食材の栄養素は料理の仕方次第で大きく変化します。
栄養を大きく損なう調理をしてしまうと、食材の栄養素を活かすことができません。
逆にちょっとした工夫・要点を知るだけで、効率的に栄養を活かすことができます。
今回は、「きゅうり」の栄養・効能を活かす効果的な料理法をまとめます。
きゅうりの主な栄養・効能

【きゅうりの注目成分】
- βカロテン:330μg
- ビタミンC:14mg
- ビタミンK:240μg
- カリウム:300mg
- 食物繊維:1.1g
【きゅうり 可食部100gあたり成分 七訂日本食品標準成分表より】
きゅうりは、抗酸化作用が期待できる「βカロテン」、高血圧・むくみの解消などが期待できる「カリウム」を豊富に含んでいます。
きゅうりは『Least calorific fruit』としてギネス世界記録に登録されているほどカロリーが低いのも特徴です。
栄養素以外にも注目すべき成分として、「シトルリン」「ククルビタシン」「ホスホリパーゼ」が挙げられます。
シトルリン
シトルリンは、肌の潤いを保つ天然保湿因子(NMF)の1つである遊離アミノ酸で、アルギニンの合成促進・乳酸やアンモニア除去の促進に効果的です。
アルギニンが合成され、その後酵素によって代謝される過程で、血管拡張・血流促進などの作用があるNO(一酸化窒素)を作り出します。
血管が拡張されるため、動脈硬化の緩和・むくみや冷え性の改善・脳機能の向上などに効果的です。
シトルリンには乳酸値を下げる効果もあるので、血管拡張と相まって、運動パフォーマンスアップも期待できます
ウリ科に多く含まれ、キュウリ100gあたり9.6mg含まれています。
ククルビタシン
ククルビタシンは、ウリ科植物特有のステロイドの1種で、苦味成分です。
少量であれば、炎症・がんの腫瘍にまで対抗作用を持つファイトケミカルとして機能すると言われますが、多量摂取すると、腹痛・嘔吐・下痢・重篤な胃腸不全に至る可能性があります。
食用品種であるウリ科植物では、品種改良によってククルビタシンが低減されていますが、栽培環境によっては多い場合もあります。
ウリ科植物を食べたときに苦味が強すぎる場合には食べすぎないようにしましょう。
ホスホリパーゼ
ホスホリパーゼは、脂肪の代謝を促進する酵素です。
また、老廃物・毒素を排出する機能も期待することができます。
きゅうりの栄養・効能を活かす効果的な料理法

きゅうりの栄養・効能を活かすため、以下の効果的な料理方法をおすすめします。
あくまでも、栄養を活かすためであって、美味しさを追求する場合の料理方法とは異なることをご承知ください。
【きゅうりの栄養・効能を活かす効果的な料理法】
- 生で食べる
- すりおろしにする
- アルギニンを多く含む食品と一緒に食べる
①生で食べる

きゅうりに含まれるビタミンC・シトルリンなどは加熱に弱いです。
そのため、加熱せず生で食べることをおすすめします。
生で食べるにはみずみずしいと食味も良いので、「イボが痛いしっかりしている」「両端がしなびていない」特徴で選別しましょう。
青臭さや苦さが苦手な場合は、塩揉みをすることで低減することができます。
②すりおろしにする

きゅうりに含まれるホスホリパーゼなどの酵素は細胞壁の中に存在します。
そのためすりおろすことで、細胞壁を壊してホスホリパーゼを効率よく摂取可能です。
酵素などは酸化にも弱いので、出来る限り食事の直前にすりおろすことをおすすめします。
③アルギニンを多く含む食品と一緒に食べる

きゅうりに含まれるシトルリンは、アルギニンと相性がいいため、アルギニンを多く含む食材と一緒に食べることをおすすめします。
大豆・マグロ・鶏卵・ニンニク・牛肉にアルギニンが豊富です。
きゅうりには「アスコルビン酸酸化酵素」が含まれており、「ビタミンCを破壊する酵素」で食べ合わせに注意が必要だと誤った情報が流れています。
還元型ビタミンCが酸化型ビタミンCに変異するだけで、体内ではどちらも還元型に戻るので、ビタミンCの観点で食べ合わせに影響はありません。
まとめ

きゅうりの栄養・効能を活かす効果的な料理法についてまとめました。
栄養を生かす調理の方法に併せて、品質の良い食材を手に入れることも重要です。
残念なことに品質の良い食材を買ってみようと思っても、近所のスーパーの品揃えがない・価格高いなどの問題にあたってしまいます。
そこで旬で良質な野菜を手軽に安く手に入れる方法として、『野菜の宅配定期便』を紹介させて頂いておりますので、ぜひご覧ください。
農家による経験・知恵によるところもありますが、栄養をしっかり摂るためには正しい情報・データも必要なため、書籍・論文などの文献で勉強しました。
栄養について勉強をした際に使用した書籍をまとめましたので、興味がありましたらご参照ください。
