生態学とは、生物の生活の法則をその環境との関係で解き明かす科学です。
マクロかミクロかどの視点での生物を扱うかによって、生態学は無数に存在します。
生態学がどのように発展してきた歴史があるか、どのように分化していったかをまとめてみます。
生態学の歴史
生態学の発祥は、自然認識の哲学に近い博物学・生物地理学とされています。
18世紀頃、欧州の植民地政策による自然資源調査隊に同行した研究者が、世界の生物・l環境を調査したことで、生態学の知見を深めました。
ドイツの植物学者のフンボルトの植物地理学・イギリスのダーウィンの進化学などが台頭します。
まだこの頃には「生態学(ecology)」という言葉はなく、1866年にドイツの生物学者のエルンスト・ヘッケルが「oekologie(ドイツ語)」とはじめて表記したことが起源と言われています。
οἶκος(オイコス:ポリスの市民を家長とする家政機関共同体)と λόγος(ロゴス:理論)2つのギリシャ語を組み合わせたものです。
冒頭で、「生態学とは、生物の生活の法則をその環境との関係で解き明かす科学です。」と挙げました。
これは、20世紀のオックスフォード大学のエルトン教授が「生態学とは生物の生活を研究する学問」、オダムが「生物学とは様々な生物グループと環境との関係性を研究する学問」と提唱していることからです。
A.マッケンジーらの生態学の10の規則
生物学についてどのように扱うべきか、A.マッケンジーら10の規則が示されていますので紹介します。
- 生態学は科学である
- 生態学は進化の観点からのみ理解することができる
- 「種の利益のため」には何も起こらない
- 環境と遺伝子の両方が重要
- 複雑なものを理解するためにはモデルが必要
- 「物語」は危険
- 説明にも階層性がある
- 生物には多くの規制がある
- 偶然も重要
- 自ら生態学に境界を設けない
生物学の分化
生態学は、あまりにも広い現象を扱い、全容を理解するには多様な知識と技術が求められます。
そのため、領域・階層をしっかり分けて、生態学の研究をする必要があります。
生態学が扱う階層は研究者によって異なるが、「遺伝子ー個体ー家族ー個体群ー異種個体群ー生物群集ー景観ー生態系ー地球環境」と分けることもある。
例を挙げると
- 個体を対象にする生理生態学
- 群れを対象にする行動生態学・社会生物学
- 個体群を対象にする進化生態学
- 景観を対象にする景観生態学
- 生態系を対象にする生態系生態学
などがあります。
これらの階層ごとに研究がされているようであるが、進化生態学などでは群内の個体識別が必要になるので、DNA情報などの遺伝子の技術が必要になります。
まとめ
生態学の歴史と分化についてまとめました。
生態学を勉強するのにおすすめのテキストをまとめましたので、参考にしてください。