生殖は、遺伝子の一部の交換であり、自己遺伝子を組み換えることです。
性比は雄と雌の比率で、多くの生物では性比は1:1が基本になっています。
この概念は進化生物学や生態学において重要なテーマであり、種の繁殖戦略や集団動態を理解する上で欠かせない要素です。
なぜこの性比になるのか、どんな例外があるのかまとめます。
性比について

性比(sex ratio)とは、有性生殖を行う生物におけるオスとメスの個体数の比率を指し、以下の4つの種類があります。
- 一次性比(Primary Sex Ratio):受精時点でのオスとメスの比率
- 二次性比(Secondary Sex Ratio):出生時点でのオスとメスの比率
- 三次性比(Tertiary Sex Ratio):成熟した個体におけるオスとメスの比率
- 実効性比(Operational Sex Ratio):繁殖可能なオスとメスの比率
ハーレムを形成して繁殖相手を独占する種でも、性比が1:1になることがほとんどです。
性別を1つの形質と考え、稀な方の性がいつも有利なことになる自然選択が働き、適応の観点から1:1の性比が最も有利になるため、性比が1:1になることを「フィッシャー性比」といいます。
集団における頻度によって変化する選択圧「頻度依存選択(Frequency-Dependent Selection)」が働いているためです。
しかし、兄弟姉妹など血縁関係の近い個体に限って交配が行われる場合、フィッシャー性比にはならないことがあります。
寄生蜂の多くでは、兄弟同士が雌を巡って争う局所的配偶競争が行われ、雌に偏った性比(ハミルトン性比)をもちます。
雌親が、雌を二倍体・雄を半数体となるように直接コントロールすることができます。
フィッシャー性比

適応の観点から1:1の性比(フィッシャー性比)が最も有利になる「フィッシャーの原理」は、イギリスの遺伝学者ロナルド・フィッシャー(Ronald Aylmer Fisher)が1930年に発行した『The Genetical Theory of Natural Selection(自然選択の遺伝学的理論)』にて言及されました。
集団内でオスが少ない場合、オスを産む親の子孫が繁殖成功率で有利です。
親がオスとメスの子供にかける「投資量」を考慮すると、親の投資量が均等になるような性比(通常1:1)が進化的に安定するとされています。
フィッシャー性比の数理モデルは以下の通りで、数理的にも表現可能です。
雌対雄の性比を1:X、総個体数をN、雌の産子数の平均をfと状況を想定します。
雌の数はN/(1+X)、子の総数はfN/(1+X)となる。
子の総数を雄の総数XN/(1+X)で割ると、雄1個体が残すことのできる子の数は平均してf/Xになります。
雌1個体が残す子の数はfになるため、雌と雄の1個体あたりに子の数はX:1になります。
雌と雄の比率に対して、雌と雄の残す子の数が逆比例することが証明されます。
フィッシャーの性比は、少ない性の方が多く子を残すので、少ない方の性を増やす自然選択が発生し、性比は頻度依存選択によって1:1に安定することです。
ハミルトン性比

ハミルトン性比は、ウィリアム・ドナルド・ハミルトン(William Donald “Bill” Hamilton)が1967年の”Extraordinary sex ratios”において言及されました。
雌親の数をNとすると、雄を産む性比r✳︎は、r✳︎=(N-1)/2Nと表現されます。
自分の孫の数を最大化するためには「できる限り多くのメスと、そのメスを受精させられるだけの最低限のオス」を生んだ方がよいという局所的配偶競争(LMC:Local Mate Competition)」が起きます。
雌親の数が1頭のときは雄が0頭となり全く産まない方が安定する戦略になります。
逆に雌親が十分に多くなると、ハミルトン性比はフィッシャー性比に従い1/2になります。
まとめ

性比についてまとめました。
性比は、生物集団内で重要な進化的・生態学的要因として作用し、その調節は繁殖成功や遺伝的多様性維持に不可欠です。
フィッシャーの原理によって説明される1:1への収束傾向だけでなく、生物ごとの特異な戦略や環境要因によって多様なパターンも見られます。
また、生態学についてより深く勉強するのに、おすすめの書籍をまとめていますのでご参照ください。