養殖魚は「美味しくない」「臭みがある」という低評価をかつては受けていました。
しかし、現在は柑橘類由来の成分を餌に混ぜるなどの工夫により臭みを抑制し、「フルーツ魚」と呼ばれるブランドに昇華されています。
フルーツ魚の中で、柑橘類に合わせて伊勢茶を用いている「伊勢まだい」についてまとめます。
伊勢まだい(伊勢真鯛)とは
伊勢まだい(伊勢真鯛)は、三重県の特産品である「伊勢茶」・セミノール等の「柑橘」・ひじき等の「海藻」の粉末をブレンドしたモイストペレットで育てられた真鯛です。
ポリフェノール類を多く含むので、臭みや余分な脂が少なく、旨みが強いのが伊勢まだいの特徴です。
伊勢神宮の奉納品にもなっており、地域のブランドとして確かなものになっています(伊勢商工会議所HP)。
伊勢まだい(伊勢真鯛)の歴史
東日本大震災の津波で三重県養殖魚者は16億円の大被害を受け、真鯛の養殖業者の復興のため、県・水産研究所・漁連・生産者が連携をして『伊勢まだいプロジェクト』が行われました。
三重県内の魚類養殖生産者の組織「三重県海水養魚協議会」の中で養殖マダイのブランド化に意欲的な生産者を集めて結成した「伊勢まだい生産者部会」のメンバーによって、2012年秋から生産されています。
第21回全国青年・女性漁業者交流大会の漁業経営改善部門において、最高賞である農林水産大臣賞を受賞しました。
ミックス粉末の効果
三重県水産研究所が、海藻1:伊勢茶葉1:柑橘0.1の割合でブレンドした粉末を飼料に2%添加して4週間飼育したところ、通常の真鯛と比べて以下の効果が得られました。
【伊勢まだい 餌の効果】
- 中性脂肪・内臓脂肪が少なくなった
- 歯ごたえ・体表の色彩が良くなった
- 鮮度保持効果が確認された
- 香気成分が筋肉に移行し魚臭さが消えた
伊勢まだい(伊勢真鯛)の生産
伊勢まだい(伊勢真鯛)の生産基準は、以下の通りです。
- 海藻1:伊勢茶葉1:柑橘0.1の割合でブレンドした粉末を2%添加した飼料
- 出荷直前の約1ヶ月間に14日回以上の連続投餌
- 養殖生産履歴のある適正管理
三重県県南部の南伊勢町から尾鷲市にまたがる9地区・15名程の生産者が、地域の垣根を越えて約80km協力し合い、養殖方法が異なる小規模養殖業者が部会全体で生産スケジュールを分担・管理しているため、年間を通して安定的な質・量の出荷が可能です。
海の自然環境や水産資源を守って獲られた水産物・シーフードに与えられる認証エコラベル「水産エコラベル」である、「養殖エコラベル(AEL)流通加工段階認証・生産段階認証」を取得しています。
出荷前には漁連品質管理課で分析試験(栄養成分検査・品質管理検査)を行い、品質の管理も徹底しているので、発注ごとに生産者へ出荷担当を割り振るため、トレーサビリティが可能です。
伊勢まだい(伊勢真鯛)の通販・ふるさと納税
養殖魚独特の臭み・余分な脂が少ないので、「刺身」で食べることがおすすめです。
また、鯛の旨味が非常に濃いので、「鯛めし」も良いかもしれません。
ふるさと納税で、伊勢の海産物が色々楽しめる海鮮丼などもあります。
まとめ
三重県のフルーツ魚「伊勢まだい」についてまとめました。
養殖魚のブランド化に成功した数少ない魚ですので、ぜひ知っていただき、できれば賞味いただければ幸いです。
伊勢まだい以外のフルーツ魚についても随時アップしていきますので、ぜひそちらも御覧ください。