豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱の防疫対策は
- 異常豚発生の監視
- 異常豚発見時の初動対応
- 異常豚発見時の臨場検査
- 検体の送付
- 農場内の疫学情報の収集
- 検査判断前準備
- 検査判定(陽性判定)
- 陽性判定時の防疫措置
- 農場周辺の人の通行制限・通行遮断
- 農場周辺の豚等の移動制限・搬出制限
- 消毒ポイントの設営
- ウイルスの感染状況調査
- ワクチンの接種(豚コレラの場合)
の流れで実施されます。
防疫措置において豚が殺処分されるため、殺処分される豚に対して国が保証します。
豚の補償のために、豚の評価の仕方をまとめます。
目次
豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱が発生時における豚の補償・評価について
豚等の評価額は、患畜・疑似患畜であることが確認される前の状態で算出されます。
評価額の算出は、原則として、当該豚等の導入価格に、導入日から患畜・疑似患畜であることが確認された日までの期間の生産費(統計データを用いて算出する。)を加算して行い、これに当該豚等の体型、経産の有無、繁殖供用残存期間等を考慮して必要な加算又は減算を行います。
豚等の所有者等は、と殺に先立ち、豚等の評価額の算定の参考とするため、と殺の対象となる個体(多頭群飼育されている場合にあっては、群ごとの代表的な個体)ごとに、当該豚等の体型・骨格が分かるように写真を撮影します。
農林水産省は、都道府県において豚等の評価額の算定を速やかに実施することが困難と認められるときは、関係省庁と協議の上、直ちに概算払を行います。
肥育豚の補償・評価について
出典:「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」
評価額の基本的な算定方法は、以下になります。
素畜の導入価格+ 肥育経費(1日当たりの生産費×飼養日数)
導入価格
導入価格は、素畜の導入に要した費用とし、購入伝票等により確認します。
素畜を自家生産している場合・導入価格を確認することができない場合には、産み落とし価格を用いることとする。
産み落とし価格、「全算入生産費×0.09」と算定します。
1日当たりの生産費
1日当たりの生産費は、前期1日当たり生産費(生まれた日から70日齢まで)と後期1日当たり生産費(71日齢から出荷されるまで)の2種類あります。
前期1日当たり生産費=「(全算入生産費ー産み落とし価格)÷肥育期間(平均販売月齢)×0.5」
後期1日当たり生産費=「(全算入生産費ー産み落とし価格)÷肥育期間(平均販売月齢)×1.3」
飼育日数
飼養日数は、素畜を導入する場合には導入した日から、繁殖・肥育一貫経営等の場合には素畜が生まれた日から患畜・疑似患畜と判定された日までの日数とします。
繁殖雌豚(未経産)の場合
評価額の基本的な算定方法は、以下になります。
素畜の導入価格+ 育成経費(1日当たりの生産費×飼養日数)+ 受胎加算金
導入価格
導入価格は、素畜の導入に要した費用とし、家畜市場の購入伝票等により確認します。
導入価格を確認することができない場合・素畜を自家生産している場合には、当該家畜の所有者が通常利用している家畜市場における当該素畜と同等の豚の直近1年間の平均取引価格とします。
1日当たりの生産費
1日当たりの生産費は、生産費調査における肥育豚の1日当たりの生産費を利用します。
飼育日数
飼養日数は、素畜を導入した日から患畜又は疑似患畜と判定された日までの日数とします。
受胎加算金
受胎している場合には、受胎分として母豚価値の2割相当を加算します。
ただし、獣医師による妊娠鑑定等により受胎が確認できる場合に限ります。
繁殖雌豚(経産)の場合
評価額の基本的な算定方法は、以下になります。
初産時基準価格×評価指数/100 + 受胎加算金
初産時基準価格
初産時基準価格の基本的な算定方法は、以下になります。
素畜の導入価格+平均初産月齢までの育成経費(1日当たりの生産費×飼養日数)
評価指数
評価指数は、初産時の評価を100とした際の経年による価値の減少分を指数化したものであり、各都道府県の家畜共済金支払制度を活用し算定します。
1日当たりの生産費
1日当たりの生産費は、生産費調査における肥育豚の1日当たりの生産費を利用します。
受胎加算金
受胎している場合には、受胎分として母豚価値の2割相当を加算します。
ただし、獣医師による妊娠鑑定等により受胎が確認できる場合に限ります。
まとめ
【豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱】豚の補償・評価についてまとめました。
【豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱】が実際に発生した場合の防疫措置については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。
参考文献等
文献
- 「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」
- 「アフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」
- 「舛甚ら(2018)ロシア及び東欧諸国におけるアフリカ豚コレラ(ASF)発生とその現状について」 豚病研究会報72:1-7
- 「山田ら(2018)東欧強毒株を用いたアフリカ豚コレラウイルス感染実験について」豚病研究会報72:8-15
- 「アフリカ豚コレラの歴史とリスク分析」小澤義博(2014)獣医疫学雑誌
- 「アフリカ豚コレラの知識: 野外応用マニュアル」FAO Animal Health Manual No. 9
- 「アフリカ豚コレラ (ASF) の防疫要領策定マニュアル」FAO Animal Health Manual No. 11
HP
- アフリカ豚コレラについて(農林水産省HP)
- African Swine Fever(OIE)