研究のための重要なデータを収集するために、現地調査(フィールドワーク)をしています。
研究対象地によっては、致命的な危険と隣り合わせな場所で調査を行います。
調査者(フィールドワーカー)は、研究者・科学者・探検家・冒険家・登山家・写真家などの経験・知識を学んで、しっかり事前準備をすることで危険を避けなければなりません。
今回は、熊に遭遇しない工夫・遭遇したらするべき対処法についてまとめます。
日本で遭遇する可能性がある熊について
(引用:第6回自然環境保全基礎調査2004)
日本には、「ヒグマ」と「ツキノワグマ」の2種類の熊が生息しています。
ヒグマは北海道、ツキノワグマは落葉広葉樹林のあるところが主な生息地です。
熊は、小さな音でも聞き分ける聴覚・微かな臭いをかぎわける嗅覚をそなえた大型動物で、時速40km以上で走る・水泳・木登りができます。
気性は基本おとなしく、人の気配を感じたら逃げるくらい臆病です。
しかし子連れの親は子どもを守るために強気で、驚いたり危険を感じると襲ってくる可能性があります。
熊に遭遇しない工夫
熊による年間の人身被害は平均50〜100件ほどあります。
令和4年度は、被害人数75人(ツキノワグマ71・ヒグマ4)・死亡者数2名(ツキノワグマ2)でした(環境省:クマ類による人身被害について [速報値])。
熊が生息している地域でフィールドワークを実施する場合は、熊に遭遇しない工夫が必要です。
熊に遭遇しない工夫として、以下の方法が挙げられます。
【クマに遭遇しない工夫】
- クマ鈴・ラジオなど音の出るもので存在を知らせる
- 食料をテント・シェルター内で保管せず、袋に入れ高い位置の枝にかけておく
- 料理した衣服で行動しない
- クマの行動時間とバッティングしないように、早朝・夜間に行動しない
熊に遭遇したらするべき対処法
熊に遭遇しないように努力していても、偶発的に出会ってしまうこともあります。
対処を誤ると危険ですので、理解しておく必要があります。
熊と遭遇した場合、威嚇したりせずに落ち着いてゆっくりとその場から離れましょう。
その際には、「熊に背を向けず、熊を見ながら、ゆっくり後退する」が重要です。
また、熊がこちらに近づいてくるときは、「ゆっくり両腕をあげて振り、穏やかに話しかける」など人間がいることを静かに知らせます。
さらに近づいてきて突進をしてきても、多くは威嚇突進行動(ブラフチャージ)で途中で止まって後退する事が多いので、恐怖に耐えながらも木・岩などをクマとの間に障害物を置くようにゆっくり後退しましょう。
それでも、襲われてしまう場合があるので、熊の出現情報が多い場所を訪れる際は「クマ撃退スプレー」を携帯しましょう。
催涙スプレーの1種で、唐辛子などの刺激の強い成分で、熊の皮膚・目・鼻・喉の粘膜に強烈な刺激を与えます。
殺傷・忌避効果はないので、苦しんでいるうちに逃げるための道具です。
ただ、どの行動も100%安全を確保することができないので、熊に出会わないようにしっかり対策しましょう。
まとめ
熊に遭遇しない工夫・遭遇したらするべき対処法についてまとめました。
十分な準備をしてフィールドワークへ挑み、良い研究に繋げていきたいと思います。
危険に遭遇しないのが1番ですが、危険対処に重要になるサバイバルキットについてもまとめましたので御覧ください。
また、事前準備として必要な知識の習得に用いた書籍をまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。