土を掘削・運搬・盛土をする場合、地山の状態より土の体積が増減します。
そのため、土木工事において土工計画を立てる際には、土の変化率は重要な指標です。
土工計画における土の変化率について解説します。
土工計画における土の変化率について
土は、土粒子と水と空気から構成されているので、自然状態(地山)のとき、それを掘り崩してほぐしたり、押し潰すなどの締固めたり、空気の体積が変化するため、体積変化を起こします。
- 土は自然状態にある土量を「地山土量」
- 掘削してほぐれた土量を「ほぐし土量」
- 盛土し締固められた土量を「締固め土量」
一般に、自然状態の地山を掘削すると体積は大きくなり、締め固めると小さくなります。
この変化率をほぐし率:L(ルーズ)、を締固め率:C(コンパクション)と定義します。
土工計画において、以下のように利用されます。
- 地山土量は「土の配分計画」
- ほぐし土量は「土の運搬計画」
- 締固め土量は「出来上がり土量計画」
土の分類ごとの「ほぐし率」「締固め率」
分類名称 | ほぐし率L | 締固め率C |
---|---|---|
レキ質土 | 1.20 | 0.90 |
砂及び砂質土 | 1.20 | 0.90 |
粘性土 | 1.25 | 0.90 |
岩塊玉石 | 1.20 | 1.00 |
転石混り土(Ⅰ) | 1.25 | 0.96 |
転石混り土(Ⅱ) | 1.32 | 1.04 |
転石混り土(Ⅲ) | 1.39 | 1.11 |
軟岩(Ⅰ) | 1.30 | 1.15 |
軟岩(Ⅱ) | 1.50 | 1.20 |
中硬岩 | 1.60 | 1.25 |
硬岩(Ⅰ) | 1.65 | 1.40 |
硬岩(Ⅱ) | 1.65 | 1.40 |
国土交通省の『土木工事積算基準』では、上記の表の土の分類ごとに土量の変化率を指定しています。
ほぐし率
ほぐし率(L)=ほぐし土量/地山土量
地山土量×ほぐし率=ほぐし土量が求められ、ほぐし土量にて残土運搬の量などを計画します。
土がほぐれた状態のことを「ふけている」とか「ふけた土」というため、「ふけ率」とも呼ばれます(例:残土ふけ率)。
地山を切土してほぐした土量は、地山土量より必ず大きくなります。ただし、ほぐし方や仮置き状態に影響を受けやすいので、想定のほぐし率と差異が大きくなる傾向がありますので注意が必要です。
砂質土では1.2が用いられ、よく用いられます。
締固め率
締固め率(C)=締固め後の土量/地山の土量
地山を切土して盛土して締め固めた場合、地山土量よりも小さくなる傾向があります。岩などが多い場合、地山土量よりも大きくなります。
しかし、深く掘削する場合、地山状態は掘削してみないとわからない場合があり、土量が大きく変わることがあります。土量が大きい場合、試験掘削や試験盛土を行い、土量計画を正確にします。
運搬中の損失や地盤沈下などによる盛土量の増加を見込んでいないので、注意します。
土量の換算
求める 地山土量 | 求める ほぐし土量 | 求める 締固め土量 | |
(基準) 地山土量 | 1 | L | C |
(基準) ほぐし土量 | 1/L | 1 | C/L |
(基準) 締固め土量 | 1/C | L/C | 1 |
作業量を求めるためには、元となる土の状態を作業状態に変換して計算する必要があります。
上記の表が一般的に用いられて、まとめられています。
まとめ
土工計画における土の変化率についてまとめました。
紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。
勉強に使用した書籍をまとめていますので、ご参照ください。