌条件が必要に満たされているのが大事です。
- 作土厚
- 透水性
- 地耐力
- 均平度
ほ場整備をする際にはこれらの条件を精査し、客土・深耕・整地など適切な対応を実施します。
上記4つの条件についてまとめます。
作土厚

作土とは膨軟な表層土のことであり、水稲の根が主に伸長し、養分や水を吸収する場です。
一般的に水田の作土厚は15~20cmが土壌改良の基本的な目標値とされています。
コシヒカリ、日本晴、その他の品種において、作土が深いほど収量が高くなっています(引用:ヤンマーほ場別土づくり読本)。
くわでは10~12cm、ロータリでは12~15cm、ディスクプラウでは20~25cm、ボトムプラウでは15~30cmの厚さを耕転することができます。
作土が薄い場合、客土・深耕をすることで必要な作土厚を確保しなければなりません。
透水性

水田における透水性は、水稲栽培において用水管理や土壌環境の維持に関わります。
透水性が高すぎれば過剰に水が失われ、低すぎれば排水不良や還元障害を引き起こすため、適切な浸透特性を理解し管理が必要です。
適正な水稲の育成のため、浸透量20mm/d・透水係数2×10-5cm/s程度になります。
土壌の種類・耕盤層の性質・地下水位などの条件に応じて浸透特性は大きく変動するため、各圃場の条件に適した水管理技術を選択することが重要です。
例えば、地下水位が高い場合は動水勾配が小さくなり浸透量が減少し、逆に地下水位が低い場合は浸透量が増加する傾向にあります。
地耐力

地耐力は、土壌が作業機械の荷重に耐え得る能力を指し、大型農業機械の走行性に直接影響する重要な特性です。
作土が硬すぎる場合根の伸長が阻害され、柔らかすぎる場合は機械の走行性が低下します。
硬さの測定には山中式硬度計やコーンペネトロメーターが用いられます。
山中式硬度計において20mm以上の場合は硬すぎであり、5~15mm程度が好ましいです。
コーンペネトロメーターによる静的貫入法においては、以下の条件が好ましいとされています。
- 耕耘・収穫時:田面から深さ0~15cmの間を5cmごと計測したコーン指数の4点平均0.39N/mm2以上、最小値0.2N/mm2以上
- 代かき時:作土直下から深さ0~15cmの間を5cmごと計測したコーン指数の4点平均0.2N/mm2以上
均平度

均平度(均平精度)は、圃場地盤の凹凸度合い(標準偏差)のことです。
生育むら・農薬等の効果のむらを少なくして栽培管理を容易にし、用排水管理を効果的に行うためには、田面をできるかぎり均平にする必要があります。
すべての測定値が平均標高の±3.5cm以内に収めることが必要です。
施工については、下記記事をご参照ください。
まとめ

水田の土層改良条件になる「作土厚・透水性・地耐力・均平度」についてまとめました。
「のうぎょうとぼく」の中では、農業土木に関する豊富な記事を書いています。
ぜひ他の農業土木に関する記事も見ていただけると幸いです。
農業土木について詳しく学べる本について別でまとめてますので、興味があれば参照ください。
参考ページ:農業土木の勉強におすすめな参考書・問題集を紹介!