農業は1年に1作しかできないものが多く、圧倒的に経験・知識が不足してしまいます。
農業に従事し続けるには、勉強し常に新しい知見を学ばねばなりません。
勉強方法として、業界セミナー・先進地訪問・普及員による指導などありますが、私は本・業界誌・論文などを用いて勉強することが好きです。
その一環として『完全版 生ゴミ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』を読みましたので、書評・要約のように綺麗に整理できていませんが、感想・勉強になった内容をまとめてみます。
目次
『完全版 生ゴミ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』とは?
読みやすさ | |
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専門性 | |
役立ち度 |
- 著者: 吉田 俊道 (著)
- 出版社:東洋経済新報社
- 発売日:2017/6/9
- ページ数:209ページ
【目次】
- 完全版の刊行にあたって
- はじめに
- 序章 「生ごみ先生」と呼ばれるまで
- 第1章 野菜にまつわる大誤解―本当にいい元気野菜はどんな野菜?
- 第2章 奇跡の「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」
- 第3章 30日で子どもたちが変わった!―生ごみ先生のいのち輝く食育論
- 第4章 「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」のつくり方
- 第5章 いまこそ元気野菜革命を
- おわりに
- [特別付録①]生ごみ先生への質問大作戦
- [特別付録②]生ごみ野菜が奇跡を呼んだ! 感動体験記
『完全版 生ゴミ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』は、生ごみリサイクル野菜づくりをしている「菌ちゃんファーム」で実践されている「菌ちゃん野菜づくり」「菌ちゃん人間づくり」について学ぶことができる1冊です。
6年前に刊行した『生ごみ先生の元気野菜革命』に修正を入れた完全版です。
プランターでも家庭菜園でも実践できるので、初心者からベテランまで最高の入門書です。
農業法人㈱菌ちゃんふぁーむ代表取締役・NPO法人 大地といのちの会理事長の吉田 俊道氏は、「生ごみ先生」「菌ちゃん先生」と呼ばれています。
九州を拠点に生ごみリサイクル元気野菜づくりと元気人間づくりの旋風を巻き起こしています。
図解で分かりやすく「菌ちゃん農法」ついて解説されている本もあります。
『完全版 生ゴミ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』を読んで勉強になったこと
『完全版 生ゴミ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』は、以下の5つの特徴があると示されています。
- 読んで、すぐ実践できる:プランターで簡単にできる!
- とにかく「内容がわかりやすい」:チェックリスト有
- データをもとに解説:栄養成分表・専門家の意見など
- 「わかりやすい実践例」をたくさん紹介:保育園や小学校で実践した野菜作り
- 家庭で、すぐに役に立つ:食育・エコに役立つ
本書で重要だと思った箇所を章ごとにまとめます。
序章 「生ごみ先生」と呼ばれるまで
【序章の小見出し】
- 「鉄砲玉」の農業改良普及員
- 農薬のジレンマ
- 家族の反対を押し切って農家へ転職
- 農業がこんなに大変だなんて……
- 虫が教えてくれた衝撃の事実とは
- 「神虫さん」「神菌さん」
- 虫食いは安全・おいしさの証明?
- 虫にまつわる2つの体験
- 新たな試験
- 奇跡は「ジャングル」から生まれた
- 「菌ちゃん」が土と野菜に元気を与える
- 「耕作放棄地」は宝の山
- 土は「菌ちゃん」のかたまり
- 「菌ちゃん」は友達
著者は、九州大学農学部の大学院修士課程修了後、長崎県の農業改良普及員として県庁勤めをしました。
しかし、仕事をするうちに、農薬を使って効率的に作られた野菜は、「中身の薄い野菜」になってしまうと感じ始めます。
家族の猛反対を押し切り、県庁職員を10年勤めて、有機農家に転身します。
はじめは虫食いに悩むも、循環農法の実践者である赤峰勝人の「虫は神様ですよ。神虫さんなんです」から、不健康で元気のない野菜に虫が好んで寄り付くことに気づきます。
根本原因である「土」を改善するためには植物の栄養源である腐植が必須で、腐植を産み出す微生物のことを愛情を込めて「菌ちゃん」と呼んでいます。
第1章 野菜にまつわる大誤解―本当にいい元気野菜はどんな野菜?
【第1章の小見出し】
- 無農薬野菜にまつわる大ウソ
- 虫は「まずい野菜」にやってくる
- なぜ元気野菜には虫が来ないのか?
- 虫は地球のお掃除屋さん!
- 病原虫の最大の原因は「土の腐敗」
- 野菜の栄養価は10分の1に激減⁉
- 生サラダでは量が食べられない
- 「硫酸性窒素」の毒性
- 「有機野菜=元気野菜」ではない
- 元気野菜の第一条件
- 虫食い野菜と、新の有機野菜
- いまの野菜を食べても、ガン予防効果はない⁉
- 誰でも一発でわかる!元気野菜の見分け方
- 皮こそ「いのち」のエッセンス
- ナスのへたにはミネラルがいっぱい
- 玉ねぎの皮は、皮の王様
- 成長点を捨ててはいけない
- 芯を捨てるのは、たんなる不合理な習慣
- 皮をむくから「いのち」が弱る
- わが家の野菜の食べ方
- 白米と玄米、「糠」と「粕」
- 「いのち」は丸ごといただこう
健康な野菜は、「セルロース」「ファイトケミカル」「フィトンチッド」などの物質によって、虫を寄せ付けません。
虫は、この弱ってものを土に還して、世の中を元気な「いのち」で満たすのが役割です。
不健康な野菜が育つ原因は「土の微妙な腐敗」で、有機物が土の中で分解される途中で有害ガスが発生し、植物の根が弱り病害虫が発生します。
元気野菜(菌ちゃん野菜)は、土と微生物と太陽の力を自分の力に変えて、病原菌・害虫・紫外線・強風・雨・霜・温度変化などの障害を自力で乗り越えて生きる野菜のことです。
旬の露地栽培で虫食い野菜ではないものが条件で、有機栽培・無農薬栽培であるかは関係ありません。
第2章 奇跡の「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」
【第2章の小見出し】
- 「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」が生まれるまで
- ごみ問題と有機野菜の結びつき
- 私たちはみんな「土のお化け」
- 生ごみが奇跡を起こしはじめた!学校や保育園で生ごみ野菜づくり
- なぜ生ごみがいいのか
- 生ごみは捨ててはダメ!
- 「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」は切っても腐らない⁉
- 「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」のこれだけの利点
- 生ごみは「いのち」の宝庫
生ごみリサイクル菌ちゃん野菜は、菌ちゃんの絶好のエサである生ごみを与える循環農法(いのちのリレー)で作られた元気野菜です。
生ごみだと分解しやすく、ゴミが減る利点があります。
また「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」は、腐りにくく栄養価が高い特徴があります。
第3章 30日で子どもたちが変わった!―生ごみ先生のいのち輝く食育論
【第3章の小見出し】
- いまの子どもたちは「ひ弱野菜」と同じ
- 「現代型栄養失調」の子どもたち
- 食生活を見直す17のチェックリスト
- さらに具体的な13のポイント
①元気な旬の野菜をいただく
②野菜の旬を実感するために育ててみる
③薄く千切りにして食べる
④蒸して食べる、煮汁ごと食べる
⑤一家に一台、家庭用精米機を
⑥本物の発酵食品をいただく
⑦微生物を殺すものを食べない
⑧おなか畑に化学肥料を入れない「1」ー白砂糖のとりすぎは禁物
⑨おなか畑に化学肥料を入れない「2」ー高たんぱく質高脂肪食品をとりすぎない
⑩冬の果物を控えめに
⑪おなかをすかせてから食べる
⑫よく噛んで食べる
⑬「いのち」をいただく - 4週間で終了、食改善実践プログラムーおなか畑で奇跡が起きた
- 1週間でウンチが変わる
- 給食改善でこれだけの効果が!
- まずは食を変えることから
現代っ子の多くが、「現代型栄養失調」にかかっていると著者は言及します。
現代型栄養失調は、元福山平成大学客員教授の鈴木雅子氏が提唱した言葉で、カロリーが足りていてもビタミン・ミネラルなどの微量栄養素が欠乏している状態です。
こうした現状を目の当たりに、食生活見直す17項目のチェックリストが提示されています。
大自然の生命力とつながる食生活17項目(3つ以上選んで1ヶ月間挑戦)
- 元気な旬の野菜をいただこう
- 葉物野菜もいただこう
- 皮ごといただこう
- 生長点こそいただこう
- 栄養を逃さない調理(ナマ、千切り、煮る、蒸す)
- 元気な土で育ったおいしい野菜を選ぶ
- 玄米か分づき米か豆・雑穀入りご飯にする
- 微生物パワーとつながろう
- 母なる海とつながろう
- 朝はご飯と味噌汁
- 調味料を選ぶ
- 加工食品を選ぶ
- 油ものを減らす
- のどが乾いたら水や家でつくったお茶
- 間食、夜の飲食をひかえる
- ひと口、30回以上噛んで食べよう
- 心から感謝していただこう
第4章 「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」のつくり方
【第4章の小見出し】
- 生ごみが消えた!感動体験
- 自分でつくると、子どもたちは変わる
- 実践!「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」づくり
①プランターと土を準備する
②生ごみを入れる
③熟成・浄化
④種まき・苗の植え付け - 初心者におすすめースプラウト栽培
「生ごみリサイクル菌ちゃん野菜」づくりの仕方は以下の通りです。
- プランターと土を用意する
- 生ごみを入れる
- 熟成・浄化
- 種まき・苗の植え付け
①プランターと土を用意する
プランターは70×40×30程度の大きいものがおすすめです。
土は、雑木林・耕作放棄地の田畑の表層10cmから採取し、なければ市販の培養土を使用します。
プランターの底には、軽石(石・籾殻・発泡スチロールでも良い)を敷き詰めて、通気性を確保します。
②生ごみを入れる
生ごみは下処理が必要です。
- 1cm幅で切ってポリ袋に入れる
- 一握りの米糠・ボカシをふりかけて軽く混ぜる
- 密封して涼しい場所で冷蔵庫に溜める
③熟成・浄化
投入した生ごみの量がプランターの3割程度になれば、それ以上は生ごみを入れてはいけません。
生ごみの投入が終わったプランターは、週1回は混ぜて、乾いたら水を足して適度な湿り気を保ちながら熟成させます。
3回程度混ぜたら蓋をして1ヶ月以上放置し、臭みが無くなったら熟成完了です。
④種まき・苗の植え付け
市販の有機石灰を片手一山分入れて混ぜて最終調整をした土に、種まき・苗の植え付けをします。
植え付け後、プランターの上部から盛り上がる程度まで、厚く敷草をするのがポイントです。
雨で土が固まるのを防ぎ、水分が安定し、草は菌ちゃんによって少しずつ分解されていきます。
第5章 いまこそ元気野菜革命を
【第5章の小見出し】
- 無菌主義はもはや限界
- 見学者入っただけでキュウリが絶滅?
- 病原菌にも役割がある
- 掟破りの代償
- 「菌ちゃん」、ごめんね
- 「いのち」の輪の中で暮らす
- 食品を選ぶ2つのポイント
- なぜアンパンマンは、ジャムおじさんのパンしか買わないのか?
- やはり原点は生ごみリサイクル
- いまは時代の転換期
- 市民と行政のタッグが時代を変える
- 広がる元気野菜革命
行き過ぎた無菌主義が、日本人を弱体化させ、悪循環が限界に近づいています。
菌と共生して生きていく必要があると主張されています。
『完全版 生ゴミ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』を読んで今後勉強すべきこと
『完全版 生ゴミ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』は、菌を上手く使った栽培に興味を持つことができました。
自然栽培とかに興味があれば、もっと栽培方法にフォーカスされている『1m2からはじめる自然菜園』などで勉強するのがおすすめです。
菌ちゃんふぁーむの代表商品であるふりかけ「菌ちゃんげんきっこ」が紹介されていたので、試してみたいと思います。
まとめ
『完全版 生ゴミ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』を書評・要約のようにまとまっていないかも知れませんが、感想・内容を紹介しました。
まだまだ勉強不足ですので、これらからもしっかり勉強していきます。
最新の農業情報を得るためには、本だと出版までのタイムラグがあるので、農業の専門雑誌を読むほうがおすすめです。
毎月購入すると結構コストがかかってしまうので、ネットで農業雑誌・家庭菜園誌が読み放の「楽天マガジン」がおすすめですので、利用してみてください。