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性比について ~フィッシャー性比・ハミルトン性比~

性比について ~フィッシャー性比・ハミルトン性比~
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生殖は、遺伝子の一部の交換であり、自己遺伝子を組み換えることです。

性比は雄と雌の比率で、多くの生物では性比は1:1が基本になっています。

なぜこの性比になるのか、どんな例外があるのかまとめます。

性比について

性別

ハーレムを形成して繁殖相手を独占する種でも、性比が1:1になることがほとんどです。

性別を1つの形質と考え、稀な方の性がいつも有利なことになる自然選択が働き、適応の観点から1:1の性比が最も有利になるため、性比が1:1になることを「フィッシャー性比」といいます。

集団における頻度によって変化する選択圧「頻度依存選択」が働いているためです。

しかし、兄弟姉妹など血縁関係の近い個体に限って交配が行われる場合、フィッシャー性比にはならないことがあります。

寄生蜂の多くでは、兄弟同士が雌を巡って争う局所的配偶競争が行われ、雌に偏った性比(ハミルトン性比)をもちます。

雌親が、雌を二倍体・雄を半数体となるように直接コントロールすることができます。

フィッシャー性比

性比 性別

適応の観点から1:1の性比(フィッシャー性比)が最も有利になる「フィッシャーの原理」は、イギリスの遺伝学者ロナルド・フィッシャー(Ronald Aylmer Fisher)が1930年に発行した『The Genetical Theory of Natural Selection(自然選択の遺伝学的理論)』にて言及されました。

雌対雄の性比を1:X、総個体数をN、雌の産子数の平均をfと状況を想定します。

雌の数はN/(1+X)、子の総数はfN/(1+X)となる。

子の総数を雄の総数XN/(1+X)で割ると、雄1個体が残すことのできる子の数は平均してf/Xになります。

雌1個体が残す子の数はfになるため、雌と雄の1個体あたりに子の数はX:1になります。

雌と雄の比率に対して、雌と雄の残す子の数が逆比例することが証明されます。

フィッシャーの性比は、少ない性の方が多く子を残すので、少ない方の性を増やす自然選択が発生し、性比は頻度依存選択によって1:1に安定することです。

ハミルトン性比

偏り 割合

ハミルトン性比は、ウィリアム・ドナルド・ハミルトン(William Donald “Bill” Hamilton)が1967年の”Extraordinary sex ratios”において言及されました。

雌親の数をNとすると、雄を産む性比r✳︎は、r✳︎=(N-1)/2Nと表現されます。

自分の孫の数を最大化するためには「できる限り多くのメスと、そのメスを受精させられるだけの最低限のオス」を生んだ方がよいという局所的配偶競争が起きます。

雌親の数が1頭のときは雄が0頭となり全く産まない方が安定する戦略になります。

逆に雌親が十分に多くなると、ハミルトン性比はフィッシャー性比に従い1/2になります。

まとめ

ハチ

性比についてまとめました。

また、生態学についてより深く勉強するのに、おすすめの書籍をまとめていますのでご参照ください。