研究のための重要なデータを収集するために、現地調査(フィールドワーク)をする必要があります。
研究対象地によっては、致命的な危険と隣り合わせな場所で調査を行います。
調査者(フィールドワーカー)は、研究者・科学者・探検家・冒険家・登山家・写真家などの経験・知識を学んで、しっかり事前準備をすることで危険を避けなければなりません。
今回は、山でのフィールドワーク時に気をつけるべき「浸水足・塹壕足」についてまとめます。
浸水足・塹壕足とは
浸水足・塹壕足(trench foot)は、湿った冷たい靴下やブーツを何日も履いていることによって起こる寒冷障害です。
第一次世界大戦で冬季に塹壕戦を戦った兵士たちが冷水浸漬で悩まされた症状なので、「塹壕足炎」とも呼ばれます。
軽症な場合は、足が青白くなり、皮膚が温度変化・わずかな接触に過敏になります。
重症な場合は、靴擦れ・水膨れが生じ、壊死・破風症などの感染症を引き越してしまいます。
小川を渡ったり、靴内の蒸れの放置などでこの疾患を生じます。
浸水足・塹壕足の予防
浸水足・塹壕足は、16℃以下の環境に少なくとも13時間以上の寒冷に晒されることが主要因です。
防水浸透性素材でも水蒸気は通してしまうので、非衛生的・湿潤状態から塹壕足を生じてしまいます。
そうした環境に晒されることで毛細血管の機能低下と壊死が起こります。
浸水足・塹壕足にならないようにするには、足を清潔・保温・乾燥した状態に保つことで防げます。
災害派遣・戦地など乾かす余裕のない場面において、予防措置を講じておくと健康的に非常に有効ですので、そのための予防方法をまとめました。
【浸水足・塹壕足の予防方法】
- 足の状態を定期的に点検すること
- 外気・日光に足を晒す
- 靴は登山靴などの防水性・通気性の良いもの
- 砂・石を温めて、靴の中に入れて乾燥させる
- 靴下は通気性の良いもの、濡れても良いように替えを用意
- ワセリン・ベビーオイルを塗る(少量のシャンプーも可)
また、米国環境衛生科学研究所(NIEHS)の資料によると、こうした寒さに関連する疾病への疾患リスクを下げるためには
- 自分や協力者の寒冷ストレス症の症状に注意する。
- 断熱性で耐水性の靴をはき、濡れたら履き替える。
- 通気性のある寒冷地用の保護衣を着用し、重ね着をする。
- 水分を十分摂取し、カフェインとアルコールは避ける。
- 高カロリー食を食べ、熱量を確保する。
が記載されています。
浸水足・塹壕足の応急処置
浸水足・塹壕足の応急処置は、足を暖かく乾いた状態に保つことだけです。
実際に塹壕足の状態になった自衛隊員が、ストーブに2時間当てたら治ることをTweetで報告されていました。
雨に連日打たれながら
演習を終えた塹壕足
ストーブに当てたら二時間で
治ります pic.twitter.com/NhS7WCflwL— J ( ^ω^) (@2gmdKe1lPM74dy7) September 4, 2022
軽度な場合は患部にベビーパウダーを塗布することで対処できますが、重度の場合は抗菌剤等による処置が必須ですので通院しましょう。
まとめ
今回は、山でのフィールドワーク時に気をつけるべき「浸水足・塹壕足」についてまとめました。
十分な準備をしてフィールドワークへ挑み、良い研究に繋げていきたいと思います。
危険に遭遇しないのが1番ですが、危険対処に重要になるサバイバルキットについてもまとめましたので御覧ください。
また、事前準備として必要な知識の習得に用いた書籍をまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。