豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱の防疫対策は

  1. 異常豚発生の監視
  2. 異常豚発見時の初動対応
  3. 異常豚発見時の臨場検査
  4. 検体の送付
  5. 農場内の疫学情報の収集
  6. 検査判断前準備
  7. 検査判定(陽性判定)
  8. 陽性判定時の防疫措置
  9. 農場周辺の人の通行制限・通行遮断
  10. 農場周辺の豚等の移動制限・搬出制限
  11. 消毒ポイントの設営
  12. ウイルスの感染状況調査
  13. ワクチンの接種(豚コレラの場合)

の流れで実施されます。

今回、⑪消毒ポイントの設営についてまとめます。

【豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱】発生時の消毒ポイントについて

消毒ポイント

都道府県は、豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱の患畜・疑似患畜であると判定する旨の連絡を受けた後、市町村・管轄の警察・道路管理者などの協力を得て、

  • 「発生農場周辺の感染拡大を防止すること」
  • 「移動・搬出制限区域の外側への感染拡大を防止すること」

に重点を置き、消毒ポイントを設置し、車両を消毒します。

消毒ポイントの設置場所

消毒ポイント 岐阜県

出典:豚コレラにかかる消毒ポイントの設置について(岐阜県HP)

消毒ポイントの設置場所は、次の場所が挙げられる。

  • 発生農場周辺(当該農場からおおむね半径1kmの範囲内)
  • 畜産関係車両を対象として、移動制限区域(半径10km)ライン付近(7か所程度)
  • 一般車両も対象として、搬出制限区域(半径10km~20km)ライン付近(6か所程度)
  • その他(高速道路各IC付近)

また、設置には以下のことを配慮し設定される。

  • 道路網の状況
  • 一般車両の通行量
  • 畜産関係車両の通行量
  • 山、河川等による地域の区分
  • 周辺の住環境
  • 農業への影響

消毒ポイントにおける消毒の方法

消毒

消毒ポイントにおける消毒は、設置場所の特性も踏まえ、以下により行います。

  • 道路上への消毒槽
  • 消毒マットの設置
  • 駐車場等への引き込み方式(動力噴霧器による消毒)

作業従事者は、車両を消毒ポイントに誘導する者と実際に消毒を実施する者を適切に配置します。

豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱で使用される消毒液

豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱 消毒効果

出典:豚コレラの特徴(愛知県)

ウイルスには、エンベロープ(外皮)という構造を持つものと持たないものがあり、効果的な消毒液の種類がことなります。

エンベロープ(外皮)を有する豚コレラウィルス・アフリカ豚コレラウィルスには、ほとんどの消毒薬が効果的です。

その中でも車両を消毒する消毒ポイントでは、金属腐食性が無い逆性石鹸(パコマ、アストップ、クリアキル等)が主に用いられます。

逆性石鹸は、陽イオンを持つ原子団が菌体表面の陰イオン部分に吸着し、さらに細胞内に浸透して細胞膜の構造を破壊します。

皮膚刺激性・毒性は低く、安価です。

逆性石鹸を使用する際に注意すべきことは、有機物が存在する場合・低温時に、著しく効果が低下します。

消毒の事前に有機物を処理し、温水により作業する必要があります。

逆性石鹸だけでも効き目はありますが、ハロゲン化合物(次亜塩素酸ナトリウムを成分とするもの)・炭酸ナトリウム溶液(4%)・水酸化ナトリウム溶液(2%)を添加して高アルカリにすると消毒効果がより高まります。

畜産関係車両の消毒

極力車体に付着した泥等を除去した後、動力噴霧器を用いて、車両のタイヤ周りを中心に、荷台や運転席の清拭も含めて車両全体を消毒します。

可動部を動かすことによって消毒の死角がないように留意します。

運転手の手指・靴底・席下のマットの消毒を徹底します。

一般車両の消毒

一般車両の消毒については、車両用踏込消毒槽や消毒マットを用いた消毒を実施します。

常に十分な消毒の効果が得られるよう、消毒薬を定期的に交換しなければなりません。

まとめ

子豚

【豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱】発生時の消毒ポイントについてまとめました。

【豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱】が実際に発生した場合の防疫措置については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。

参考文献等

文献

  • 「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」
  • 「アフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」
  • 「舛甚ら(2018)ロシア及び東欧諸国におけるアフリカ豚コレラ(ASF)発生とその現状について」 豚病研究会報72:1-7
  •  「山田ら(2018)東欧強毒株を用いたアフリカ豚コレラウイルス感染実験について」豚病研究会報72:8-15
  • 「アフリカ豚コレラの歴史とリスク分析」小澤義博(2014)獣医疫学雑誌
  • 「アフリカ豚コレラの知識: 野外応用マニュアル」FAO Animal Health Manual No. 9
  • 「アフリカ豚コレラ (ASF) の防疫要領策定マニュアル」FAO Animal Health Manual No. 11

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